12:ダンジョンマスターと貴族の娘
あれからオレは、領主ジョゼフ・フォンブリューヌ伯爵との話し合いを進めた。
以前からこの街は、ゴミ処理の問題に悩まされており、オレのような存在を求めていたらしい。
またジョゼフ伯爵は、オレの創造する品々に、強く興味を惹かれたようだ。
その結果オレはゴミ処理場と、なんでも揃う総合的な小売店を開くことになった。
必要な土地は、ジョゼフ伯爵に借り受ける形となり、商売が軌道に乗れば、その土地を買い取っても良いという返事ももらった。
あまりに上手く行き過ぎる話に、少し不安を覚えたが、その結果にオレは満足し、ほくほく顔となっていたことだろう。
そんな中あの出来事は起こったのだ。
バ~ン!!
「お父様だけ狡いです!」
そんな中オレ達が話し合う謁見の間に、乱入者が現れた。
その乱入者は謁見の間の扉をあけ放ち、勢いよく乱入してきたのだ。
「何事だマリアンヌ!? はしたないぞ!」
「わたくし、マリアンヌ・フォンブリューヌと申しますわ。冒険者の方にはお初にお目にかかります・・・」
マリアンヌと名乗った少女は、歳の頃は10歳くらいだろうか?
金髪に愛くるしい整った顔だちをしている。
まさに金髪美少女と言っても、差し支えない少女だ。
マリアンヌはオレたちの前にやって来ると、先ほどとは打って変わり、美しい所作で、カーテシーによる挨拶をした。
貴族の情操教育を受けているのだろう。
子供にしては随分と礼儀正しい挨拶だ。
まあ最初の登場の仕方で、ちょっと台無しになっているがな。
「下がりなさいマリアンヌ・・・大事な話の途中だ」
「そうは参りませんわお父様! お父様だけ冒険者から冒険譚を聞くなんて狡いですわ!」
どうやらマリアンヌは、ジョゼフ伯爵がオレから楽しい冒険譚を聞いていたと、勘違いしているようだ。
「まったく・・・何を勘違いしているのやら・・・・」
だが頑固なマリアンヌは、引く気はないようだし、ジョゼフ伯はいったいどう説得して、退出させるつもりだろうか?
「はあ・・・・リヒト殿? 話もほぼまとまったことだし、ここは1つ、面白い話の1つでも聞かせてくれぬかな?」
ジョゼフ伯爵はあっさりと娘のマリアンヌの言いなりとなった。
甘々な親父じゃないか・・・・
「面白い話ですか・・・・?」
オレは冒険者にはなりたてだし、冒険とよべる冒険なんてしたこともない。
まさかダンジョンマスターとしての活躍を、聞かせるわけにはいかないし、いったい何を話したらいいものか?
「ならおでが、将棋について話して聞かせようか?」
すると黙っていたミノさんが、ここで口を開いた。
「まあ! すごいですよお父様! このミノタウロスさん、今しゃべりましたよ!」
「ほう? 話には聞いていたが本当にしゃべれるのだな?」
だがミノさんの意見は却下だ。
将棋の話をしたところで、ルールを知らなければ、その面白さも理解できないだろう。
だが何かのゲームを出して、この場を誤魔化すのはありかもしれない。
「それでは皆さんでカードゲームでもしませんか?」
そこでオレはカードゲームで遊ぶことを提案した。
そのカードゲームというのはトランプだ。
オレはトランプカードが入った箱を創造すると、その箱を掲げつつそう提案した。
「ほう? 綺麗な柄のカードだな? この国にも似たようなゲームはあるが、ここまで絵の揃った精巧なものは存在しない」
どうやらこの国にも何らかのカードゲームはあるようだ。
さすがにトランプはないようだが・・・・
「面白い絵も描いてありますよ! これは王様で、王妃様・・・・王子様かしら? この模様の数が数字を現しているのね?」
ジョゼフ伯爵とマリアンヌは、箱の中のカードを取り出し、その絵を見ながらそれぞれ感想を述べた。
オレが次に創造したのは、駄菓子の入った宝箱だ。
この駄菓子詰め合わせは、通販などでよく購入したものだ。
「それとこのカードで勝つ度に、この宝箱の中のお菓子を、どれでも1つ差し上げましょう」
オレは宝箱の中に入った、駄菓子詰め合わせを見せつつそう提案した。
「これは凄いな・・・・。どれも見慣れない菓子ばかりだ。高価なものばかりではないのか?」
「まあ! もしかしてダンジョンで発見された財宝ですか!?」
「ま、まあそんなところです・・・・」
まあその駄菓子は、ある意味ダンジョンの財宝ともいえる。
ダンジョンマスターであるオレが創造したのだからね。
「おいもそのカードゲームに参加するんだな?」
「勿論私もですよね・・・・?」
ミノさんとナデシコが、自分達も混ぜろと言わんばかりに、そうオレに尋ねてくる。
「勿論君達も参加してくれ」
まあ彼らも初めから、参加させるつもりではいたがな。
こうしてオレ達は、駄菓子を景品に、カードゲームに興じることになった。
最初に遊んだのは基本的なババ抜きや、神経衰弱だった。
五分五分の勝負でそれなりに楽しめた。
まあ神経衰弱は記憶力の凄まじいナデシコには、手を抜いてもらったがね。
こいつが本気になると、1人で全てのカードをとりかねない。
ところがこの国にも似たようなゲームはあるようで、そのうち他に複雑なルールのゲームはないかという話になり、大富豪やポーカーに移行した。
彼らはすぐにそのルールを理解し、無双の強さを誇ったよ。
まあ駆け引きの弱いオレが、彼らに勝てる道理はないのだがね。
「このトランプというのは貴族の間でも流行りそうだな・・・・」
「お菓子はどれも珍しくて美味しい物ばかりですね。特にチョコレートとゼリーというのは気に入りました」
2人ともお菓子もトランプも気に入ったようだ。
「このトランプというのを売る気はないかね?」
「お父様! このお菓子も全部買い取りましょう!」
結局駄菓子もトランプも、かなりの金額で買い取ってくれたよ。
まいどあり!!
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