草原での討伐そしてスキルクリエイター
町を出て、近くの草原でモンスターを探し始めた。
もう昼は過ぎているはずなのに相変わらず日差しが強い。暑さに耐えながら周囲を見渡していると、白いスライムが少し離れた所にいるのを見つけた。
(新しいモンスターだ! そういう時にはまずアナライズっと……)
白いスライムにアナライズを使い、いくつかの情報を得ることができた。
名前はルニウムスライム。主な特性は魔法無効で、動きが素早く、体当たりとマジックアローを使ってくる。
(物理無効でなければ、剣で倒せるよな…… とりあえず戦ってみよう)
俺はスライムに向かって歩き始めた。しかし、スライムまでの距離を半分程に縮めたところで、こちらの存在に気づいたであろうスライムが一気に近づいてきた。
「は、速いッ!!」
そのままの勢いでスライムが体当たりを仕掛けてきたが、咄嗟に剣を構えて防ぐことができた。
スピードはあるものの、アダマンタイトと違い非常に軽いルニウムの特徴を持っているせいか、衝撃は思ったより少なかった。
(思ったより弱いかも? 気を取り直して反撃だ!)
そう考えた時には既にスライムは少し離れた所から魔法を放つ準備をしていた。
「もうあんな所に!? くっ……」
飛んできたマジックアローを剣で切り払う。確かに素早いが、動きは単純だ。そうであれば、次で決められるだろう。
スライムに意識を集中する。そして、スライムの動きを見てどこからとびかかって来るかを見極める。
「見えた! ここだッ!」
勢い良く剣を振り下ろすとスライムは視界から消えた。その直後、後ろからべちゃりと音がした。
振り向くと真っ二つになったスライムが落ちている。どうも体当たりの勢いで、そのまま後ろに吹き飛んだらしい。
(もっと加速して背後でも取られたのかと思った…… ひとまず討伐完了だ)
インベントリにスライムを突っ込んでからふと思い出す。
(せっかく素材を手に入れたんだから、例のスキルクリエイターを試してみるか……)
スキルクリエイターと念じて目をつぶってみると、突然星空のような空間に俺は立っていて、目の前に大量の職業名が書いてある板のようなものが並んでいた。
「なんだここは…… いや、一部のスキルを使った時に出てくる幻想空間っぽいな……」
幻想空間は自由に行動できる夢を見ているような状態で、感覚としてはいきなり違う空間に移動しているように思えるが、実際には自分の体はその場にあって寝ているような状態になっている。
(帰ってからやった方が良さそうだな…… とりあえず換金する分とスキルクリエイター分を考えて、多めにモンスターを討伐しておこう)
目を開けると今までどおり草原が広がっていた。とりあえず草原を歩き回ってまたモンスターを討伐することにした。
2時間後――
「日も暮れてきたし、今日はこれくらいにしておこう」
今日は何とかアダマンスライムとルニウムスライムをそれぞれ4体ずつ討伐できた。レベルが上がったことにより習得したヒールのおかげで、ポーションを節約することもできた。
ルニウムスライムは体当たりに合わせて切り払う以外にも、魔力を溜めている間に脚力強化で近づいても勝てることが分かった。アダマンスライムより倒しやすいが、とても素早いので、見つかってから逃げようとしても振り切れないのが厄介だ。
アダマンスライムは結構タフで、マジックエッジで2、3回攻撃しないと倒せないことが分かった。初戦で一撃で倒せたのは運が良かったのかもしれない。魔法しか効かないということで、ライトアローを使って倒そうとしたら、10発も必要だったが、まだ自分の魔法が弱いのかスライムが強いのかはわからない。受付嬢の言っていた通り、タフで倒すのが面倒な相手ではあるが、足が遅いので走れば逃げるのは簡単だ。転んだら重い金属の塊に体当たりされることになるため、倒せるなら倒したほうがよさそうだ。
スライムの倒し方も分かって、結構討伐できたことで少し明るい気分で宿に戻った。それにもう一つ楽しみなことがある。
俺はベッドの上に座ってスキルクリエイターを使ってみることにした。
再び幻想空間に移動する。相変わらず使い方はわからなかったが、幸い相談相手がいる。
「女神様ー すみません、スキルクリエイターの使い方が分からないんですが、まずどうしたらよいでしょうか?」
女神様に呼びかけると、空中に突如として女神様が現れた。転生した時に見た姿そのままだ。現実には姿を現せないが、俺の幻想空間になら現れることができるということなのだろう。
「はい! 今は職業から検索するモードになっていますね。これ以外にはスキル名や効果で検索するモードや素材から検索するモードがありますよ。こちらから切り替えられます。」
空間の端の方に"設定"と書かれた板があり、触ってみると説明を受けた通り検索のモードが出てきた。
今はこれといった具体的なスキル名が思いついていないので、素材から検索モードを起動してみる。
目の前に持っているアイテムの名前が並んでいる。
「設定を変えられました! ありがとうございます! ……まずはアダマンスライムから見てみよう」
アダマンスライムの板に触れると、いくらかのスキル名が空中に現れた。しかし、多くのスキル名は少し暗めの色で表示されている。
暗めのスキル名に触れると、スキルの説明と必要素材が表示された。アダマンスライム以外にも素材が必要で、今は習得できないことが分かった。
(なるほど、素材は複数必要な場合もあるのか…… 気を取り直して、習得できるものを確認してみよう)
明るい色のスキル名を確認してみたが、ヘビースマッシュや絶対防御など名前は魅力的だが、ハンマーや盾がないと使えないスキルが多く並んでいた。
(アダマンタイトに関係する重さや硬さを活かしたスキルしかなさそうだな…… 俺は剣しか使えないからわりと取れないスキルが多いかもしれない……)
その中で唯一使えそうなスキル、"頑強"をとりあえず取ってみることにした。このスキルはパッシブスキルで、持っているだけで体が頑丈になり、物理攻撃により耐えられるようになるらしい。
スキル説明の下にある"習得"の文字を触ると、目の前にアダマンスライムパウダーが現れて、光に包まれて消滅していった。そして、その光が俺の体に飛び込んできた。実感はないが、自分の所持スキルを見ると確かに頑強が増えていた。
(いきなり光の玉が飛んでくるのはびっくりしたけど…… ついにスキルを作れたぞ! この調子で他のスキルも取ってみよう)
その後、ルニウムスライムで取れるスキルを見てみたが、想定通り魔法関連のスキルがずらりと並んでいた。魔法のことはさっぱりわからないので、とりあえず魔法攻撃に耐えられるように"魔力耐性"を取っておいた。
さらに意外なことにポーションでスキルを取れるようだった。ヒールは既に持っているためか文字が暗くなっていたが、ヒールの効果を強化するために"回復性能アップ"を取っておいた。
結果的にパッシブスキルしか取れなかったが、どのスキルも普通であれば対応する職業のレベルで取得したり、特殊な修行で体得しなければならないところをアイテムだけで取れていると考えればだいぶ多くスキルを取れていると言える。
ともかく明日から戦いがだいぶ楽になりそうだ。
ひとまずギルドでスライムを1体分ずつ換金したところで、腹が減っていることに気づいた。
受付嬢に食堂の場所を軽く教えてもらって、この世界初めての夕食を食べることにした。




