09:ダンジョンマスター現地人の情報を掴む
その日からオレはスライム3人娘に、ゴミをオレのダンジョンに、投棄している連中の動向を探らせることにした。
彼らの行動範囲は、オレの感知できる範囲外の、ダンジョン外に及ぶと予想される。
彼らの行動を監視させるなら、スライムの分体を作り、その分体が得た情報を知りえる、彼女らが適任だと思ったのだ。
彼らがゴミを投棄しに来るタイミングさえわかれば、彼らと会って話をすることだって可能だ。
出来れば現地人とは仲良くしたいし、嫌われたくはない。
ここは慎重に行くべきだろう。
「主・・・来ました!」
そして数日経過したころ、スライム3人娘の一人、ガーベラからさっそく報告が入った。
どうやら対象が、ガーベラの監視網にかかったようだ。
「人間が4人・・・男と女がそれぞれ2人ずつ・・・・」
それはオレが異世界に転生して以来、初めての現地人に関する情報となった。
「ぶもももも! どうする主! 皆殺しにするか!?」
ミノさんが鼻息荒く、物騒なことを尋ねて来た。
「まてまて! オレは彼らと争いたいわけじゃない・・・・!」
オレが彼らの動向を、スライム3人娘に見張らせた理由は、何も彼らを退治したいからではない。
オレは以前からこの異世界の人間に、会ってみたいと思っていたし、なんなら交流したいとも思っていた。
「オレは彼らと交流を深めたいと思っているんだ。そのために彼らと話をしてみたい・・・」
「あの狡猾で残忍な人間とですか? いったいなぜそのようなことを・・・・?」
オレがこの異世界の人間と交流を持ちたかった理由は、前世のオレが人間であり、再び人間社会に触れてみたかったからに他ならない。
だがそれを説明したとして、人外であるオレの仲間たちが、納得するとも思えない。
アルカードは人間に対して、良い印象を持っていないようだし、他の皆だってそうだろう。
それはオレが召喚する前から、彼らには人間が敵であるという、認識が植え付けられていることが原因だと思われる。
ならオレが人間との交渉に出て、安全が確認されればどうだろうか?
人間と主であるオレが、フレンドリーに話をしている様子を見れば、皆だって納得するかもしれない。
「交渉にはオレ一人で行くよ・・・・」
オレは皆にそう宣言した。
「主様危険です!!」「主・・・無謀です!」「考え直すわん!」「ばうばう!」「ぶももも~!」
するとそんなオレを皆が止めに入る。
彼らは人間をよほど危険な存在と認識しているのだろう。
「心配ないよ皆・・・・。人間には確かに悪い奴らもいるが、実際に話してみれば、気の良いやつらだって大勢いるんだ。オレはそれを皆に証明したいと思っている」
「仕方ありませんね・・・・主様は一度言い出したら聞きませんから・・・・」
そんなオレにアルカードは、諦めたようにそう口にする。
そして次にこう付け加えた・・・・
「人間と会話するのはかまいませんが・・・・せめて人間に擬態してからになさってください。それから人間への擬態が得意なナデシコ、ガーベラ、デイジーの3名をお連れください・・・・。主様はともかくその3名であれば、そう人間に遅れはとらないでしょうから・・・・」
オレへのアルカードの評価がどのようなものか、小一時間程問い正したい内容だが、まあそれで皆が納得してくれるなら良しとしよう。
今は現地人との接触が最優先だ。
「でもさすがにこの服でってわけにはいかないよな・・・・」
改めて見るとオレの服装は、前世で動きやすいと定評だったジャージである。
はたして現地人とのファーストコンタクトを、こんなラフな服装で、行ってしまっても良いものだろうか?
初めにジャージの印象がついてしまえば、オレの印象は永遠にジャージの人になってしまいかねない。
異世界でジャージの人よわばりは少し嫌だ。
それではオレに似合う服装とは、いったいどのようなものだろう?
現在のオレの容姿は、長い銀髪に中性的な、整った容姿である。
ドレスなどの女性が着るような服でも、似合ってしまいそうな気はする。
だがオレは男であるという、自覚はあるので、ドレスは少し違う気がするのだ。
もっともオレの羞恥心が、それを許さない。
それじゃあ学校で着ていた学生服?
それとも会社に行くような背広とかがいいのか?
わからなくなったので、参考までにアルカードの服装を見る。
こいつは召喚当初から服を着ていたし、その服装はこの辺りの服装に間違いはないだろう。
アルカードの服装から察するに、この辺りの服装は、中世ヨーロッパ風のものではないだろうか?
オレの創造リストを検索すれば、中世ヨーロッパ風の、コスプレなんかも出て来る。
平民の服、エルフの服、王子様の服・・・・さまざまなコスプレが表示された。
それじゃあ平民の服で・・・・
「そのような格の低い服装では、侮られてしまうのでは?」
平民服を選ぼうとしたら、画面を覗き込んできたアルカードに、そう指摘されてしまった。
ていうか他の人にも、オレのステータス画面って見えたんだな・・・・
「それじゃあアルカードが選んでよ・・・・」
「仕方ありませんね・・・・」
と言いつつ鼻息荒く、やる気満々のアルカード。
そんな様子を見せられると、逆に不安になってしまうのだが・・・・
「お似合いでございますよ主様・・・・」
「ひらひらのシャツに・・・半ズボン・・・・?」
アルカードが選んだ服は、やたらとひらひらがついた、貴族の子供が着るような服だった。
「「あるじ似合ってる! わん!」 ばう!」
「「主・・・お似合いですよ」」「「にあうぶも!」」
「ありがとう皆・・・・」
ちょっと中性的に見えて、恥ずかしい気もする服装だが、アルカードが選んだ服だし、間違いはあるまい・・・・
「主! 行くなら急いだ方が良いです! 人間達が襲われ始めました!」
そんな中ガーベラから、現地人の危機を報せる内容の報告があった。
いったい彼らに何があったというのか?
どちらにしろ、これは急いだ方がいいかもしれない・・・・!
こうしてオレは、スライム娘3人組を引き連れて、ダンジョンの外にある、ゴミの投棄場所へと向かったのだ。
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