表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第3話 陰謀の影と、冷徹公爵の微笑

宮廷に春の訪れを告げる華やかな舞踏会の日。

杏は、新たに仕入れた薬草の確認を終え、身支度を整えていた。

今日の任務は単なる出席ではない――宮廷内で発生した連続食中毒事件の監視だ。


「杏、今日の晩餐も君に任せる」

リオンの声は、いつも通り冷たいが、そこには明らかな信頼が含まれている。


杏は小さく頷き、薬袋を肩にかけたまま大広間へと向かう。

舞踏会場は豪華絢爛で、王族や貴族たちが美しい衣装に身を包み、優雅に談笑している。

しかし、その華やかさの裏に潜む不穏な空気を杏は感じ取った。


「……また、誰か狙っている」

前回の事件で味を占めた者が、再び毒を仕掛けようとしている――杏の直感は的確だった。


晩餐が始まると、杏は密かに飲食物を分析。

微量の異常反応を示したワインを確認し、調合した解毒剤をこっそり配合する。

その手際の良さに、リオンも感心の色を隠せなかった。


「杏、君の判断、間違いないな」

リオンの目がほんのわずかに柔らかくなる。


事件は未然に防がれ、舞踏会は一見、平穏に進むように見えた。

だが、宴が終わった後、王宮の書庫で怪しい影を目撃した杏は、直感的にその人物の正体を探り始める。


「……これは偶然ではないわ」

書庫に残された薬草の種類と保管状況に、不自然な痕跡があった。

誰かが宮廷内で、計画的に毒や奇病を操ろうとしている――その影が、リオンの目に止まった。


「杏、その件、君一人で調べるのか?」

リオンは珍しく、声を低くして問いかける。

「はい、公爵様。私の責務です」

杏は毅然と答える。

しかし、リオンは自分の手を差し伸べるように、そっと背後に立った。


「危険な時は、私も一緒に動く」

普段は冷徹な公爵の、その言葉に杏は心臓が跳ねる。

――信頼と微かな親しみが、二人の間に芽生え始めている。


その夜、杏はリオンと共に書庫を調べ、怪しい痕跡を追跡。

証拠となる薬草の断片を発見し、犯行の意図が宮廷内の権力争いに絡むものであることを突き止めた。


「この事件、ただの毒殺未遂ではない。陰謀が宮廷に忍び寄っている」

杏の声は真剣そのものだった。

リオンも頷き、冷徹な表情の裏に、ほんの僅かな笑みを浮かべた。


「……君と一緒なら、どんな陰謀も防げそうだ」


杏の胸は高鳴る。契約結婚という形式だけの関係だったはずが、事件を通して互いの信頼が着実に深まっている。

宮廷の陰謀の影に立ち向かう二人――その絆は、少しずつ契約以上のものになりつつあった。


杏は心の中で誓う。

「これから起こるどんな事件も、私は公爵様と共に乗り越える。そして、信頼を深め、冷たい氷の心も溶かしてみせる――!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ