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次の目的地は……

魔神を倒して、周囲を見ると狼によって燃やされたり狂わされた人々が、光に包まれて完全に回復した状態に戻っていった。

気づけば焼け野原になっていた地形も元の草原に戻っていた。


また、急に辺り一帯が光出し、大量の人が一気に現れた。

おそらくこの戦いで死んだ人々だろう。

皆戦う前の状態に戻っているようだった。


ほっとしたのも束の間、気づけばグレイピアのそばに転送されていた。

どうやらリモレイドで飛んだ後は元の場所に近いところに戻されるらしい。


(肉体的ダメージはもちろん大きかったけど、それよりも精神的ダメージの方が大きい気がするな……)

初め、普段の魔王戦と違い魔神戦は仲間がいて心強いと考えていたが、全く逆だった。

大量の人がなすすべもなく死んでいく。

人々の悲鳴がまだ耳に残って離れない。


ふと、あの奇妙なボロ小屋での出来事を思い出す。

(もっと強かったら皆を守れたのだろうか……)

少なくとも魔神戦においてはおそらく非現実的だろう。

むしろ、積極的に見捨てて残ったメンバーだけで何とか倒すぐらいの方針で挑まなければ負ける。


後で新聞を読んで知ったが、あの時の魔神戦は1時間ほどで終わっていたらしい。

もし今後もっと強い魔神が来たら、苦しみはあの時の比ではないだろう。


(とりあえず今日はもう休もう……)

宿に戻って休むことにした。

一応、魔王を倒したし、次の目的地も決めなければいけない。


「よくぞ魔王だけではなく魔神も倒しましたね。これでまた、あなたのおかげで世の平穏が守られました。ありがとうございます。」

いつも通り、白い空間に女神さまがいた。


「結構辛い戦いでしたが、何とか勝つことができました。これで一旦は魔王討伐に向かえますね。次はどの魔王がよさそうでしょうか?」

正直もう魔神とは戦いたくないが、逃げれば世界が終わる。弱音を吐いていられない。


「そのことなのですが、実は<魔術都市アルマギア>に邪竜教団以外に魔神の石板を収集している人物がいるという情報を手に入れました。まずは魔神召喚の阻止のためそちらに向かって頂きたいのです。それに、アルマギアのそばには3番目の魔王がいます。やや特殊な魔王ではありますが、今のあなたなら大丈夫でしょう。」

ここで石板を回収できれば魔神と戦わずにすむ。

これは絶対に成功させたい。


「はい! わかりました! それで、どう向かったら良いでしょうか?」


「ここからはかなり遠いので、徒歩で向かうより一度エストポルトに戻って船で向かうのが良いでしょう。」


「そうであれば、丁度手に入れたテレポートが使えますね!」


「ちょっと待ってください、テレポートを使えるのですか!? あれは許可証の申請から取得まで数週間かかるはずですよ!? それを一体どうやって……」

そんなに取得に厳しい制限があったとは知らなかった。


「実は、魔王を倒した後に管理者という人々に出会っていて、今回9番目の管理者に証明書を貰ってテレポートが使えるようになったんですよね。」

魔神になってしまうと恐ろしいが、管理者達自体は友好的な存在だ。

あまり女神様に悪い印象を与えるのも悪いような気がする。


「管理者…… 何故…… 彼らに得はないはず…… 」

「まぁ、細かいことは良いでしょう。とにかく、一度行った町のことを考えながらスキルを使用すればその付近に移動することができますよ。これでエストポルトにすぐ戻れますね!」

女神様がつぶやいたことはよくわからなかったが、とにかくテレポートは割と簡単に使えそうだった。


「それでは、明日からアルマギアを目指していこうと思います。」


翌日、早速外に出てテレポートを使用してみる。

体が光に包まれたと思った瞬間、光は消えて、気づけばエストポルトの近くに立っていた。

(もう着いたのか! これは便利だな)


港に向かうと以前とは比べ物にならないぐらい多くの人がいた。

豪雨の影響がなくなったことにより、海も穏やかになってたくさんの船が行き来できるようになったらしい。


アルマギア行きのチケットを購入して船に乗る。

冒険者割引があるおかげでかなり安かったが、その代わりモンスターが船に侵入した場合は撃退する必要がある。

とはいえ、討伐できれば素材が手に入るし、体も鈍らずにすむ。

(何より、水棲キラーがあるならかなり活躍できそうだ)


そこから数日間船の上でモンスターを狩って過ごしていた。

時折飛んでくる素早いトビウオのようなモンスターを討伐する時間が一番長かった。

時には巨大なサメのモンスターも襲い掛かってきたが、シーサーペントに比べれば小魚同然だった。


(素材はいっぱい手に入ったけど…… どれも水竜の加護とスキルがかぶっているな……)

ただ、逆に考えれば全て換金できるいい機会だ。


船を降りると、遠くに大きな尖った屋根の建物が見える。

これが噂に聞くアルマギア魔導研究所なのだろう。

学校、研究施設、図書館を兼ね備えた施設で前世でも多くの有名魔導士や錬金術師などを輩出したことで有名だった。


「丁度あなたが見ているその研究所に例の人物がいます。彼の名前はアーティ。古代遺跡から見つかる魔道具であるアーティファクトやレリックと呼ばれるものの専門家です。」

頭の中に女神様の声が聞こえてきた。

確かにそういう人物であれば石板を集めているのにも納得が行く。


遂にアルマギアに着いた俺は、冒険者ギルドで素材の換金を済ませた後、魔導研究所に向かうこととした。

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