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ダンジョンマスターに転生したオレは、スローライフを満喫したい!  作者: 因幡 龍
第二章 ダンジョンマスターと異世界の街
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09:ダンジョンマスター、正体がバレる

 【従魔の憩いの宿】の主人、ランドルに案内され、オレは宿の裏の空き地にやってきた。

 勿論オレの後ろには、ミノさんとナデシコが控えている。


「ここならゴミ処理場とやらを造っても構わないぞ」


 オレが1キログラムの塩と引き換えに、提案したゴミ処理場は、どうやらそこに造ることになりそうだ。

 そこは周囲を民家の裏手に囲まれ、まるで人気のない狭い庭だ。

 オレの部屋からは少し遠いが、地下を通して、ここまでダンジョンの領域を伸ばせば問題はない。


「それじゃあ早速ゴミ処理場とやらを造ってみせてもらおうか?」


 そこにはなぜか、冒険者ギルド長のアガートも見学に来ていて、偉そうにしきっている。


「それでは初めさせていただきます・・・・」


 オレはその空き地に、ゴミ処理場を造ることになった。

 そのゴミ処理場は、ダンジョン化させた場所にゴミを置くことで、ダンジョンに吸収させ、ゴミ処理を行う場所だ。

 それによってオレは、ゴミからダンジョンポイントを得ることが出来て、さらに街人はゴミを処理することが出来る、まさにウィンウィンのゴミ処理場なのだ。


 オレはその空き地の一角に、四角い縦穴を開けると、アイテム製作モードを起動して、その縦穴にあう大きさの、石製の縦長の箱を造った。

 その石製の箱は、頭頂部に扉がついており、そこからゴミを捨てられるようになっている。

 その石製の箱を、頭頂部だけ出す形にして、四角い穴に納めるのだ。

 後はその石製の箱をダンジョン化すれば、ダンジョン式ゴミ処理場の完成だ。


「それは土魔法か? 無詠唱な上にかなり高度な操作に見えたが?」


「え、ええ・・・・そんなところです・・・・」


 本当はダンジョンマスターの力で造ったのだが、そこは誤魔化しておく。


「ほう? これはどういう原理でゴミを魔力に変えるんだ?」


 そう言えばオレは、ゴミを魔力に変える実験と称して、このゴミ処理場を提案した記憶がある。

 ただオレはダンジョンマスターの力については、理解しているわけではない。


「そ、それは秘匿事項ですので・・・・」


 研究には、もらせない秘密などがあるはずだ。

 オレはそれを秘匿事項で、誤魔化すことにした。


「ほう・・・・秘匿事項ね・・・・?」


 するとアガートは疑うような目で、オレを見ながらそう口にした。

 いったいなんだと言うのだろうか?


「おおおい! お前ら出てこい!」


 するとアガートは、そこで突然後方に向けて、そう声を上げたのだ。

 いったい誰を呼んだのだろうか?


「あれ? お前達は・・・・」


 そこに現れたのは、青き翼のメンバーだった。


「すまねえリヒト・・・・」


 そして出て来るや否や、リーダーのダイソンは、そう言ってオレに頭を下げたのだ。


「はあ?」


 その様子にオレは、頭をかしげながらも不安を覚えた。

 これはもしかして・・・・オレの正体がバレたのか?


「そいつらは悪くねえ・・・・俺が色々問い詰めて強引に聞き出したんだ」


「いったい何を?」


「お前・・・・ダンジョンマスターだろ?」


 そうアガートがオレの耳元で小さく呟くと、それが聞こえていたのか、ミノさんとナデシコの気配が豹変した。

 2人はアガートに対する警戒を強め、いつでも攻撃を仕掛けられるように構えたのだ。


「そう身構えるこたあねえ・・・・。俺はリヒトをどうこうする気はねえんだ。もっともどうこうしようたって、この街にいる戦力じゃあお前クラスのダンジョンマスターには対抗できねえしな・・・・」


「いったいいつから?」


「初めにあった時だ・・・・」


「なんだと? いったいどうやって?」


 オレがダンジョンマスターであることを見破るには、まずオレが人間でないことを、見抜く必要がある。

 オレが人間でない証拠である翼と天使の輪は、隠蔽魔法によって完全に隠されているし、今のオレはどう見たって人間にしか見えないはずだ。

 いったいどうやって、オレの正体を見破ったというのだろうか?


「俺には相手の内包魔力を見る手段がある」


「なんだって!?」


 魔力視とかいう類のものだろうか?

 相手の魔力量を見破るような・・・・


「リヒトの魔力は・・・・それこそ人もモンスターも遥かに凌駕するような、桁違いの魔力だった。俺は冒険者時代にダンジョンマスターと何度かやりあったことがあるんだが・・・・そのダンジョンマスターの魔力が、今のリヒトに匹敵するくらいだったんだ」


 どうやら俺は初めから、魔力量で目立ってしまっていたようだ。

 この世界でダンジョンマスターであることを隠すのは、難しいことなのだろう。

 それこそ魔力量を誤魔化すアイテムでもないと、オレの正体を隠すのは無理なのだろう。


 だとしたらいくら姿を隠蔽しても、無駄だったということになる。

 これはこの異世界の人間に対する、オレのリサーチ不足と、言わざるを得ない。

 ダンジョンを出る前に、もっと慎重に、異世界の人間について知るべきだったのかもしれない。


「で? オレの正体を知ったあなたは・・・・いったいどうするつもりですか? オレをこの街から追い出すつもりでも?」

 

 いや・・・・オレを追い出すつもりなら、とっく行動に移していたはずだ。。

 いったいアガートという男は、何を企んでいるのだろうか?


「いや・・・そんなつもりは毛頭ない・・・・。お前が悪い奴でないことは、その人となりを見てわかっているしな・・・・」


 その言葉を聞いて少し安心した。

 その言葉からオレは、はっきりと敵対の意思がないことを、感じ取れたからだ。

 まあ・・・まだ罠の可能性も捨てきれないが・・・・


「だが会ってもらいたい人物がいる・・・・」


「会ってもらいたい人物? いったい誰に?」


 勇者・・・もしくはプレイヤーなる存在でもこの異世界にはいるのか?


「この土地の領主だ」


「はあ!?」


 そのどちらでもなかった。


 ダンジョンマスターとは、熟練冒険者がレイドを組んで、やっと対抗できる程の、危険な存在だと聞いている。

 そんな危険な存在を、なぜ領主という最も守るべき立場の人間に、会わせるというのだろうか?


 オレはそのアガートの言葉が信じられず、驚愕で目を丸くしていた。


 機会の巡り合わせとは、わからないものだ。

 オレは以前からある交渉のために、この街の領主には会いたいと思っていた。

 それが今推し進めている、ゴミ処理場の件に他ならない。


 どうやらオレは、この街でもっとも会いたかった人物、領主に会う機会を得たようだ。

お読みくださりありがとうございます。


このダンジョンマスターに共感を持ってくださった方・・・・

この物語を少しでも面白いと感じてくださった方・・・・


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