13:ダンジョンマスター冒険者を案内する
「おお! これがダンジョンの最深部か・・・・」
森で昇降機に乗ったオレ達は、ダンジョンの最深部付近にある、隠し部屋へと到着した。
するとさっそくダイソンが隠し部屋の扉を開け、その外にある最深部を覗き込んだ。
「この馬と・・・荷馬車はどうする?」
「この隠し部屋に置いておきましょう」
そんな中モニカが馬の荷馬車の置き場について尋ねて来た。
このダンジョン内の温度は安定しているし、馬などの生き物を置いておいても問題はないだろう。
「ダイソン・・・・はしゃぎたい気持ちはわかるけど、まずは安全確認・・・・」
「おう! わりいなバーバラ!」
バーバラに叱られたダイソンは、バツが悪そうに謝罪した。
「さっきも思ったんだが・・・・随分と閑散としてんな・・・・」
「ていうか何もない?」「ダンジョンの最深部らしくない・・・・」
改めて隠し部屋を潜り、ダンジョンの最深部に行くと、そんな感想が漏れた。
それもそのはず、このダンジョンの最深部は通称ラスボス部屋と言われ、普段ならモンスターがごった返し、ラスボスが待ち受けているはずなのだ。
ところがいまだかつて、冒険者が訪れたことのないこのダンジョンでは、そのモンスターの大群すら、召喚する必要すらなかったのだ。
なので今もこの部屋にいるのは、2人だけだ・・・
「あ! 誰かあそこにいるよ!」
モニカが指し示した方向には、盤上を広げ向かい合って、囲碁に興じる2人がいたのだ。
「おや? 主様・・・お帰りになられたのですね?」
「・・・・・」
それはこのダンジョンのラスボスを任せているネクロ爺と、その配下の名もなきレイスだ。
ネクロ爺とあのレイスは、暇さえあれば囲碁をしている。
お茶を飲みながら囲碁に興じるその姿は、まるでお爺ちゃんのようだ。
「ちなみにあのネクロ爺がこのダンジョンのラスボスってことになっているから」
「あれでいいのかラスボス・・・・」
オレがネクロ爺を紹介すると、ダイソンは呆れたようにそう呟いた。
ちなみに冒険者たちがここへ来ることは、既に皆に念話で伝えてある。
このダンジョン全てが、オレの体の一部みないなものだから、念話でだって伝えることが可能だ。
「皆首を長くして主様の帰りを待っておりますぞ? さあ・・・・あの最奥の部屋へ戻り、元気な顔を見せてあげてくだされ」
「大げさだよネクロ爺・・・・」
まるで長いこと、このダンジョンから出ていたような言い草だが、オレがこのダンジョンから出ていた時間は、せいぜい2時間くらいだ。
そのネクロ爺の言い草には、さすがのオレも物申したくなる。
オレはネクロ爺との挨拶を終えると、最深部のさらに一番奥にある、隠し扉のある壁を目指した。
「あの先に隠し部屋がありまして・・・・その先がオレの家みたいなものなんで・・・・」
「なんか色々台無しだな・・・おい」
ダイソンがそう言いたくなる気持ちも、わからなくはないが、オレにとってあの隠し扉の先にある畳部屋は、今のオレの心のよりどころであり、癒しの場でもある。
その畳部屋にはいつものメンバーがおり、皆和気あいあいと過ごしている。
そう・・・・あれこそが今のオレの家と呼べる場所なのだ。
「こちらは畳部屋ですので、土足は禁止です。靴は脱いで上がってください」
「おお・・・・。まるで貴族の特別な部屋のよう・・・・」
「そうなのか? 俺には家に上がるのに、靴を脱ぐ意味がわからんがな」
「すごいよこれ! 乾草の絨毯なんて初めて見た!」
青き翼のメンバーを畳部屋に案内すると、さっそく靴を脱いで上がってもらった。
ダイソンはぶつぶつと文句を言っていたが、女性二人には畳部屋は好評のようだ。
「主様お帰りなさいませ!」
「主お帰りわん!」「ばうばう! 主お帰り!」
「ぶももももおおお! 主帰還!」「むっほむっほ!」
「「主・・・・お帰りなさいませ」」
畳部屋に入るや否や、アルカードを始め皆のお出迎えがあった。
「皆ただいま!!」
そのお出迎えに対して、オレも笑顔で挨拶を返した。
「うお!! ヴァンパイアにミノタウロス2体だと!!」
「変異種のコボルトも2匹いるよ!」「オークよりもやばそうなモンスターばかり!」
ところがそのお出迎えは、青き翼のメンバーには刺激が強かったようだ。
武器を構えて警戒している。
それに反応して、アルカードの目つきが鋭くなり、ミノさんとタウロさんの鼻息が荒くなる。
まさに一触即発の状態だ。
「安心してください! 彼らはオレの家族みたいなものですから! 皆もお客さんを睨まないで!」
「か、家族だって? 本当に大丈夫なんだろうな?」
「襲ってこないよね?」「・・・・・・」
オレがそう言って宥めると、青き翼のメンバーは、恐る恐る武器を納めてくれた。
それに応じてアルカードやミノさん、タウロさんも警戒を緩めていく。
なんとか戦闘になるような事態は、避けられて良かった。
彼らへの説明は、もっと入念に行うべきだったかもしれない。
ぐうぅぅぅ~
「すまねえ・・・・俺の腹だわ・・・・」
「そういえば今日は朝から何も食べてなかったね」
「私もお腹空いた・・・・」
すると安心して緊張が解けたのか、青き翼のメンバーが空腹を訴え始めた。
「何かご馳走しましょうか? 食べ物なら沢山ありますよ?」
オレのダンジョンポイントがあれば、いくらでも食べ物を出すことが可能だ。
「うえ・・・! モンスターの料理だと?」
「大丈夫なのそれ?」「・・・・・げてもの?」
そんな中青き翼のメンバーは、オレの料理に懐疑的な様子。
ここは美味い料理でもてなして、度肝を抜いてやろうではありませんか。
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