02:ダンジョンマスター、娘に会う
現在オレは森のダンジョンを目指して飛行中だ。
その森のダンジョンは、オレが最初に異世界につくったダンジョンで、この異世界では故郷とも呼べる場所だ。
その森のダンジョンには、オレの帰りを待っている仲間達もいる。
コボルトでチワワの見た目のムギとココ、スーパースライムで少女メイド姿のガーベラとデイジー、ミノタウロスのタウロさん、イケメンヴァンパイアのアルカード、ラスボスを任せているネクロ爺、その他ダンジョンを守るモンスター達・・・・
その誰もがオレの愛する仲間たちだ。
そんなオレのダンジョンに、異変を感じたのだ。
それは街にいたオレが、街の地下にダンジョンをのばし、森のダンジョンにつなげた時に起こった。
その時オレのつくった森のダンジョンから、反発するような、異物を掴んだような感覚が感じられたのだ。
それこそがまさに、他のダンジョンマスターにダンジョンを侵略されたような、感覚だったのだ。
オレは故郷と仲間達が心配になり、森のダンジョンに急行したのだ。
その時オレは偽装魔法が解けて、天使の姿となっていた。
飛行には大きな魔力が必要となる。
偽装魔法は大きな魔力の影響を受けると、解けてしまうのが難点なのだ。
ところが現在オレが飛行しているのは、街の地下につくったダンジョンの通路なので、誰にも見つかることはないだろう。
「ん!? 誰だあいつ!?」
そんな中こちらに向かって飛行してくる、黒いコウモリのような翼を生やした、正体不明の存在を見付けたのだ。
まさかあいつがダンジョンを乗っ取った奴なのか!?
「主様あああ!!!」
「もしかして・・・・アルカードか!?」
だがよく見るとそれは、コウモリの翼を生やして飛行する、ヴァンパイアのアルカードだったのだ。
ヴァンパイアはコウモリのような翼を広げ、飛行することも可能なモンスターなのだ。
「主様! まず落ち着いてわたくしの話を聞いてください・・・・」
アルカードは神妙な面持ちで、オレにそう切り出した。
やはりオレのダンジョンが乗っ取られたのだろう。
そして乗っ取ったダンジョンマスターは、驚くほど強敵なのかもしれない。
それとも仲間の誰かに、何かあったのだろうか?
ここは覚悟して聞く必要があるだろう。
オレは緊張しながら、アルカードの話に耳を傾けた。
「主様に娘ができました!」
「はあ・・・!?」
ところがアルカードの言葉は、オレが考えたどの言葉でもなく、理解不能な言葉だったのだ。
「オレ・・・・まだ結婚どころか・・・嫁もいないんですけど?」
結婚どころか嫁すらいないオレに、どうやって娘ができるというのだろうか?
このヴァンパイアは、何を乱心しているのだろうか?
オレはアルカードのその言葉の真意が、まるで理解できなかった。
「主様の残していかれた球体ですよ! あの球体が羽化して、主様の娘が生まれたのですよ!」
「なんですと? 球体ってオレの分体のあの・・・・?」
「そうです! ダンジョンマスターの役割をするための、あの球体です!」
オレはダンジョンの管理をさせる目的で、オレの分体たる球体を、残していった記憶がある。
どうやらオレに娘ができたという言葉の真意は、その球体が羽化して、娘が誕生したということのよううだ。
オレは人間ではなく、ダンジョンマスターであるから、そんな非常識な事態も、起こり得るのかもしれない。
オレはまだ嫁もめとることなく、娘ができてしまったようだ。
オレの嫁はどこに…!?
オレの嫁・・・はよщ(゜Д゜щ)カモーン!!
だがオレの娘だ。
きっと可愛いに違いない。
「その主様の娘が暴走をして、大変な事態が起こっております!」
「ははは・・・! 大げさだなアルカードは・・・・」
オレに娘がいるとしたら、球体を創り出したのが、半月前だから、生まれたのはそれ以降ということになる。
すると生まれてからまだ半月もならないであろうオレの娘は、まだ赤ん坊のはずだ。
そんなオレの娘は大泣きして、アルカードや皆は、手を焼いているのだろう。
まったくアルカードは・・・・赤ん坊をあやしつける方法も知らないのか・・・・?
オレの娘が、可愛くギャン泣きしている姿を思い浮かべると、徐々にオレの顔はにやけて来る。
いったいそれはどんな可愛い赤ん坊なのだろうか?
「さっそくだが案内してくれ! オレの可愛い娘のもとに!」
「こちらです主様!」
オレは飛行するアルカードの後に、同じく飛行して追従した。
可愛い娘の・・・赤ん坊の姿を胸に抱いて・・・・
「ぶごおおおおおお!!」
「・・・・」
そしてアルカードが案内してくれたラスボス部屋には、身長30メートルになろう、巨大でごつい、岩のゴーレムがいたのだ。
「おいぃぃぃ!! アルカード!! まさかあれがオレの娘か!?」
「落ち着いてください主様! 姫様はあのゴーレムの頭の上に・・・・!」
アルカードの指し示したゴーレムの頭の上には、確かに小さな幼女が、ちょこんと腰かけていた。
ほっ・・・・あんなごついゴーレムが、オレの娘でなくて本当によかったよ・・・・
オレはその娘の姿に、ほっと胸をなでおろした。
しかし生まれて半月もならないのに、すでに6歳くらいの大きさだ。
オレが球体だった期間は、もっと長くはなかっただろうか?
それこそかなりの長い年月を、さ迷っていた記憶がある。
自らの姿を得るのが、速すぎる気がするのだが・・・・
だが今はそんなことを、気にしている場合ではない。
オレの娘が、大事な可愛い娘が、あんなゴーレムの頭の上に捕らえられ、大変な事態に陥ってしまっているのだ。
「アルティメットデストロイビーム!!!」
ビビビビ~!! どか~ん!
オレは娘を救うために、オレの最大火力である、アルティメットデストロイビームを、瞬時に放ち、炸裂させた。
すると巨大なゴーレムは、その一撃でバラバラとなり、崩壊した。
例えごつく巨大なゴーレムでも、山をも破壊する強力なビームを喰らえば、岩である以上、ばらばらに破壊されてしまうだろう。
だがこのままではオレの娘が、その崩落に巻き込まれて、怪我では済まない状態に陥ってしまう。
そんなオレの娘を見ると、瓦礫の崩落と一緒に、まだ空中を舞っていた。
「主様! 何が何でも無茶がすぎます!」
「ぎゃああああ! オレの娘があああ!!」
オレは娘を救うために、瞬時に飛行して、娘のもとへと急行する。
「ふう・・・・。助かった・・・・」
そして無事に娘を、空中でキャッチして、事なきを得たのだ。
「うわああああん! キナコの大きな岩さんがしんじゃったよおおお!」
「ん?」
だがとうのオレの娘は、そう言って大泣きを始めたのだ。
オレはその事態が飲み込めず、頭を傾けた。
「主様・・・・。その巨大ゴーレムは姫様の使役する従魔でございます・・・・」
その言葉でオレは、だいたいのことを把握した。
オレは勘違いして、娘のゴーレムを破壊してしまったらしい。
オレ・・・・娘に会って早々に・・・・やっちまったらしい・・・・
お読みくださりありがとうございます。
このダンジョンマスターに共感を持ってくださった方・・・・
この物語を少しでも面白いと感じてくださった方・・・・
ブックマークと
★★★★★の評価をお願いします!
ご意見や感想もお待ちしております!




