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堕天使のクララ  作者: 御堂 騎士
伯爵令嬢になって、貴族の仲間入りするよ!
15/55

クララの必殺技

 私が親で、ポーカーが始まった。

 いきなりのフルハウスに、ニヤリと笑った私はベットした。


 みんな、銀貨1枚を捨てて降りた。

 あ、顔に出ていたか、なんて考えるほど私は素直じゃない。


 こいつら、つるんでやがるな。

 後ろのオヤジ、ブロックサインで私の役が強いって教えたか?


「おう。お嬢ちゃん。

 いきなり、銀貨が8枚に増えたね。

 すぐ10枚になっちゃうんじゃない?」

 向かいのおっさんが、軽口をたたく。


 すると、後ろの方からガタイの良いドスコイオヤジが言った。

「場所代が銀貨5枚だから、後7枚だな」


(ふーん、絶対むしり取る気なんだな。

 しかも、最初は勝たせて罠にはめる気かな?)


「賭け金が無くなったら困るから、場所代は後払いで良いですよね?」

 とにかく、確認しておく。


「構わんが、足りない分はどうやってでも、払ってもらうぜ!」

 ドスコイオヤジが、ドスのきいた声でうなる。


 次の勝負は負けた。

 銀貨2枚を持っていかれた。


「クララさまー。

 あと一回負けたら、元手が無くなりますよー」

 家でもお城でも、冷静な所しか見たこと無いエレナさんが、泣き声で訴えてくる。


 勝ったおっさんは、上機嫌だ。

「ハッハー、大丈夫さ。

 ここには、高利貸しのおじさんもいるから、少しも心配いらないよ」


(おいおい、おっさん。

 自分のことを高利貸しって言うか?

 利息をしっかり頂くアピールか?

 それとも、前世と意味合いが違うのかな?)


「エレナさん。

 あなた、記憶力が優れていると言っていたよね。

 今から、私の持つカードを全部覚えておいて。

 それと……」

 私はエレナさんに、秘密の指令を耳打ちした。


 さらに、みんなに向かって言った。

「私の後ろには、エレナさん以外立たないでください。

 さっき、あなた私の手札を見てから、親の人に何かサインを送ってましたよね」


「このガキ、何言いがかり付けてやがる。

 本当にそう思うなら、その時に言えよ!

 じゃあ後ろから、どいてやるよ。

 まあ、これからお前さんが負けた時の言い訳が減るだけだがな」

 私の後ろにいたおっさんが、横に移動した。


「後ろに立たれないなら、それで良いです」

 殊勝しゅしょうげに言ってみた。


 2,3回勝ったり負けたりして、私の手持ちは銀貨5枚になった。

 振出しに戻った。

 というより、場所代を取られたらスッカラカンだ。


 エレナさんの顔が引きつっている。


 次は、私が親だ。勝負の時だね。


 自分と3人に5枚ずつカードを配る。

 私の持ち札は、[聖3,聖5,聖8,金2,魔9]だ。

 このままだと、ブタ(手役のない状態)だな。


 2枚交換して、[聖2,聖3,聖5,聖8,剣5]になった。

 5の1ペアか。


 チラッと後ろにいるエレナさんを見ると、顔が真っ青だ。

 この人はギャンブルに向かないな。




 エレナさんの顔色を見て、ひとり目がいきなり銀貨5枚にレイズしてきた。

 負けたら、これだけで手持ちが無くなる。


 2人目は、降りた。

 これで銀貨1枚は、親である私のモノだ。


 3人目は、銀貨5枚を承認コールした。


 これで、二人が銀貨5枚ずつ賭けてきたが、私の手持ちは銀貨5枚と降りた人の1枚、合わせて6枚だ。


 一人目が、トランプの表を向けてテーブルに叩きつけた。

「ストレートだ」

 見てみると、[剣3,聖4,金5,聖6,魔7]だ。


 エレナさんが、「ハア~」と気が抜けたような声を出した。

「クララ様、私のせいで……

 ごめんなさい」


 3人目も、トランプをテーブルの上に置いた。

 [剣1,剣4,金4,魔4,聖9]だ。


 エレナさんが目をつぶっている。


「4のスリーカード!」

 男は力強く言い放った。


「さあ、嬢ちゃんの手はどうかな?」

 ストレートのオヤジが私の方に寄ってくる。


 エレナさんの顔を見ていたら、私の手は相当悪いと思っちゃうよね。

 本当は、ボロ負けだけど。


 私は、

「聖杯のフラッシュですから、親の総取りですね」

 と答えて、手札を見せた。


[聖2,聖3,聖5,聖7,聖8]


 あ然とするエレナさんに、私は言う。

「あと少しでストレートフラッシュだったのですから、惜しかったですね。

 別に、フラッシュでも十分勝てますから。

 そんなに心配なさらなくても良かったのに。

 エレナさんってものすごいポーカーフェイス?

 みんな、ダマされちゃいましたね」


 私がストレートオヤジのベットした銀貨5枚を拾おうとすると、オヤジが邪魔をした。

「この勝負、俺の勝ちだ!」


「今、何とおっしゃいました?

 私が何か不正を働いたとでも、言いたいのですか?」

 やましいことのある私は、毅然きぜんと答えた。


「こ、この店では、俺のストレートはお前のフラッシュより上なんだよ!」

 オヤジが訳の分からないことを言い出した。


「ええっ?

 清一色より一気通貫が上だなんて、そんなこと有り得ません」


清一色チンイーソー、一気通貫

 どちらも、マージャンの役の名前。

 それぞれ、フラッシュとストレートの元になっていると言われている。




 言い切る私に、エレナさんが小さな声でサポートしてくれる。

「そのチンイーソーとか言うのはよく分かりませんが、フラッシュがストレートより上なのは間違いないと思います」


「やかましい!

 金持ちの嬢ちゃんは銀貨5枚くらい、はした金なんだろ。

 ガキのくせに賭けの最中に、まゆ一つ動かさない態度で分かったぜ。

 でも俺達平民には、銀貨5枚は大金だ。

 気持ちよく、負けて帰れば良いんだよ。

 お嬢ちゃんのフラッシュは、俺のストレートより下だ!

 分かったな!」


 超強引な理屈、いただきました。

 あんたに5枚とられたら、結局私の手元には1枚しか残らないじゃんか。

 手持ちで、場所代も払えないよ。

 しかも、こんな強引な手法で来られたら、後の勝負も勝てる訳無いし。




 私は、不安そうな表情のエレナさんにウインクした。


 そして、突然その場に寝転がってジタバタした。

「もおーーーっ!

 フラッシュは、ストレートより上なんだよーーーっ!

 誰が何といっても、フラッシュが上なんだよーーーっ!

 フラッシュは世界一強い役なんだよーーーっ!

 ワーーーッ!

 なーーんで、分かってくれないのーーーっ!」

 叫びながら、床の上を転げまわった。


(見よ、わたしの必殺技、駄々をこねてゴリ押し)


「お嬢ちゃん、分かった、分かったから」

 そう言って、ドスコイオヤジが私を起こしてくれた。


 しかし、ストレートオヤジはかたくなだ。


「こんな、お嬢様に勝たせて良いのかよ!

 お前らも言えよ!

 お嬢様のフラッシュは無効だってな!」


 こいつ、私の恥ずかしい技を無視したな。

 ゆるさんぞ! ぜったいに、ゆるさん!!


 しかるべきむくいを喰らわしてやらねば、なるまい。

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