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04:ダンジョンマスターとスライム美少女

 オレは召喚したモンスター達の知能を上げるべく、悪戦苦闘していた。

 まずは彼らとの、意思の疎通についてだ。


 オレが現在口にしている言語は、前世で使っていた日本語だ。

 日本語でも彼らには、簡単な命令ならば、伝わらなくもない。

 だがこれはなんとなく、雰囲気で伝わるだけであって、言葉として伝わっている感じがしない。


 現に細かい命令を伝えるためには、身振り手振りを加えて、何度も命令する必要があった。

 命令内容が伝わらない場合、ムギなら首をかしげるだけだが、ミノさんとタウロさんに関しては、最悪どこかに突撃していく始末だ。


 通常彼らの役割はダンジョンを徘徊し、冒険者を襲うだけなのだから、直接細かい命令を与える必要がないので、ダンジョンマスターであれば、これでも問題はないのかもしれない。

 ところがオレはその冒険者と、意思疎通がしてみたいので、彼らには細かい命令に、従ってもらう必要があるのだ。


 するとオレも異世界語を理解する必要があるのだが、現在その異世界語を話せるメンバーがいない。

 仕方なく何度も日本語で語り掛け、まずは日本語だけでも覚えてもらおうと四苦八苦した。


 直接物体や仕草を見せて発音したり、カルタを取り入れたりもした。

 まあカルタをミノタウロスである、ミノさんとタウロさんと行うと、こちらの手が潰されかねない。

 そこは怪物の相手は怪物がすればいいということで、ミノさんにはタウロさんのみと、カルタ勝負をやってもらった。


 ムギは一匹だと寂しいので、新たにコボルトのテチチ種を、もう一匹召喚した。


「お前の名前はココだ!」


「ばう!!」


 新たに召喚した彼には、その毛の黒色から、ココアをイメージしたので、そのココアからアをとって、単純にココと名付けた。


 ココは明るい感じのムギに比べ、真面目そうな感じの奴だ。

 彼にもムギと同じく、デニムのオーバーオールを与えてみた。


 こうしてムギのカルタの相手は、ココが務めることになった。


 ただカルタをやるだけでは、彼らのモチベーションに問題があるので、景品も取り入れた。

 まずコボルトの方だが、犬だけあって、好物はジャーキーのようだった。

 ミノタウロスに関しては、野菜や果物に興味を示してきた。


 そこでお互いに勝負を繰り返しやらせて、勝った方に好物を、少しづつ与えてみた。

 たまに喧嘩に発展したりして、なだめるのに気を使った。


 彼らの怪我はポイントでも治せるのだが、なるべく争う姿や、傷つけ合う姿は見たくない。

 それでもモンスターである彼らは、じゃれ合いのような、戦闘を繰り広げることもある。


 ムギとココのじゃれ合いであれば、それでも微笑ましく見えるが、ミノさんとタウロさんのじゃれ合いとなると、迫力が違う。

 ミノタウロスのじゃれ合いは見ていてハラハラするものだが、たまのストレス発散のため、これだけは容認することにした。

 そうでないと彼らのストレスの圧が半端ないのだ。

 目を赤くして鼻息を荒くして、それはもう獰猛なばかりだ。

 ただし殺し合いに発展しそうになった時には勿論止めたよ。

 

「あるじ・・・おで・・・かった!」


「わんわん! かった!」「まけたばう・・・・」


 それでも少しずつ彼らは日本語を理解し、片言だけでも話すようになってきた。

 そんな時彼らのステータスを確認してみると、知力の数値が、かなり上昇しているのが見て取れた。


 だいたい知力の上昇は3割くらいだろうか?

 ムギとココは15から22に、ミノさんとタウロさんは10から15といった感じだ。


 そんな中彼らの成長のせいか、モンスターの召喚リストに、名前が増えているのが見て取れた。


 スーパースライム 20000ポイント

 ヴァンパイア 15000ポイント

 サキュバス 10000ポイント

 リッチ 30000ポイント


 スーパースライムは別名メタモルスライムとよばれるスライムだ。

 人間に擬態し巧みな言語で誘い込み、冒険者を捕食してしまうという恐ろしいモンスターだ。

 3種類の異世界言語をマスターしており、その擬態はかなり巧妙なようだ。

 その知力は言うまでもなくかなり高い。

 配下となるスライムを、分体として生み出すことが可能。

 配下となるスライムの種類は、その成長しだいで多岐に及ぶ。


 ヴァンパイアは攻撃魔法は勿論、幻惑などのスキルを用いて、人間を惑わし、生き血を吸うアンデットだ。

 こいつらの話は前世でもよく耳にしていた馴染みのモンスターだ。

 コウモリやグール、成長しだいでは下級のヴァンパイアを召喚可能。


 サキュバスは幻惑や誘惑などのスキルを駆使し、男性冒険者の精気を吸い取り、最終的に死に至らしめる悪魔系モンスターだ。

 インプなどの悪魔系のモンスターが召喚可能。

 召喚した途端に誘惑されて、精気を吸い取られそうなので、召喚には少し躊躇する。

 綺麗なお姉さんなので、一度は目にしてみたい気もするが・・・・


 リッチは多彩な魔法を使いこなす、上位種のアンデット系モンスターだ。

 スケルトン、ゴースト、ゾンビ、スピリットなどのアンデットは勿論、レッサーデーモンなどの悪魔も召喚が可能。

 こいつも前世では、かなり有名なモンスターだった記憶がある。


 いずれも説明を見ると、知的な感じを受けるモンスターばかりだった。


「スーパースライム! お前に決めたぞ!」


 まずは異世界言語を学ぶために、スーパースライムを召喚する。

 召喚されたスーパースライムは、最初は少し大きめなスライムだったが、徐々に人の姿をとり、最終的に中学生くらいの少女の姿となった。

 ただ衣服を着ていないのでかなりの目の毒だ。

 児童ポルノ法にも抵触しかねないので、即座に布を羽織ってもらった。

 すると羽織わせていた布を、じわじわと溶かし始めたではないか。

 この辺りはもうテンプレだね・・・・


「それ溶かしちゃだめだからね!」


「・・・・・」


 流石に日本語が通じるわけないだろうが、頭のいい彼女には、その雰囲気だけで理解が出来たようだ。


 オレはさっそくそんな彼女の名前について考えることにする。

 名前がなければ、話しかけるのにも不便だ。


 スーパースライムの人への擬態は、一種の芸術と言っても良いだろう。

 美しい以外の感想が、何も浮いてこない。

 そんな彼女に’スラミ’とかいうニュアンスの、安直な名前を付けるのは、オレとしては憚られた。

 そこで今回は、ミノさんタウロさんには悪いが、真面目に名前を考えることにする。

 

 彼女の第一印象は、物静かな女性といったところだろうか?

 凛とした佇まいが、高貴な武家の娘を彷彿とさせる。


「そうだな・・・・君はナデシコだ!!」


 そこで彼女には花の名前からとって、ナデシコと名付けることにした。


「わかった・・・・あるじ」


 するとナデシコは即座に日本語を理解し、口にし始めた。

 流石は言語で人間を誘い込むと定評の、恐ろしいスライムだ。


「君にはこのメイド服をあげよう」


 さっそくポイントを使い、彼女にも服を用意した。

 メイド服は前世で妹から注文を頼まれたもので、オレが直接購入したものではないが、それでも創造するアイテムの一覧には含まれるようだ。


「わかった・・・・あるじ」


「それも溶かさないようにね!!」


「りかいした・・・あるじ」


 ナデシコにはそのメイド服が良く似合った。

 その容姿も悪くないので、これからは彼女に世話を頼もうと考えたが、ムギとココがそれを察して、あまりにも、うるうるとした目で悲しそうにオレを見つめるので、それは考え直した。

 ナデシコは異世界語の先生というポジションで定着しそうだ。


 そんな彼女だが、カロリーの高い物を好んで捕食する。

 特にショートケーキや、カツカレーには目がないようだ。

お読みくださりありがとうございます。


このダンジョンマスターに共感を持ってくださった方・・・・

この物語を少しでも面白いと感じてくださった方・・・・

スライム美少女は正義だと思った方・・・・


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