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とある小説家たちの出会い

作者: 鈴花雪嶺

書きたくなったので書きました。楽しんでいただけると幸いです。

 カタカタカタカタ……


 キーボードの音だけが響く部屋の中、何やら険しい表情の一人の青年がいた。


 「……ッ!……チッ!…………ッしゃぁぁぁぁぁあ!!」


 一人百面相していた青年は大声を上げると興奮気味にキーボードを叩き始める。


 『お疲れ様です!いや〜ヒカリさんナイスアシでした!』


 『いやいや、ルナさんこそ序盤すごかったですよ?』


 『いやいや、桜さんの索敵のおかげですよ!』


 彼がやっていたのは今流行のFPSゲームだった。別に大会に参加していたというわけではない。だが、手強い敵を倒したら勝利に歓喜し仲間と勝利を喜びたい。それはゲーマーの性だった。


 青年のプレイヤーネームはルナ。彼はヒカリと桜というプレイヤーと別のゲームで出会い、意気投合。それからはよく三人でチームを組んだり協力したり、時には対戦をしたりする関係になっていた。


 そんな中、FPSゲームのプレイが一段落したルナたちはいつも使っているチャットアプリへ場所を移して話を続けた。


 桜『そういえば、僕たちが知り合ってそろそろ二年になりますよね』


 ルナ『そうですね。チームワークもかなり高くなりましたよね』


 桜『ああゆうゲームでボイチャしないのってなかなか珍しいですよね』


 ヒカリ『まあ、そうですよね。でも無理しなくてもいいんじゃないですか?私達のペースでやっていけばいいと思いますよ」


 桜『そういえば、僕たち一回もあったことありませんよね。どうですか、今度オフ会でも』


 ルナ『え?オフ会ですか?』


 桜『無理にとは言いませんよ。でも直接会って話したいなぁと思いまして』


 ヒカリ『私はいいですよ。ルナさんはどうしますか?』


 ルナ『私も大丈夫です』


 桜『決まりですね!それじゃあ、日時を決めましょうか。ちょうど来週連休があるのでその時とかどうですか?』


 ヒカリ『私土曜行けないんですよ……。すみません……』


 桜『私は月曜が予定が入ってるんですけど……。ルナさんは予定大丈夫ですか?』


 ルナ『私は3日とも大丈夫です』


 桜『それでは日曜で大丈夫ですか?』


 ルナ『大丈夫です』


 ヒカリ『私もそれで大丈夫です』


 桜『時間はどうしましょうか』


 ルナ『10時からとかどうですか?』


 桜『いいですね』


 ヒカリ『私も大丈夫です』


 ルナ『あとは場所ですね』


 ヒカリ『やっぱりハチ公とかですかね?』


 桜『それでも大丈夫ですよ』

 

 ルナ『私も大丈夫です』

 

 ヒカリ『決まりですね。では、また日曜日に』


 ルナ『そうですね。また日曜日に』


 桜『また』


 青年……ルナはふぅーっ、と息を吐いて先程までチャットをしていたパソコンの画面を見つめる。


 二年も一緒に(ゲームで)苦楽を共にし、(ゲームで)戦ってきた仲間だが、実際に会うのは初めてだ。多分全員男だろう。いや、そんなことより、あの人達は現実でもいい人だろうか。何かヤバいことに関わっているんじゃないか。そんな考えがルナの頭の中を埋め尽くしていた。




 ……あっという間に時間が流れ、約束の日が訪れた。


 午前九時三十分。渋谷駅前ハチ公広場。ルナは桜とヒカリからの連絡が来ていないかを確認しながら二人が来るのを待っていた。


 ルナは時間に余裕をもって行動するタイプだ。だが、今回は楽しみという気持ち半分、遅れられないという気持ち半分で集合時間ギリギリに着く電車の三本ほど前の電車に乗ってきたので、集合時間よりもかなり早く着いたのだ。


 「まだかな……」


 今の素直な気持ちをつぶやきつつ、自分の服装を確認してみる。


 ジーパンとそれと同じような色の青いティーシャツ。小さめのショルダーバックにはスマホと財布、買い物時に使うエコバックのみが入っていた。これだけあれば十分……なはずだ。


 そんな事をしばらく考えていると、バックのケータイがなった。


 ヒカリ『着きました!お二人はもう着いてますか?』


 ルナ『私はもう着いてます』


 桜『私も今ついたところです』


 ルナ『ハチ公前にいるんですが、お二人は何か目印になるものはありますか?』


 桜『目印と言えるものは……』


 ルナ『私はハチ公の真ん前に立ってます』


 桜『わかりました!』


 ヒカリ『私も白いシャツにベストということくらいしか……。今からルナさんの方へ向かいます』


 ルナ『わかりました。特徴にあった人を見つけたら声をかけますね。』


 ルナ『そういえば、私、黒い日傘をさしてました』


 ヒカリ『わかりました!そろそろ駅出ます』


 数分。数分後には自分の前にはあの二人がいる。その非現実感とワクワク感を感じながら、でも不安もあるような、複雑な気持ちのまま、ルナは二人を探し始めた。


 「あの〜……」


 「はい、何でしょう?」


 ルナの背後から不意に声がかかった。


 声をかけてきたのは自分より少し年下の十代後半に見える青年(?)。黒髪に動きやすそうなゆったりとした服装で、淡い桜色のようなシャツの上からチェックのシャツを羽織っている。


 「ルナさんですか?」


 「……桜さんですか?」


 ヒカリは白いシャツにベストを着ていると聞いていたので、ここで自分をルナと呼ぶのは桜しかいない。


 そのルナの考えは当たっていた。


 「やっぱりルナさんでしたか!はじめまして!桜です!」


 「はじめまして。ルナです」


 「……あの〜……」


 二人が挨拶をしているところへおずおずと声がかけられた。


 茶髪に白いシャツと黒いズボン。ズボンと同じ黒のベストを前を開けてシャツの上から羽織っている。雰囲気は落ち着いているが、若く見える。年の頃は二十代後半といったところだろうか。


 「ヒカリさんですか?」


 伝えられていたヒカリの特徴とあっている青年に対し、ルナが声をかけると……


 「はい!はじめまして、ヒカリです。ルナさんと桜さん……ですよね?」


 「はじめまして、ルナです」


 「はじめまして、桜です」


 全員が揃ったところでもう一度軽く挨拶をして、お互いのことをじっと見る。今まで画面の中でしか会ったことのない仲間。二年越しの出会い。感慨深さを感じるには十分だった。


 「……これからどうします?」


 「……とりあえず、どこか行きますか?」


 「いい感じの店とかですか?」


 「そうですね……どこか知ってます?」


 「いや……私はこのあたりにあまり詳しくないので……」


 「隠れ家的なカフェなら知ってるんですが……」


 「いいですね。ヒカリさん、案内お願いできますか?」


 「はい。では、行きましょうか」


 道すがら、ルナたちは世間話や近況などを話し合っていた。


 「へぇ〜。ルナさん多趣味なんですね。お菓子作りにピアノですか……」


 「右手だけしか引けませんし、あまり上手くないですよ。桜さんこそベース引けるんですよね?」


 「僕もあまり上手じゃないですよ。ヒカリさんは絵を書くんでしたっけ?僕は絵が上手くかけないので羨ましいです」


 「僕だって……こんなもんですよ」


 ヒカリは自虐的な表情を浮かべながら、スマホに保存してあった自分の書いた絵を見せた。


 「すごいじゃないですか!上手ですよ!」


 「そんなこと……」


 ルナは素直に自分の気持ちを伝える。ゲームやアニメのキャラの模写や、服や仕草を変えた絵、さらにはオリジナルと思われる絵もあった。


 「僕は小説を書きたいんですけど、文章が書けなくて……」


 「私も小説は書くんですが、なかなか名前とか設定が決められなくて……」


 「お二人も小説を書くんですか?私も書きたいんですけど……文章と設定がなかなか」


 「「「…………」」」


 このとき、三人の考えは完全に一致していた。すなわち、『分担して小説を書こう』と。


 「「「あの!」」」


 「「「あっ、すみません」」」


 「「「…………」」」


 一斉に話だし、一斉に黙る。仲がいい三人を代表して、ルナが話を切り出した。


 「あの、桜さんが設定、私が文章、ヒカリさんが絵を書いて小説を書きませんか?私、なろうに投稿してるんですが、私達で作った小説をそこに上げる、というのはどうでしょうか……」


 「いいですね!」


 「ぜひ、やりましょう!」




 全ては二年前のあの時……いや、ここから始まったんだ。


 数日後、とある小説投稿サイトに月光桜というハンドルネームで挿絵付きの小説が投稿された。


 小説の評価?それは……悪くはなかったです。


 三人はあれから度々顔を合わせているようです。ゲーム内でも、リアルでも。


 あの三人はしばらくあとに小説家として本格的に活動しようと動き出すのだが……それはまた次の機会に。

初の短編です。読みづらかったり、拙い部分もあったとは思いますが、最後まで読んでくださりありがとうございます。楽しんでいただけたなら幸いです。作品説明にもある通り、リクエストがあるか、続きを思いついたら続きを書こうと思います。

読んでくださりありがとうございました!

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