次の町へ……遠いんだろうね、多分だけど……
次の町へ!
冒険はまだまだ続くのさ!
とりあえず、本日は次の町へ向かうだな……そんなに近くはねぇよな~……基本、全部遠いんだよね……
宿屋を出て、トルッカの町を離れる訳なんだが……ラルッカがどうしてここに?……何か話が有るのか?
「やあやあ、ショウジさん……おはようございます」
「おはようございます……どうしました?」
「次の町へですな?」
「そうですね」
「どうですか?…正直に、トッカは力になりますかね?」
「トッカですか……何とかなるんじゃないですかね……逃げ足は速いし、きっと生き残れますよ」
「これはきつい……しかし、どうもあの子は心配で……」
「大丈夫ですよ、ダメならすぐに送り返しますから……アリムと一緒だから、多分頑張るでしょう」
「そうですか……とりあえず、お願いしますね」
「一応は……ですね……大体、あいつは俺を小馬鹿にしてるんですよ?…その辺、ちゃんと注意して下さいね?」
「ハッハッハ、あの子がそんな感じですか……色々と期待出来そうですな?」
こいつ、話聞いてんのか?……1度こいつを葬ってやろうか……
「ショウジ、どうしました?……物騒な顔してますよ?」
「アンテ……タイミングが悪い……」
「こちらは?」
「私は、女神……」
「チビル!…色々チビル!」
「違います!女神アンテ!……本当にこの男は……」
「女神?……パーティに女神とは……何とも規格外な……」
「あれ?父さん?」
「ラルッカさん、どうしたんですか?」
「トッカがオムツ取れたか心配なんだってさ!」
「何だよそれ、アンテじゃあるまいし!」
「トッカ、あなたまで私を馬鹿にするのですか?」
「あ、す、すいません…言葉の誤って言うか……」
「しょうがないじゃないか、本当の事なんだから!……だからチビルに改名しろって……」
「絶対嫌です!」
「朝から元気ですねぇ……とりあえず、出発しましょうか?」
「そうしよう、そうしようったらそうしよう!…ハァ~、ドン!」
「何それ?」
「何となく……気にするな」
「では、失礼しますラルッカさん」
みんなも頭下げてるし、俺も一応……さて、改めて出発だな……
やはり遠いな~……すでに3時間は歩いてんじゃないか?…見える物は山や川、森なんかの自然ばっかり……これじゃあな~……
「どうしました、ショウジ?」
「楽しいお店に寄りたいな~…何て思ってね」
「まだまだ先だよ、何言ってんのさ?」
「……そうだ!…アンテ、テレッポで行こうじゃないか?」
「それはダメです。行った事がない所は……」
「神なんだろ?」
「神でもダメなんです!」
「使えねぇ……宿代が増える分、邪魔だな」
「酷い!……何て酷い事を……」
「ショウジ、今のは酷いよ……そう思っても口に出しちゃダメだよ」
「何と……」
「トッカ、あなたも酷いですよ……」
「でもさアリム、僕もテレッポで行けるんじゃないかって期待しちゃって……」
「それは……私も期待しちゃってました……」
「全てを考慮した上で、アンテは使えないという事だな!」
「み、みんなで酷い……ウッ、ウッ……」
「ごめんごめん、そういう意味じゃないんだよ!」
「そうですよ、使えないなんて思ってません!」
「本当に?」
『本当に!』
「良かった~!」
「……俺は要らないと思うんだけど……」
「ショウジ!その話は終わり!」
「楽しく旅を続けましょう!」
これだもんな~……しかし、魔物が出ないな?
「魔物に遭遇しないな?」
「そりゃあ、私が居ますからね!…女神の高貴なオーラで、大して強くない魔物は寄って来ません!」
「……虫除けには使えるか」
「虫除けじゃありません!」
[ガルルルル~……]
あれ?…魔物は寄って来ないんじゃ……
「来てんじゃん!」
「オルベロスは別格です!弱くないです!」
「しかし、オルベロスは……」
「シ、ショウジ、よく見てよ……」
「オルベロスが何体も……」
ほい?……1、2、3……オルベロスが3体に後ろにバジリスク……いや~、楽しい組み合わせだね!…ここら辺だけ、異様に生体反応が強かったからね……
「では……アンテの力を……」
「私は無理です!小さくなって隠れてます!」
「おい、待て……この野郎、逃げたな……」
「ショウジ、よろしくね!」
「私も応援しますぅ!」
あの2人、逃げ足が異様に速いな……しかし、俺じゃなかったら見殺しだな……困った物だ……
[グワオ~~~~~ン!]
うん?…遠吠え?……おうおうおう?オルベロスとバジリスクが震えてるよ……何だ?……後ろから……羽の生えたサーベルタイガー?しかも、こいつもデカイ!…口からバチバチと電気……何だこいつ……
「あれは……ケルシオン……魔界の魔物……何故ここに……」
声だけ聞こえるよ……絶対にアンテはお仕置きだな……お仕置きだべ~なんてな……しかし、こいつは別格だな…何だよこいつ~、ヒァウィゴー、カモン……タイガーは炊きたて、はるばるは箱だけ、セイ!
[グワァ~~~!]
いきなり攻撃か?…うわぁ、かなりデカイ雷を…この野郎、フラッシュアローで撃墜だ!
[ドグワァ~!]
爆風に紛れて、喰らいやがれグラビティエンド!
[ドズゥゥゥゥゥン!]
狙い通り、潰れたか?
[グォ~~ン!]
やはり潰れないか……タフだな、おい!
[ガォォォォォォォォン!]
さっきよりもデカイ雷!…しょうがない、[鉄壁]からの~……上手くキャッチ出来た!…フッフッフ、これを[圧縮]して[銅の拳]を使って……タフだから死ぬ事はないだろ、このまま[一撃]を弱めに使ってこの圧縮球に正拳突き!…空手はやった事ないけどね!
[ドグワッシャ~~~ン!]
[グガァ~~~~!]
「お~お~、直撃か……なかなか見事だな!」
「す、凄いショウジ……」
「あの魔物と戦っている間に、オルベロスとバジリスクは粉々……ショウジもそうだけど、あの魔物も凄い……」
「ケルシオンをいとも簡単に……どういう……」
「簡単じゃねぇぞ?…よく見てみろ」
[ガァァァァァ!]
「ショウジの攻撃を耐えたよ……」
「す、凄い……」
[お前、わざと力を抜いたな?]
「お?…喋れるのか?……いや~、助かるな!」
「ショウジ、手加減を?…どうして?」
「だってさ~、真っ向から力比べだぜ……他の魔物とは違うだろ?」
[ほう?…お前は他の冒険者達とは違う様だな?]
「当たり前だろ!…人は俺をサー·バロンと……」
「呼んでないよ!…この馬鹿!」
「うるさいぞ外野……ライト守らすぞ?」
「言ってる事が分からないよ!」
[……俺が話して大丈夫か?]
「無問題」
[俺を前にして臆さないとは……どうしてだ?]
「……多分だけど、もしもの時は潰せるから……かな?……きっと、俺が本気になったら……お前じゃ無理だ」
[ガッハッハッハ、そこまで分かっているのか…なかなか面白い男よ!……確かに我が主、8代目魔王虎ファルジ様が見込むだけの事は有る!…魔界から来て正解だったわ!]
「ほうほう、ファルジ一族の者だったか……どうりでなかなか……しかし、何でわざわざ会いに来たの?」
[お前が我々に興味を持っているとの事なのでな……お前なら、我が主も大歓迎だ]
「……しかしだな~……俺は、フェンリル一族にもヴェルデ一族にも興味が有る……特にファルジ一族だけに興味が有る訳じゃないんだがな~……」
[ガッハッハッハ、俺を前にしてファルジ様の事を出してもその態度……ますます面白い!……少しの間、このケルシオンのボグテが旅の同行をしよう!]
「ショウジ、断りましょう!」
「珍しいな、アリム……どうして?」
「あんな大きい魔物、一緒には無理ですぅ!」
「成る程……確かにこれじゃデカ過ぎだな」
[流石にこの姿でとは言わん]
[シュルルルル~]
ボグテの姿が見る見る小さく……猫くらいの大きさ……しかも、なかなか……
「可愛い!……ショウジ、絶対に仲間にしましょう!」
[よせ、抱き付くな]
「さっきまでは反対してたくせに……」
「さっきはさっき、今は今ですぅ!」
「あの力が仲間……凄いよショウジ!」
「トッカ、問題が有るぞ?」
「何?」
「……アンテだが……」
「確かに!使えなさに拍車が掛かるね!」
「トッカ!……今何と?」
「いや、その……何でも有りません!」
「本音が出たな……アンテ、お前は使えないからチビルに改名……」
「絶対嫌です!…ショウジ、必ず見返しますからね!」
[チームワークは良くないな]
「そうなんだよ~……我が儘な自称女神と非力な僕ちゃん魔法使い、どう見ても使い辛いだろ?」
「「おい!」」
[俺を抱き抱えてる、この娘はどうなんだ?]
「お前の世話役には丁度いいだろ?」
「任せて下さい、ショウジ!」
[……任せて欲しくないのだが……]
「諦めろ、そうなったらアリムは多分無理だ……抱き心地がいいお前が悪い」
[ぐぬ……]
「そうだ、ボグテだからボテちゃんにしましょう!」
[ボテちゃん?]
「そうです!決まりです!」
「よろしくな、ボテちゃん……アッハッハ、魔王配下の魔物も恐れる魔界の魔物がボテちゃんだって!…いや~、これはファルジに伝えたいな~!」
[ま、待て、それだけは勘弁してくれ!]
「どうしようかな~……ボテちゃんお手!」
[ガウ!]
「おかわり」
[ガウ!]
「よしよし、これからもそれだけ素直なら考えとく……いや~結構結構、楽しくなりそうだ!」
「……魔界の魔物を手懐ける……恐るべしショウジ……」
「アンテ、ショウジは楽しんでるだけだよ……楽しければそれでいいんだよ……」
なかなか、楽しい冒険になりそうだ。
「……ファルジ一族が接近して来たな……色々起こりそうだな……それはそれとして、今度は……これにしようこれ、これいいんだよな~、ポケットの中から色々な道具が出て~……頭のいいショウジを出せねぇかな~……」
創造神は何やら、新しい漫画を見てる様だ……本当に何やってんだか……それより、冒険は少し楽しくなって来そうだな。
強力な味方?が出来たみたい……
楽しくはなりそうだね!