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堕天使のクララ  作者: 御堂 騎士
伯爵令嬢になって、貴族の仲間入りするよ!
7/55

6男って、それはないでしょう

 皇帝の息子たち、テディ(エドワード)とゲオルグに絵を教える。


 最初の授業は、この世界の事を知るために使わせてもらった。

 絵を教えるんだから、絵について知っておかないとね。

 どんな絵の道具があって、何に絵を描くのかなど基本的な所を、2人に聞いたのだ。

 どっちが先生か、分からない授業になってしまった。




 あと、折角だから二人の関係とかも教えてもらった。

 二人とも皇帝の息子だから、情報を集めておかないと。

 無礼を働いたら、下手すると一発で死刑かも知れないし。


 6男と7男という事しか聞いていないし、兄弟なのに顔が全然違うし。


 テディは、金髪のサラサラの短い髪で凛々しい顔つき。

 少女漫画に出てくる王子様の実物はこんな感じなんだろうなって感じ。

 いつも、真面目な顔をしている。


 ゲオルグは、ちょっと茶色がかった赤い髪の天然パーマ。

 ギリシャの彫刻みたいなほりの深い顔だけど、まだ子供だから完成されていない感じだ。

 こちらは、テディよりは愛想が良い。

 愛想がいい訳では無い。

 あくまで、「テディよりは」ってことだ。



 皇帝の後継ぎだけど、もう20代の長男と次男がいて、どちらかが次期皇帝になるだろうとのことだ。

 その二人もこの二人も別々の側室の子で、皇帝陛下は十分跡取りがいるのに、次々と子供を作ったらしい。


 多分、皇帝は絶倫というやつなんだろう。

 恐らくその側室になった人たちは、すごい美人だったんだろうな。

 この二人の顔が美形なことで、それがよく分かる。



 姉も何人かいて、婿むこを取るだろうから次期皇帝になることは、まず無いそうだ。


 大人になってから、貴族として恥をかかないように、芸術の勉強をしているんだってさ。


 その辺りの話を聞き出していると、ゲオルグが

「頑張ったって皇帝にはなれないし、万一に備えて鍛錬たんれんは必要だし。

 ホント6男って、それはないでしょうって感じだよ」

 と、ポツリとつぶやいた。


 まさか、こいつ前世が地球人で、その記憶があるんじゃ。

 ちょっと警戒した。


※6男って、それはないでしょう

 クララが大天使アークエンジェルだったころ。

 彼女は、一時期地球の西日本を担当していたことがある。。

 その世界のライトノベルの一つに、これに似た題名のものがあった。

 彼女は中身を知らないが、転生チートを使う者には警戒が必要だ。

 そう、彼女のように。




 と言っても、絵なんて好きに描かせておけば良いから楽勝だよ。




 執事の一人が、かしこまってやって来る。

「ゲオルグ様、エドワード様、剣術のお稽古の時間です」


 お城のお庭で、キャンバスを囲んでお話をしているだけで、一回目の授業は終わった。

 半日近くお話をしていたのか?


 その日の私は急いで帰らせてもらって、スープをかき込むと倒れるように眠ってしまった。

(何も働いていないのに、何に疲れたんだろ?)





 翌朝、心配するお母さんを安心させようと、私は言った。

「皇帝のご子息二人に絵を教えることになったけど、2人ともいい子だよ。

 私も、楽しくやっていけそうだよ」


「そうなの?

 クララが笑顔でいてくれるなら、お母さんはそれだけで幸せだから。

 合わないようだったら、いつでも森に帰れるからね。

 無理だけは、しないでね」

 お母さんも、ニッコリ笑い返してくれた。




 2回目の授業は、果物を持って来させて、スケッチした。

 最初の授業は、全く絵を描かなかったから。

 用意されたキャンバスが、真っ白のままだった。


 この世界では、筆記用具はあまり発達していない。

 鉛筆とかは無いし、紙は結構貴重品だ。


 そこで、木炭の棒をたくさん用意してもらった。

 これを鉛筆のような形に切り出して、持つところを布で巻いた。

 ナイフを使って、先っちょを軽くとがらせた。


 二人とも興味津々で私の作業を見ている。

 これ位は、オーバーテクノロジーじゃ無いよね。




 森のはずれで見た、テディの絵は基本がなって無かった。

 まず、正確な形を絵にする練習という事で、木炭のペンを使って輪郭だけ描くことから始めた。

 デッサンというやつだな。


 私が森から持って来た粘土でこすると、書いたものが消せる。

 二人とも、というかギャラリーからも歓声が上がった。

(今日はギャラリーが多いな。

 まあ、気にしないけどね)


 輪郭が出来たら、陰影も表現させてみようかと思ったが、2人ともきれいな丸を書くのに四苦八苦している。

 まあ、絵に慣れていなければ、そんなもんか。




 輪郭を描き終わったら、果物を執事の人に切ってもらって、みんなで食べた。

 果物を食べながら、いろんな話をして楽しかった。

 次は、クッキーとお茶の絵にしようかなと言うと、テディに大笑いされた。

「お前って、ホントに面白い女だな」


「良いじゃん、別に」

 とふくれて見せたら、ゲオルグ君がフォローしてくれた。

「テディ、先生は芸術は楽しむべきだってことを、教えてくれてるんだと思うよ」


「そう、そのとおり。

 さすがゲオルグ様、芸術の才能がありますよ」


 という事で、次回はクッキーとお茶を楽しめるわけだ。

 やったー。



 何度かゲオルグ君のことをゲオルグ様と呼んでいると、

「いや、僕もテディみたいに呼び捨てにしてくれませんか?」

 と、提案してきた。


「でも、年上だし呼び捨てはちょっと。

 テディもテとか付いてるし。

 ゲオッチなんてどうかな?」


(皇帝のご子息の呼び名としては失礼かもしれないけど、この世界にはこんなあだ名はないでしょう。

 コッソリ色んな人に、面白いあだ名を付けてやろう)

 などと、良からぬ考えを巡らせてしまった。


「うーん、クララさんが付けてくれた呼び名なので、それでお願いします」

 私とゲオッチが仲良くしていると、今度はテディがふくれている。






 そして、ここで私は大きな情報を得た。

 この世界はジークガルトという世界で、帝都とはナードハート帝国の首都だという事が分かったのだ。


 ジークガルト、確かこの世界の担当天使は、カルデラだったはずだ。


 下界の者からは、天使を見ることは出来ない。

 でも、私はやつのことをよく知っている。

 色んな弱みも。

 これは、今後すごいアドバンテージになるかも知れない。


 ただ、私がチカガータだったことを知られるのも、まずいかも知れない。

 向こうは、奇跡も厄災も自由自在だ。

 こっちからは、やつの姿は見えないし。

 今の私は、何のじゅつも使えない。

 そう考えてみれば、あまり天使の絵を描くのはヤバイかも知れないな。

 しばらく、封印しておくことにしよう。


次回更新は、7月11日16時の予定です。

そこから先は、7月13日、15日、17日と一日おきに更新していく予定です。


ここまでとどこおりなく続けられたので、この話も一定のペースで投稿可能と判断いたしました。

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