05:ダンジョンマスター、冒険者になる
「冒険者には興味がありますし・・・・登録はしておきたいのですが・・・・」
これ以上ダイソン達にたよるのも、良くない気がする。
しかしお金がなければ、冒険者になることはできない。
冒険者には憧れがあるし、ぜひなっておきたいのだが・・・・
「冒険者登録に必要な費用なら後払いでもいいぞ」
オレの不安を察したのか、アガートはそうオレに教えてくれた。
オレはアガートのその言葉にホットする。
「当然最初は一番下のFランクからだが、それだけの従魔がいるんだ。あっという間にBランクにまでなれるんじゃないか?」
そう言うとアガートは用紙3枚と、木のプレートを持ち出してきた。
見ると用紙は一枚目が冒険者登録用のもので、二枚目意向が従魔登録用のものだった。
文字は以前ナデシコに教わっているので、勿論書くことも可能だ。
「この木のプレートは、最低ランクのFを現すものだ。さっそく身に着けておくといい」
オレは言われるがままに、肩の辺りに、木のプレートを取り付けた。
どうやらこれでオレも、冒険者の仲間入りのようだ。
「それではざっくりと冒険者についての説明をしておく・・・・」
アガートはそう言うと、冒険者についての説明を始めた。
冒険者にはFランクからAランクまであり、特別階級にSランクもあるらしい。
F、G、Eランクが木のプレートで、それぞれFが緑で、Gが青、Eが赤となる。
このE以下のランクは、危険な依頼を受けることができず、見習いとして扱われる。
その依頼はポーションの素材である、薬草探しや、どぶ攫い、売店の手伝いや、ランクの低いモンスター狩り、冒険者の荷物持ちと多岐に渡る。
冒険者の荷物持ちが行えるのは、Eランクからで、それには当然危険も伴う。
それはダンジョンや危険な地域に同行するからだ。
当然戦闘技術がなければ、そんな仕事を受けることは出来ない。
つまりF、Gランクは見習いで、Eランクは一人前一歩手前といったところなのだろう。
D、Cランクからは中堅として扱われ、ダンジョンや危険な地域への侵入が許され、それなりに危険な討伐依頼も受けられる。
そのプレートはDランクが鉄で、Cランクが銅で緑の宝石が付く。
ここからは報酬も潤ってくるため、生活には困らなくなるという。
青き翼のメンバーがこのD、Cランクに位置している。
ちなみにデニスがDランクで、ダイソン、モニカ、バーバラがCランクだ。
この辺りが冒険者の中で、最も人数が多いランクなのだという。
そしてBランクからが、一流冒険者として扱われる。
Bランクのプレートは、銀で青の宝石が付く。
それなりの才能が必要で、ここからは昇級試験も難易度が跳ね上がると言う。
ここからは貴族の指名依頼などもあるため、国からの信頼も必要となるのだ。
Aランクは冒険者の頂点として扱われる。
プレートは金で赤い宝石が付く。
一握りの者だけが至れるランクで、かなりの才能が必要になるという。
ここからは国からの指名依頼もされるようになり、貴族のような扱いとなるようだ。
この国でも数人しか存在しないランクなのだという。
Sランクは特別なランクで、5人以上のグランドマスターの、承認が必要なランクなのだという。
グランドマスターとは、それぞれの国にいるギルド長のトップで、一国にたった一人だけしかいないらしい。
まあオレがそんな奴らに会う機会があるかどうかは、わからないがな。
Sランクのプレートはミスリルとなり、そのプレートには、紫の宝石があしらわれるという。
Aランク以上の高待遇となり、王族とのつながりも生まれるという。
伝説上のランクで、この国に一人いるとかいないとか・・・・
どっちだ!?
こうしてオレは冒険者になったのだが、そんなオレにはもう一つの懸念があった。
それは今晩宿に泊まるためのお金がないことだ。
街で野宿すると言う手もあるが、ミノさんという従魔を連れたオレが、屋外で過ごすだけでどれだけ目立つことか。
オレはなるべく目立ちたくはないので、それは却下だ。
最悪街のどこかにダンジョンを造って、そこで寝泊まりするという手もあるが、見つかった場合が大変だ。
街にダンジョン出現とか、しゃれにならないほど、大騒ぎになるだろう。
まあ、ダンジョンに見えないようにカモフラージュも可能だが、どのみち他人の土地を改造すれば、問題になる可能性は出て来る。
だが事前に色々と、青き翼のメンバーに相談していたオレは、この街に来る前に、ある物を準備していた。
青き翼のメンバーに聞いた話によると、冒険者ギルドは素材を買い取ってくれるらしいのだ。
つまりオレが準備しておいたのはある素材だ。
「これいくらで引き取ってくれますか?」
「なんだそりゃあ? ・・・・もしかしてミスリルか!?」
オレが用意しておいた物・・・・それはミスリルの延べ棒だ。
オレは一度ダンジョンで吸収した物を、アイテム製作モードで素材として使用できるのだ。
アイテム製作モードは、オレが自由にアイテムを製作可能な、ツールのようなものだ。
そこでアイテム製作モードを使い、ミスリルの延べ棒を造ったというわけだ。
だがそのミスリスの延べ棒は、あえて小さく造ってある。
それはミスリルの量が多すぎると、高額すぎて買い取ってもらえないかもしれないからだ。
なのでミスリルの延べ棒を小さく造り、小出しにして売りつけていくのだ。
また素材を金ではなく、ミスリルにした理由は、ミスリルが金より目立たないからだ。
ミスリルは一見するとただの鉄にしか見えない。
ミスリルの特徴は、ほのかに放つ光と、高い魔力伝導率と軽さだ。
そのどれもが手に取って見ないと、わからない物なのだ。
遠目で見ると、鉄とそう見分けがつかない。
つまり金はトラブルを引き寄せるが、ミスリルはトラブルを引き寄せにくいというわけだ。
「この量なら・・・・100万ガレーでどうだ?」
ミスリルの価値については、青き翼のメンバーに確認済みだ。
ミスリルには金の二倍の価値が付く。
それを踏まえた上で、この大きさのミスリルの延べ棒が、果たして100万ガレーで妥当かどうかというと・・・・まあ真っ当な値段である。
誠実さが売りだというアガートは、冒険者が不利益を講じるようなことはしないという話だ。
ここでもっと粘って交渉して、売価を引き上げてもいいかもしれないが、がめつい奴だと思われるのはあまり好ましくはない。
第一印象は大事である。
「その値段でお願いします・・・・」
「リヒトよう・・・・少しは値上げ交渉しようぜ?」
そんなオレに、ダイソン他青き翼のメンバーは呆れるが、オレはあっさりとその金額で了承した。
こうしてオレは、宿に泊まるための資金を、手にしたのだった。
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