03_ひき逃げ【損害補償編】
キズも癒えて、普段の生活を取り戻しました。
残ったのは、この1か月で蓄えた脂肪と、保険会社への請求権です。
【タクシー代など】
事故にあって最初の1週間は、自宅から職場まで直行でタクシー通勤をしました。
それ以後は、職場最寄り駅から職場までの経路でタクシーを利用しました。
歩くと、膝の松ヤニみたいな湿潤駅が漏れ出てくるのよ……。
しかし、家から職場へタクシー通勤するだなんて、まるで重役にでもなった気分でしたね。
せっかくなので、タクシーの車中ではコンビニで買ったお酒を飲みながら帰ったり、タクシーの運転手さんに『ここで轢き逃げされたんっすよ~』とエピソードトークを披露したりしていました。
なお、タクシー通勤を止めた直後に、酷暑期間に突入したので、保険会社にネゴシエイトしてタクシー利用期間を伸ばしてもらえばよかったと後悔しました。
まぁ、タクシー料金は実費分をそのまま貰うだけなので、立て替えていた分を払ってもらったという感じで、特にプラスはありません。
【休業補償】
通院や警察手続きの際には半日休や1日休みとして有給休暇を取得しました。
『有給』休暇なら給料は減らないんだから、休業補償はゼロかなと思っていましたが、本来別のことに休暇が使えたのに、通院や警察手続きという、決して愉快ではない用事に使わされたので、補償されるとのことでした。
これらの補償を受けるにあたり、就労証明書や勤務記録、休暇取得記録の証明を、自身の勤め先の総務部署に作ってもらう必要があり、担当者には要らぬ仕事を増やしてしまい恐縮の至りでした。
【慰謝料】
おなじみの慰謝料ですが、別に裁判をして金額を決めたわけではなく、保険会社の指標に基づいた金額が支払われます。
ケガによる生活の不便や、仕事への影響などに対する総合的な補償です。
なお、『事故のせいで親の死に目に会えなかった!』だとか『旅行直前に怪我をさせられて旅行がキャンセルになった!』といった、個別の事情は勘案されず、あくまで通院期間を基準とした一律の金額なので、個別に勘案してもらいたい事情があった場合は、保険会社と個別の交渉になるでしょう。(この場合はおそらく弁護士案件になるのでしょうか?)
私も轢き逃げなので、被害感情は通常の貰い事故より強いと自負しますが、その点も慰謝料では勘案されません。
通院1か月なら当時12万円程度でした。
【物的損害への補償】
お待ちかねの物損への補償です。私の乗っていたアルミ製ロードバイクは購入してちょうど4年目に入った所でした。
保険会社へ提出する資料には、製品名、買った時期と価格を記入します。現在価値での補償が原則なので、減価償却された金額になります。
まぁ、買った時期や価格は自己申告制で、レシートの提出までは求められないので、正直どうとでもなります。(自転車本体は防犯登録やメーカーの車体登録で買った時期がすぐにバレちゃいますけど)
ちなみに私は、金額はすべてメーカーカタログに記載された定価で算出しました。
買った時の金額なんて覚えてないし、レシートも残ってないしね。(すっとぼけ)
なお、買った時期については、きちんと正直に書きました。
自転車もフレームに傷はつきましたが、変形したりはしていませんでした。
しかし、外からは見えないフレーム内部に実はひびが入っていて、数か月後に「ポキンッ!」ということもあるそうです。
自転車のフレームをスキャンして内部まで検査するという方法も、あるにはあるそうですが、検査自体が高額で、しかも順番待ちで数か月の期間を要するそうです。
そうなると、ロードバイクが無い間の代車の対応が必要になったりと、いたずらに代車のレンタル期間と補償額が膨れ上がっていくことに。
なので、保険会社から後顧の憂いが無いよう、全損扱いでと言われました。
まぁ、この辺は保険会社やケースによって対応はマチマチなのでしょう。
結果、満足のいく補償金額となりました。やったぜ!
実際にかかった修理代金や後輪の購入費用を抜くと、新車が買えるというほどではありませんでしたが、それなりの額になりました。
シフトレバーやワイヤー、ハンドルも新しくなりプチオーバーホールをしたようなもんです。
そう。保険会社的には全損扱いですが、結局私はそのまま、事故したフレームのロードバイクに乗り続けました。
カーボン製のフレームの場合は炭素繊維で、外からは見えない内部が破断しているケースがあるのですが、金属であるアルミフレームならまず大丈夫だろうと、自己責任で乗り続けました。
その後、数年間、何の問題もありませんでしたが、良い子はマネしないほうがいいです。命大事。
なお、休業補償と慰謝料は、ケガで迷惑をかけた家族に還元という事で、家族旅行でパーッと使いました。
職場の同僚にもケガで休んで業務上迷惑をかけたので、いつもより豪華なお土産を買っていきました。無論、就労証明でお世話になった総務部署の方にもね。
しかし、私はたまたま払いのいい保険会社に当たりましたが、ネットで調べると、納得のいかない金額提示で怒っている被害者も多いようです。
ケガも深刻な後遺症が残る可能性もありますし、きちんと任意保険に入っていない加害者に当たると最悪です。やはり遭わないにこしたことはないですね、事故は。
なお、ひき逃げ犯のその後は特に知りません。
私が直接の電話での連絡を拒否したので、謝罪の手紙が一通来たきりです。
まぁ、その謝罪の手紙も、こっちから相手方保険会社に、
「電話NGイコール謝罪不要という意味ではないんだが?」
と伝えて、ようやく送ってきた代物なんですがね。
手紙の内容も、ネットで調べればその辺に転がっているような適当な定型文の謝罪文で、
『私の不注意ですみません』
的な、ひき逃げという行為をしたことには文中で一切触れない卑劣さに、イラつきが増すだけの文章でしたがね。
ひき逃げ自体は否認でもしてたんですかね? 『人だと気づかなかったんです~』とか警察に供述してたとか。クソが。
なお、ひき逃げ犯には、免許一発取消の欠格5年の行政処分が下ったものと思われます。
欠格5年とは、免許を取消されてから5年間は免許の再取得が出来ないという意味です。
被害者が軽傷なら3年で済むようですが、私の怪我の程度は中等傷という、軽傷と重傷の間なので5年となります。
刑事訴追されたのかはわかりません。
特にその後、検察から連絡があったわけではないので不起訴だったのかもしれません。
金銭的な補償はなされたので、被害者と示談が成立しているから不起訴という扱いになったんでしょうかね。
ちなみに、ひき逃げ犯は割と高齢な男性でした。
なので、5年間の欠格期間があけても既に後期高齢者の年齢ですから、おそらくは免許再取得は叶わなかったと思われます。
彼も人を殺めてしまったり、相手に重い後遺障害を負わせるなどの、取り返しのつかない過ちを犯す前に、車の運転から引退できたことを不幸中の幸いとして戒めて欲しいですね。
でも、逃げたことはマジ許さん。
ひき逃げ犯は滅びよ!
【おわり】