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南へ

宿屋に戻り貰ったお守りをアナライズで確認してみる。

名前は不屈のトーテム。所有者に危機が訪れた時、強い力を与えると説明されていた。

(まあ、言われたこととそんなに変わらないな……)


「勇者よ、よくぞ2番目の魔王を討伐しましたね! これで最悪の事態は免れました。それに、魔神の討伐もできましたね! 魔王が半分、魔神も4体でほぼ半分、かなり順調ですね!」


「女神様! ……いや、やっぱりソニア様って呼んだ方がいいですかね?」


「急にどうしました?」


「お恥ずかしながら、管理者から聞くまであなたの名前を知らなかったのです…… それで改めてどう呼べばいいか少し迷っていまして……」


「ああ、それならあなたの呼びやすい方で構いませんよ。昔も両方の呼び方で呼ばれていましたから。」


「じゃあ……やっぱり女神様にしようと思います。」

「早速ですが女神様、2番目の魔神ってどんなところが恐ろしいのでしょうか? 」

あの時は急いでいて聞くのを忘れてしまっていた。


「その魔神は戦闘能力自体はそこまで高い方ではないのですが、知識の試練を与えてきます。これは様々な知識が要求されるため、一人だと厳しいのです。」

確かにそれは厳しい。

特に俺は知識には自信がないのでなおさらだ。


「なるほど、それは確かに厳しいですね…… そういえば、管理者からこれを渡すよう言われていたんでした。」

女神様に例のルニウムの板を渡した。


「これは! ちょうど今作ろうとしていたところだったのです。ありがとうございます。」


「これにどんな効果があるんですか?」


「これと他にも数枚トークンを組み合わせると、一度きりですがこの世界に顕現できるようになるのです。2番目の魔神までに間に合わせようとしていましたが、これで間に合いそうです!」


「それはすごい! これなら2番目の魔神が出てきても怖くないですね!」


「はい、知識の試練は任せてください! その代わり、戦闘はお願いしますね。」


「もちろんです! それで……次はどこを目指すのが良さそうでしょうか?」


「次は…… 南の島<クレイワークアイランド>に行きましょう。ここの10番目の魔王は魔王の間に召喚されるとかなり戦いづらいと思います。」

以前貰った10体の魔物の絵を見ていると、10番目には蛇のような形の魔物が描かれていた。

これで3号並みの巨体だったらたちまち圧死させられるだろう。


「わかりました! 今回も船ですかね?」


「そうですね。エストポルトから船で向かって下さい。」


アルマギアに行った時同様にクレイワークアイランドに船で向かった。

こうして遠くに移動できることを考えるとエストポルトの魔王を早めに討伐できて良かったと思う。


前回同様モンスターを討伐しながらの船旅になった。

ただ、前回と違ったのは目的地に近づくにつれて、カラフルなモンスターが増えてきたところだ。

エストポルト周辺にあるサンゴに負けないほどきれいなサンゴもたくさん見ることができた。


(さて、スキルはどうだろう)

見たこともないカラフルな魚のモンスターが色々獲れた。

これだけあれば何か有効なスキルを取得できそうな気がする。


あからさまに毒々しい色で長い棘が生えた魚を見ると、何かスキルが取れるようだった。

(毒攻撃か毒耐性か…… これは毒耐性でいいだろうな……)


毒を与えるのはなんだか気が引けるし、攻撃技はそれなりに揃っているので毒耐性を取ることにした。

長い棘の魚に加えて、短い棘に覆われた魚、魚に張り付いていた地味な貝を素材にしてスキルを取得した。

(討伐した中にこんなにいっぱい毒持ちがいたのか…… 結構この辺りの海は危ないかもしれない)


色々見ていたが、もう一つ取れそうなスキルがあった。

(発光…… 洞窟とかに行くなら使えるか?)

なんだか微妙に使いづらそうなスキルだが、タダで取れるなら取っておく。


島に降り立つと、最初に巨大な山が見えた。

そして、正面には鬱蒼としたジャングルが広がっていた。

耳をすませば鳥の鳴き声らしい音がいくらか聞こえてくる。


「動物たちの楽園、クレイワークアイランドにようこそ! 」

何かガイドらしき人が話しかけて来た。

ただ、観光名所にしてはあまり旅行客らしき人は見当たらない。


「動物たちの楽園ということは、この辺りに色々な動物が見られるということですか?」


「はい、ここでしか見られない生き物がたくさん見られるのが特徴です! ……でも、魔王が復活している影響でモンスターが狂暴化しているので、今はツアー休止期間なんですよね…… あなたのような冒険者の狩場としては多少人気がありますが……」

確かにそれならあまり人がいないのも納得がいく。


話を聞いていると、鳥の鳴き声とも違う奇妙な音が聞こえてきた。

その空気を震わせるような音は歌のようにも聞こえる。

さらに、足元が少し揺れているような気もした。


「ちょうど創造の歌が聞こえて来ましたね。」


「創造の歌?」


「はい、魔王がいる場合のこの島特有の現象で、今体験している通り歌のような音が聞こえて、急に大地の形が変わります。ただ、形が変わる部分は粘土質の部分だけなので、ここのように砂浜だと特に変わりませんね。」

「精霊が粘土をこねて、それに歌で命を吹き込んでこの島に住む生き物たちを作ったという話から、この現象は創造の歌と呼ばれています。また、この話が島の名前の由来にもなっています。まあ、実際は魔王が起こしている異常現象なんですけどね。」

確かに原因を知らなかったらその話はちょっと信じてしまいそうな気もする。


「なるほど、そうなるとやっぱり生き物の種類が多い理由は謎ってことですか?」


「まあ、そうですね。とにかく、今のジャングルはかなり危険ですので、入るなら準備はしっかりとしてくださいね。」


その忠告を受けて、ジャングルの中に足を踏み入れた。

ジャングルの向こうの魔王門を目指して歩き始める。

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