対策スキルを求めて
スキルクリエイターを使用して、使えそうなスキルを検索してみる。スキル名が分からなくても関係ありそうな単語からスキルを探せるらしいので、早速"麻痺"に関連するスキルを探すことにした。
絞り込んだ結果を見てみると、相手を麻痺状態にするスキルや、麻痺を回復するスキルがずらりと並んでいた。
麻痺を付与する方が使えないのはもちろんだが、回復するスキルの方も自分が麻痺状態では使えなさそうであることは体験済みだ。
そして俺は、様々なスキル名が並ぶ中でズバリ使えそうなスキルを見つけた。
「"麻痺耐性"! これさえあれば麻痺はどうにかなりそうだな。……問題はどんな素材が必要かだけど」
期待と不安を抱えながら、スキルの詳細を確認してみる。
スキル名そのままの効果説明を流し見てから素材欄を見てみると、モンスターの麻痺毒とスライムゼリーが必要だということが分かった。
スライムゼリーの方はアダマンスライムかルニウムスライムを倒せば何とかなりそうだ。しかし、麻痺毒の方はまだ使ってくるモンスターを見たことがない。
「森や草原にいそうなモンスターだと、マタンゴ系やホーネット系辺りか?」
なんとなくいそうな気がするとはいえ、そもそもいなかったらどうするという問題もある。
「この近辺で麻痺毒を持つモンスターでしたら、森の奥のほうにトラップフラワーがいますよ。」
ちょっとずれてはいたが、予想は当たっていたようだ。そして、この助言のおかげで探索範囲はある程度絞れそうだ。
「森を探せば良いんですね。ありがとうございます! モンスターの生息地も分かるなんて、流石は女神様ですね。」
「はい、私も知識と慈愛を司る女神ですので、こういった知識面のサポートは役職に恥じないよう精一杯頑張ります」
知識と慈愛を司っているなんて初めて知った。神様が何人かいるのはなんとなく知っていたが、主神と職業神以外については、今までどんな神様がいるかあまり考えたことがなかった。
(他にも色々な神がいるんだろうか…… いや、とりあえずは魔王を倒すことを考えよう)
麻痺の対策はどうにかできそうなことが分かったので、次に魅了耐性について調べてみる。
麻痺の方の素材はまだ揃えやすそうで、麻痺に関係ありそうなものだったが、魅了の方は全く予想できない。
検索してみると、麻痺と同じように魅了耐性というスキルを見つけることができた。
こちらも同様に素材を確認してみたが、打って変わって見慣れない素材が並んでいた。
「妖精の粉とチャームフラワー? どうやって手に入れるか全然わからないな……」
「これは…… どちらも一応この森で手に入るとは言えますが…… いずれにしても妖精に会う必要がありますね……」
「この森に妖精がいるというのは聞いたことがありますが、本当にいるんですね!」
噂は色々あったが、前世では真偽不明だったところを、いるとはっきりしたのは何だか嬉しい。
ただ、噂が流れるだけだったということは見つけるのはかなり難しいのだろう。
「はい、ただ単純に森の中をさまようだけではなかなか出会えないのですが、見つけるコツは2つあります。まずは夜に光るキノコの輪を見つけることが出来ればほぼ確実に妖精に出会えるでしょう。」
「なるほど…… でも、やっぱりこの森を夜歩くのはかなり危険ですよね……」
「はい、昼のモンスターより手強い上、光源がなければ戦うことすら出来ないでしょう。そこでもう一つの方法は、赤いキノコの周りを探すことです。こちらは確率はかなり低いのですが、昼でも出会うことができます。」
「確実だけど危険な夜か、安全だけど不確定な昼かということですね…… となると夜に向けた対策が必要そうですかね……」
「私は昼の方が良いと思いますよ。この辺りの夜のモンスターは今のあなたにとっては魔王より厳しい相手になりそうですし…… それに、勇者の加護の一つには"確率の低い出来事に遭遇しやすい"という不思議な効果もあるので、意外と昼でも見つけられると思っています。」
(夜の森がそこまで恐ろしいとは…… 毎回日が暮れる前に帰っててよかった……)
加護については物凄く不確定な効果だが、昼に地道に探すしかない以上効果を信じるしかない。
「そうなると、明日からは森の奥で麻痺耐性素材と魅了耐性素材探しですね。アドバイスありがとうございます!」
こうして森に素材があることが分かった俺は、明日から素材探しを始めることにした。