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終盤戦に向けて

「ねぇ、これって……私たち勝ったってことよね?」

先ほどの崩落から救ってくれたのはロッティだったようだ。


「はい、条件は満たしたはずです……」

勝っているはずだが、魔神が健在のため、少し不安になる。


「お見事! 運命の車輪の破壊に成功したようだな!」

魔神が崩落した運命の車輪の上に立ちこちらに拍手を送っている。


「総評としては、ややもたついた所もあったが、破壊と引き付けで上手く分担できた点は素晴らしかった! よくもあの攻撃に耐え続けたものだ。」

「グッドゲーム! 君たちの勝利だ! そして、グッドラック! 君たちの戦いの道のりは長いだろうが、今は勝利に酔いしれるといい!」


崩落した瓦礫も魔神も光に包まれて消えていった。

そして、戦いで受けたダメージが全て復元されていく。ついに勝ったことを確信した。


「やったー! これでついに私も世界を救ったってことね! ……もちろん、キミが時間内にトドメを刺してくれたおかげだけどね」


「いえいえ、あの魔神相手にあそこまで耐えられるのは物凄いことですよ! あれがなければ勝てたかも分かりませんし…… というか、あれだけ強かったら冒険者でもかなりやっていけそうじゃないですか!」


「えへへ…… そう言ってもらえると嬉しいけど、あの変身も相手と同じぐらいの能力になるだけだし、時間制限もあるから、今回みたいに耐えることはできてもあれだけじゃ勝てないし、難しいのよね。」

「それにメダルはかけてもいいけど、命とかずっと掛けられるほどの覚悟もないしね。」


最近少し忘れかけていたが、冒険者は常に命の危険がある。

冒険者登録さえしていれば、捜索や蘇生のサポートを受けられはするが、それも確実ではない。

レベルが低いこと、損傷が激しいこと、死んでから時間が経ちすぎていること。

これらが重なると蘇生の確率は下がっていく。

いくら戦闘スキルがあっても、やりたくないと思うのは自然だろう。


話しているうちに、体が光に包まれ始めた。

テレポートを挟んでいないため、自動で元の場所に戻り始めていたのだ。


「今日はもう一生分戦ったって気分だけど…… キミはまだこれと同じぐらいの奴を何体か倒さないといけないのよね? 頑張って! 陰ながら応援してるわ!」


「はい! 必ず勝って見せます!」

返答し終えた直後、いつものように元の場所に戻って来ていた。


厳密に言うと石版さえ見つからなければ魔神との戦いは発生しない。

ただ、正直なところ残りの石版も教団が手に入れていても不思議ではない。

魔神を召喚した団員は全て消えてしまっているため、手掛かりは残っていないし、魔神戦はいつも突然始まっている。


(魔王や魔神だけでなく、邪竜教団もなんとかできればいいけど…… ここまで手掛かりがないとどうしようもないな。今はひとまず目の前の目標を目指して頑張った方がいいな)

できないことを考えるより、今できることをやろうと方針を決め、明日からは今後の戦いに必要な装備やスキルを増やしていくことにした。


残りの魔王は近距離特化の5番、遠距離特化の8番、その2つよりは強いであろう1番が残っている。

近距離戦は得意分野だから5番は苦戦しなさそうな気はするが、8番は魔法無効など持っていた時には苦戦しそうだ。

あとは、1番の魔王だが、まだ何も情報を持っていないことに気づく。


「女神様、1番の魔王の戦法や特徴について教えていただけるでしょうか?」


「1番の魔王は攻守共に隙がありませんよ。決まって強大なドラゴンの姿をしていますから、強力なブレスをはじめとした激しい攻撃、並みの武器では傷一つつかない鱗に覆われた体を持っています。」

ドラゴンと言えば誰もが知っている最強クラスのモンスターだ。

この魔王が最強らしいことも頷ける。


「ただ、この魔王に関しては本体の戦闘能力だけではなく、魔王門の場所も討伐難易度を大きく引き上げていますね。」


「場所ですか? 危険なモンスターがいっぱいいるとかですかね?」


「確かにそれもありますが、今のあなたには環境の方が厳しいでしょう。」

「その場所はホワイトクラウン。この世界で最も高く、険しい雪山です。頂上には楽園につながる階段があるとも言われ、噂を信じ登ろうとする人もいますが、Sランク冒険者であっても命を落とすことが珍しくない危険な場所です。」


確かにホワイトクラウンはかなりヤバい。

元の世界でもAランク以上のクエストしかなく、さらにSランクで特別な許可がない限り受けられないようなものまである。


「強力なモンスター、不安定な足場、猛吹雪、魔王にたどり着くだけでもかなり難しい上に、魔王自身も強力というかなり難易度が高い討伐となっています。」


「それはなかなか恐ろしいですね…… でも10回に1回はこの魔王が出てくるわけですし、今までも討伐されているんですよね?」


「それはそうですが、他の魔王と異なり数ヶ月どころか数年かかったことさえあります。そのため、この魔王が出た年は試練の年だったり、厄災の年とも呼ばれたりしていますね。勇者が加護によって確実に復活できる能力を持っていなければ討伐は絶望的だったでしょう。」


「やはりかなり厳しいんですね…… とりあえず環境への対策も必要ということはわかりました。ありがとうございます。」


とりあえず残っている魔王の中で1番の魔王が途轍もなく厳しい難易度だということが分かった。

そうすると、5番の魔王が今一番倒しやすそうな気はする。

ただ、魔王はともかく、魔神に関しては5番がかなり強そうな予感もする。


(一応、魔神の情報がないか聞いてみるか……)


そう思い立って、ひとまずは教授の所へ話を聞きに行くことにした。

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