13:エピローグ~ダンジョンマスターの事業
「ごきげんようリヒト様! 今日も買いに来ましたわ!」
そう元気よくオレの店に入ってくるのは、執事のオマールを連れた、伯爵令嬢のマリアンヌだった。
あれから10日程経過し、オレの雑貨店は無事に開店していた。
店の建築から開店までには、少なくとも6ヶ月はかかるはずである。
それは物件探しや建築、開店の準備にかかる時間があるからだ。
ところが物件に関しては、既に領主ジョゼフ伯爵から、広い敷地付きの屋敷を借り受けることが出来ていた。
あとはその敷地内に、店を建築するだけであった。
そしてオレにはダンジョンマスターとしての力があるため、建築に1日もかからない。
具体的には、アイテム製作モードで建築したのだが、スムーズに製作が進み、開店の準備等も同様の手段で手早く完成に至ることができた。
そのため開店には、5日程しかかけていない。
店員は計算言語ともに優秀な、スーパースライムのナデシコに任せた。
ただナデシコだけでは、手が足りないこともあるので、近いうちに他のスライム娘たちも、店員として招く必要がありそうだ。
「今日はこのお菓子、全部いただきますわ!」
初日に生活用品を買い占めたマリアンヌは、今日はお菓子を買い占めるつもりのようだ。
「シャンプーやリンスは役に立ちましたか?」
「ええ! あまりにも髪がつやつやになるので驚いたわ! 使用人の分の追加注文も別途で頼みたいのだけど可能かしら?」
「えっと・・・どれくらいでしょうか?」
「30セット程お願いしますわ!!」
「早々に用意します・・・・」
ダンジョンポイントさえ使えば、いくらでも商品の追加は可能だ。
「おう! 酒買いにきたぞリヒト!」
「私はスイーツ!」「私も・・・」
店には冒険者パーティー青き翼のメンバーもやって来る。
彼らの目当ては、宴会用の食材だったり、その日の依頼に必要な、弁当だったりする。
そしてその日も続々と来店客が訪れ、オレの雑貨を買うために列をなした。
これ・・・・早めに応援をよぶ必要があるな・・・・
それからミノさんはというと、店の手伝いにはあてず、ゴミの収集に行ってもらっている。
当初はゴミ処理場に、各々がゴミを持ち込むことにしていたのだが、ゴミの量が多い場合もあり、持ってくるのが困難な距離だったりする場合もあった。
そこでミノさんがゴミ収集用の荷車を引き、ゴミ収集車となって集めて回るのだ。
怪力のミノさんは大きな荷車に、大量のゴミを積んで、運搬することが可能なのだ。
「ひいぃ! 街にモンスターが・・・!」
ただミノさんだけだと、近隣の住民が恐れるため、必ず人間の付き添いを付けるようにした。
「心配ない! こいつは従魔だから!」
この日は青き翼のメンバー、デニスがその任についてくれた。
そしてこの仕事・・・・多くの冒険者から、「受けさせろ!」と懇願する声が出ているという。
それはミノタウロスと会話するという、珍しい体験をすることができるからだ。
そのため青き翼のメンバーを贔屓せず、他の冒険者を雇うことも検討している。
この街からは日々多くのゴミが出ており、オレのダンジョンポイントは、かなり増加することが期待される。
しかもジョゼフ伯爵の提案で、ゴミの回収にはある程度の代金を設定することになり、お金もたまって二度美味い事業となっている。
「そろそろ一度向こうのダンジョンに戻るか・・・・」
そんな中オレは、一度森につくったダンジョンに、戻る計画を立てていた。
森のダンジョンは現在、オレの代理となるダンジョン核の球体に、ダンジョンの管理と維持を任せてあるのだ。
その球体の仕事に関しても気になっているし、残したメンバーについても気になっている。
またご褒美用にと残してきたお菓子も、底を尽きている頃だろう。
「屋敷の地下にダンジョンをつなげればなんとかいけるか?」
現在住居となっているお屋敷を含め、雑貨店もゴミ処理場もオレのダンジョンと化している。
その維持のため、オレがこの場所を離れるわけにはいかない。
オレがいなくなれは、雑貨屋で点灯している光苔も光を失うし、商品の補充もでいない。
その上、ゴミ処理場のゴミも滞ることだろう。
だが地下にダンジョンを追加し、森のダンジョンとつなげることが出来れば、オレは向こうのダンジョンに戻りつつ、この場所も維持することが可能になるのだ。
オレは早速地下からダンジョンを伸ばし、懐かしの森のダンジョンへと道をつなげた。
「ん? 何だこの違和感は?」
すると森のダンジョンと繋がったとたんに、何とも言えない違和感に襲われた。
「これは反発? 森のダンジョンがオレを拒んでいる?」
その違和感の正体は、オレのダンジョン化を拒む、何者かの反発によるものだったのだ。
「もしかして他のダンジョンマスターに乗っ取られたのか!?」
その反発の可能性として考えられるのが、オレのダンジョンが他のダンジョンマスターの侵略を受け、乗っ取られたというものだ。
「これはぐずぐずしていられないな・・・・」
オレは久々に翼を広げると、森のダンジョンへと続く通路を、まっすぐに飛行し、突き進んだ。
こうしてオレは、以前森につくったダンジョンへと、飛び立ったのだった。
お読みくださりありがとうございます。
このダンジョンマスターに共感を持ってくださった方・・・・
この物語を少しでも面白いと感じてくださった方・・・・
ブックマークと
★★★★★の評価をお願いします!
ご意見や感想もお待ちしております!




