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戦いは敵を知るところから

黒いスライムをしっかりと見据えて、意識を集中する。そうすると、何か小さな紙切れのようなものが目の前に現れた。


――――――――――――

名前: アダマンスライム

主な攻撃:体当たり

特性: 物理無効


説明:

アダマンタイトを体に含むスライム。重い体が特徴で、足は遅いが攻撃力も耐久力に優れている。

――――――――――――


なるほど、こいつはアダマンスライムという名前らしい。たしかに色合いがそれっぽい。

そんなことを考えていると、またスライムがとびかかってきた。流石に読んでる間も止まってはくれないらしい。攻撃を回避しながら他の内容にも目を通す。


どうも戦いに重要そうなのは主な攻撃と特性の2つの項目のようだ。そしてさっき攻撃が効かなかった理由を見つけることができた。


「よし、わかったぞ! 攻撃が効かなかったのは物理無効の耐性を持っていたからだ。そうと決まれば今度は魔法で…… いや、俺魔法使えないけど!?」

前世でジョブは戦士しか経験したことがない。そういえば、今回授かった勇者のジョブは魔法攻撃ができるのだろうか。心の中でスキル確認と念じてみたが、特に攻撃魔法のスキルは持っていないようだった。


前世と同じジョブ、スキルシステムであれば、授かったジョブに合う行動をし続けることでジョブのレベルが上がり、さらにジョブに合ったスキルを閃いて使えるようになる。今の俺は勇者になり立てで、勇者のレベルが1だからスキルを持っていないのだろう。

勇者であれば戦闘職だから、モンスターを討伐することがレベルアップの鍵になっているはずだが、こいつを倒せなければそれも叶わない。困ったことになった。


「勇者よ、魔法攻撃をそう難しく考えてはいけません。身体強化の要領で魔力を一か所に集中させるのです。まずは剣に魔力を集めて切り付けてみるのが良いと思います。」

見かねた女神様からアドバイスを貰ってしまった。確かに何か魔力を飛ばすことを必死に考えていたが、剣に集めるだけならできるかもしれない。


まずは腕力強化の要領で腕に魔力を集める。そしてその魔力を持っている剣に流すようにイメージする。

そうすると、剣の周りにぼんやりと白いオーラのようなものが見え始め、徐々にくっきりとしていった。後はこれをぶつけるだけだ。


また、体当たりを躱した後、そのチャンスが来た。最初と同じように勢い良く切りかかる。その瞬間、頭の中に文字列が浮かび、それを声に出してスライムを切りつけた。


「マジックエッジ!」

輝く刃を振り下ろすとスライムがただのゼリーのように易々と真っ二つになる。2つに割れたゼリーの塊はもう動かない。この世界に来て初めての勝利だ。


喜びを嚙みしめていると、頭の中に技のイメージが浮かんだ。

<ライトアロー> 光属性の小さな魔力の矢を連射できるスキルのようだ。恐らく勇者のレベルが上がったことで習得できたのだろう。ちょっと遅いと内心思ったがこれは仕方がない。


「よくモンスターを討伐しましたね。お疲れ様です。倒したモンスターの素材はスキル<無限インベントリ>で収納しておくと良いですよ。」

スキル名を念じてみると、目の前の空間に穴が開いた。そしてアダマンスライムのゼリーを楽々収納することができた。取り出す時は取り出したい対象をイメージしながら手を入れると探り当てることができるようだ。


「こんな便利なスキルまで授けて頂きありがとうございます。ところで、俺からは女神様を見つけられないのですがどこにいるんですか?」

さっきから凄く近くにいるように声が聞こえているが、周りには誰もいない。


「実は今の私には、実体を持つほどの力はなく、この世界に干渉することもほとんどできません。ですので、せめて助言だけでもと思い、霊体としてあなたのもとに来ました。町はこの近くにあります。光についてきて下さい」

霊体だったから見えなかったのかと納得していると、少し離れたところに光の玉が浮いていた。

そちらに向かって歩くと光の玉は一定間隔を保って移動していく。


光の玉を追いかけて歩いていると、町が見えてきた。しばらくはここが拠点になるだろう。

期待と不安を抱きながら、最初の町へと向かうのだった。




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