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共に戦うと書いて世界を守るって読めるのかって話

窓ガラスに冷たい風が打ち付けるこの季節。

すきま風ほど、寒いものはないと誰かが言ってたなとリュウジはふと思い出したが息子の心に出来たすきまを埋める手段は現状ないと理解していた。

隆はそんなコースケに対して申し訳なさそうな顔をしていたがその空気を破るようにカノは言葉を発する。


「九葉さん、貴方には何が見えるんですか?」


震える声でカノは聞いた。


「そうですね、漢字で書くと簡単な見る、と言うよりは視聴するの視るになりますかね」


隆は淡々とそう答えるとリュウジが口を開く。


「調べることができるということかな?」

「全て、という訳ではないですが」


隆からの回答にリュウジはふむと顎に手をあてる。


「先ほど、私たちのことを普通じゃないと言いましたよね、何が普通じゃないんですか?何が視えているんですか?」


カノは引き続き質問する。

隆はカノを見て答える。


「コースケ君を現場近くで見つけた時も驚きましたが、須堂さん、貴女が病院の受付で何やら話しているのを見てコースケ君以上に驚きました。近づいたらコースケ君の病室を訪ねるとのことだったので部屋をお知らせしたのです」

「だから、何が視えて」

「落ち着いて、最後まで聞いてください」


隆はカノの言葉を遮って話し出す。


「私の目、普通の人のそれとは違うんですよ、生まれつき。何が視えるかと言われると色々としかお答えできないのですがコースケ君とお父さん、須堂さんが普通の人とは違うというのはわかります。特に須堂さんとコースケ君、君たちの廻りには力強く濃い空気が見えます、オーラと言った方がわかりますかね。」

「強いオーラ」


カノは強い目で隆を見据える。


「そうですね、これからの話は与太話程度に聞いてください、誰に話してもたいてい頭がおかしいと言われるか、ネタ話だと思われているだけなので。」


カノは静かにうなずく、コースケとリュウジも黙っている。


「私、前世の記憶を持っていまして、前世ではロボットだったんですよ」


笑顔で話す隆、そしてコースケが盛大にずっこける。


「おいおーい!急になんだってんだよ!なぁ、カノ!」


コースケが振り返るとカノは蒼ざめた顔をして隆を見ている。


「え、な、なぁ、親父も何か言え…」


リュウジを見るとこちらも緊張感を持った顔で隆を見ていた。


「お二人は何か心当たりがあるんですかね?そしてコースケ君、君の反応が普通なので安心してください」


隆はカノとリュウジを見て、そしてコースケに笑顔を向けてそう話す。


「さて、その状態でいいので聞いてください。」


隆はパンと両手を合わせて、注意を向ける。


「コースケ君が巻き込まれた今回の事件、2回目の爆発が起きました。今回の方が被害が大きい、そしてあと何度続くかわかりません。そこで、単刀直入に言いますと皆さんに協力していただきたい。先ほどの話を聞く限り、比屋根くんは今後も犯人と接触する可能性が高いです、警察も監視を続けますが話を聞いているとたぶん警察では対応できないと思います。そこで比屋根さん、強制的になってしまいますが息子さんの身を守っていただきたい。」


そこまで言うと隆は比屋根親子の顔を見る。


「そうですね、こちらも自衛できるよう善処することにします」


リュウジがそう返すとコースケが反応した。


「自衛ってなんかできるのかよ、親父」

「まぁ、色々な」


そのやり取りをカノは遠目で見ていると隆が引き続き話し出した。


「すみません、話を戻しますね。私は前世の記憶が色濃いのかもしれませんが人間を守りたいし、救いたいんです、この世界というと大それてますが私が知る近い人たち、が一番ですね。会って間もないですがそこにはコースケ君も入ってますよ、短い時間でしたが人となりもわかりました、君はとてもいい子です」


隆の言葉でカノはハッと顔を上げると、笑顔の隆と目が合った。

コースケも先ほどまでと違い、真剣な表情で隆を見ている。


「須堂さん、ここまで聞いてくれて感謝です。途中で帰ってもよかったのに、気になることがあったのはわかっていましたが本当に感謝です。」


隆がそういうとコースケが割って入る。


「九葉さん、カノはもう帰らせてくれよ。俺は自業自得で首を突っ込んだ、それは俺自身が一番わかる。俺の保護者だから親父のこともわかる。でもカノを巻き込まないでくれよ。」


コースケは隆にそういうとカノに向き直り。


「カノ、俺みたいに首突っ込む必要ないからな?それにカノはカノだ、気にすることない」

コースケにそう言われたがカノは頭の中がグチャグチャになっていた、転生、力、何故かわからないが隠していたものが怪しまれてしまったこと、嫌悪していたものが一気に押し寄せた状況なのだ。

「そう、だよね」


ふり絞った声でカノは言った。

カノがゆっくりと鞄を取り、扉に向かおうとした時、不意にコースケが自身の左耳に手をあてたのが見えた、いや見えてしまった、それを見て反射的にカノは声をかけた。


「なにか、聴こえた?」


そうカノに言われたコースケは慌てて手をひっこめた。

耳に手をあてるのはカブキ町の爆破のときにコースケが見せた仕草だ、たぶん無意識にやった、癖なんだろうな、とカノは思った。


「なんも聴こえてないよ、耳が痒かっただけだ。ほら、早く帰りなって」


コースケはバツが悪い顔をしているがその露骨な態度にカノは笑ってしまう。

自身も決めたのだ、力を使ってでも守ると。それを思い出した。


「九葉さん、私も協力しますよ。何ができるかはわかりませんが」


カノは隆をまっすぐ見て伝えた。


「感謝です、須堂さんの協力が得られて嬉しいです。そしてコースケ君、何が聴こえたんですか?」


コースケは隆とカノのやり取りを見て、しぶしぶ話しだす。


「また聞こえたよ、女の子の声。方角はあっちだ」


そういうと東の空の方を指差す。


「今日の今日ですか。ほぼ真東、ババの方か。比屋根さん」


隆は携帯で方角と地図を確認し、リュウジに向き直る。


「コースケ、行けるのか?」


リュウジはコースケに聞く。


「おぉ、身体は問題ないぜ。あ、カノはほんとに家に帰った方がいい」


コースケは腕をぐるぐると回しながらカノに言う。


「ううん、私も行くよ」


カノはそういうと目の前にある病室の扉を開けた。



読んでいただきありがとうございます!まだまだ続きますのでがんばります!


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