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月蜜の乙女と星屑の化身

 そして、作り出される魔力は隣人達からは極上の蜂蜜酒の香りがするらしい。


「シメールいいかい?お前の様なものをレアナン・ナン・ジーハンというのさ。魔力を無限に作ることが出来、そして周りから吸収することが出来るのさ。だがその代償も大きい……吸収するのは魔力だけではない。人より良く見ることが出来る……つまり記憶や感情の共有がされてしまうし負の力……つまり呪いすら吸収してしまう可能性があるのさ。だからレアナン・ナン・ジーハンは短命と言われているのさ。だからこそトリトンはシメールを楽園に閉じ込め神から愛されないようにしていたのさ。まぁ、シメールお前はあの不老不死のベニクラゲの遺伝子が受け継がれているんだ。そう簡単に死ぬ事はないだろうさ……だが気になるのは、精神崩壊の可能性だね。負のものに触れて来なかったシメールお前には負のものに免疫がない。それに触れたとき精神が壊れてしまう事は避けなくてはいけないよ。」

「でも……それは、どうしたら……本でしか知らないんです。城にある本は全部読んだので想像することしかできないんですが。」

「クスクスっ……そうか、想像は出来るのかい!なら、話は早い!後は経験をし悩み失敗をし答えを見つければいいのさ。お前は、幸運な子だよシメール!本で知った知識……感情を想像できているってことは再現できるという事さ。そういえばお前……あの愚弟から何か貰わなかったかい?それかい?見せてごらん……あの愚弟もいいものをよこしたね。さぁ!仕事だよ!シェルキー!」

「サメリア様!なんだい?ロビンじゃないか!」

「シェルキー!落ち着くんだ……ほら、ロビンの為に力を貸しておやり!いくよ!」


 ―アイギスヒャルムル 我に強き門を―

 椿の棘で 悪意を穿ち

 鮫皮の盾に 月の滴を

 恋文燃ゆる 炎の輪の中

 永久とわの結び目 解くまじく


 Cuach an ghrá, faoi bhrat na hoíche

 (愛の杯よ、夜の衣に包まれ)


 サメリアとシェルキーが詠唱をするとトリトン様から貰ったガラスペンが青白く光った。そうすると海の女神がそっとガラスペンに口づけをして行った。すると青白い光りが消えた。


「ほらシェルキー!これをやるよ!対価だ。」


 サメリアがシェルキーに真珠をいくつか渡すとシェルキーは嬉しそうのお腹のポケットにしまい込んだ。


「ロビン!俺はサメリアを贔屓してるんだ。だからロビンを贔屓にはできないけどよろしいるとくな!それじゃ―な!」


 そういうといなくなってしまった。目を見開いて驚いていると……サメリアに頭をワシャワシャ撫でられた。


「さっきのはシェルキー私の使い魔さ……気まぐれな奴だが仕事はする隣人さ。このガラスペンはトリトンとその父ポセイドンそして海の女神の祝福そして私の魔力を込めることで完成するのさ。さぁ、もってごらん……」


 ガラスペンを持つと体の中に何かが流れていることを感じた。手や足が七色に光っていた……ふと周りを見渡すと小さな隣人たちがはっきり見えた。私の様子をみていたサメリアが満足そうにこちらを見ていた。


「シメール見えるようになったね!さぁ、今日はもう遅い続きは明日にするよ!明日は出かけるよ!シルキー風呂と寝床を用意しておやり……」


 シルキーに手を引かれてお風呂に連れてかれた。お風呂には見たことのないハーブが入っていて……いい香りがした。明日はお出かけか……生まれて初めてだな……なんて思いながらゆっくり入ってから眠りについた。夢を見た……初めての経験だった。サメリアと誰かに会った……名はアナベル?

 一体……誰なんだろう……気づくと朝になっていた……。目を覚ますとシルキーと目が合った。


「えっ!シルキーおはよう……」


 シルキーは微笑むと頷き抱き着かれた。それからリビングに降りるとサメリアはコーヒーを飲んでいた。


「シメールおはよう……さぁ!朝ご飯を食べたら出かけるよ!今日はお前に必要なものを買いに行くからね。あの愚弟から、たんまり頂いてるからね……」


 そういうと大量の金貨の入った袋をうっとりと撫でていた。シルキーの作る食事はどれも、とても美味しくシルキーからの愛を感じられるものだった。食べ終わるとサメリアに呼ばれた。


「いいかい?今日は人間の世界に出かけるよ!だがこの姿のままじゃダメだ。」


 棚からキラキラと輝く碧い砂が入った小瓶を持ってきて小さな試験管に砂と真珠そして珊瑚を入れ呪文を唱え始めた。


 永劫の海の水霊よ

 我に人の姿を授け給え

 二つの岸の盾

 疑いなき瞳の真実


 詠唱が始まると試験管の中身がブクブクと泡が出たと思ったらポンっ!って煙が立つと小さな星の宝石の様な結晶が出来ていた。試験管をサメリアは持ち上げて片目を閉じ試験管の中をじっと見て納得したのか、ニヤリとした。

「シメールこれを飲み込みな!大丈夫……毒じゃないさ。これはね……人の姿に変身する為のものさ。ほら良いかい?この星を飲むと……」


 サメリアが星を飲むと鮫の尾ひれが人の足に変化し、青かった手や腕も肌色に変化していた。ザラザラした質感じゃなくてモチモチした肌の変わっていた。

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