06:不思議な雑貨店とその店主
第三人称視点~
現在商業ギルド長のパスカル・アンブラーは、ある雑貨屋の店主と対面していた。
その店主はまるで、天使のような美しい顔だちをした、12~3歳くらいの少女だったのだ。
店には見慣れない商品が並べられ、その斬新で前衛的な商品の数々に、パスカルは度肝を抜かれていた。
そんな商品を生み出したのが、目の前の少女だというのだ。
そしてその慈善的な行為にも、感銘を受けていた。
まるで聖女のような、少女であると・・・・
「商業ギルド長のパスカルさんですよね? オレここの店主でリヒトっていいます」
その残念な口調をのぞいてだが・・・・
「ああ、私が商業ギルド長のパスカル・アンブラーだ。今日は娘のジェニファーも一緒に来ている・・・・」
「ジェニファーです。よろしくね・・・リヒトさん」
そしてお互いが顔を合わせ、挨拶を済ませた。
「遅くなってすみません。ちょっとゴミ処理場の方で色々とあったものですから」
「先ほどの件かな? なかなかに慈善の心を持った良い娘だと思い、見ていたがな・・・・」
パスカルはまるでからかうような目でそう口にした。
「見ておられましたか・・・・お恥ずかしい・・・・。でもオレこんなでも男ですから。そこのところお間違いなく」
「そ、それは失礼した。あまりにも美しい顔だちをしているものだからつい女性なのかと・・・」
「わたくしもそう思いましたわ! リヒト様はまるで天使様のようなお顔立ちをしていますわ!」
それを聞いたリヒトは、少し慌てたような様子となった。
それはリヒトの正体が、天使そのものであるからだが、それをその2人が知る由もない。
そしてリヒトが男だと知った、娘のジェニファーの態度の急変に、父親であるパスカルが、少し眉をひそめたことが、さらにリヒトに追い打ちをかけた。
「つ、つぎは食品の方の確認をお願いします! あちらに飲食コーナーがございますので、確認したい商品をお持ちください!」
そして慌てたリヒトは、誤魔化すように、次の視察を促した。
「お父様見てください! 見たこともないような珍しい食べ物ばかりですよ!」
「ああ。本当に珍しいものばかりだ・・・・」
お菓子や弁当、飲み物の棚に案内されると、そこには二人が見たこともないような商品が、綺麗に並べられていた。
「先ほどの日用品の時も思ったのだが、リヒト君はこれらの商品をどのようにして、用意しているのだ?」
「こ、こちらはその・・・・全て、ダンジョンのアーティファクトによって、造られております」
「なるほどアーティファクトか・・・・それならこれ程の商品が造れても可笑しくはないか・・・・」
ダンジョンのアーティファクトには、未知の部分が多く、不思議な現象を引き起こす物が多く存在した。
そのためパスカルは、その言葉に納得したのだ。
「だがそれではなおのこと、食品としての安全性が問われますな?」
ところがダンジョン産のアイテムは、必ず安全とは言えず、その年代は古く、中には呪われた物も存在した。
そのためパスカルは、それらの食品の安全性を疑ったのだ。
「その心配はありません。食品の安全性については、ジョゼフ伯爵からも太鼓判を頂いていますから」
「なるほど。すでに安全性は確認済みということですな?」
伯爵程の者が安全でない食品を、許可なく後ろ盾をしている店に、並べさせることはないと、パスカルも確信はしていた。
だがそれには書類上の確認が必要な場合もあった。
これはそのための、口上の確認でもあるのだろう。
その後商品をいくつか選ぶと、パスカルとその娘ジェニファーは、飲食コーナーに案内されてきた。
そこには多くのテーブルが並べられ、椅子に腰かけ、飲食が出来るようになっていた。
「確認したい食品は、以上でよろしいでしょうか?」
「ああ・・・・これで大丈夫だ」「わたくしも結構ですわよ・・・・」
飲食コーナーのテーブルの上には、多くの食品が並べられ、パスカルとジェニファーが、それぞれの席についていた。
「このカップラーメンというのは凄いな。保存がきく上にお湯を入れるだけで食べられるのか? それに味も悪くない」
「こちらの缶詰もかなり日持ちするようですわ! それにこちらのお菓子には、砂糖がふんだんに使われていてとても美味しいです!」
二人は次々と食品を平らげ、その有用性に度肝を抜いた。
そしてその翌日から、その店の常連となったことは、言うまでもない。
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