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傷跡と花の君  作者: 納涼
第一章 わたしと私のプロローグ
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#4 はじまりのお誘い

「ん...」


 窓から刺す朝日が眩しい。あれわたしいつの間に寝たっけ?床で寝ていたらしくカーペットがあるとはいえ腰が少し痛い。


「あれ?」


 床で寝ていたはずのわたしに毛布がかけられている。んん?まだ頭がはっきりしない。

 キッチンから何かが焼ける小気味良い音がする。あれお母さん来るって言ってたっけ?

 まだ半分起きていない体を起こし、キッチンに向かうと、


「あ、千秋起きた?おはよ。勝手にキッチン借りちゃってごめんね。もうすぐできるから座って待ってて」

「お母さん...?」

「ち、千秋?寝ぼけてるの?私、未春。おーけー?」

「おーけー...?」

「もう。朝弱いんだね千秋は...顔洗って来たら?」

「うん、わかった...」


 お母さんあんなに若かったっけ?でもエプロンしてわたしの朝ごはん作ってくれる人なんてお母さん以外に...

 そう思いつつ冷水で顔を洗うと、目が冴えてきた。昨日わたしは未春ちゃんっていう小学生と出会って、一晩泊めることになって、未春ちゃんの話を聞いて。

 ということはさっきキッチンにいたお母さんはお母さんじゃなくて...


「は、恥ずかしいところをお見せしました...」

「ふふ。千秋ったら私のことお母さんだって。照れちゃうね」

「改めて言わないでください...」


 あまりの恥ずかしさに耳まで真っ赤になっている気がする。小学生をお母さん呼ばわりするとかどんなプレイだ。


「いつまでもそうしてないで、はい、これ千秋のぶん」

「あ、ありがとう」

 未春ちゃんが手を合わせる。わたしも続く。

「「いただきます」」


 未春ちゃんが作ってくれた朝ごはんはわたしの想像より3つぐらいレベルが高かった。

 目玉焼きにするつもりだった卵は明太子入りの出汁巻き卵になってるし、わかめしか具材がないはずのインスタントの味噌汁ににんじんやら大根やら、お母さんが送ってくれていた野菜が入っている。

 デザートにりんごのうさちゃんまでいる。なんだこの子は、女神様か?


「お、おいしい...美味しすぎるよ未春ちゃん...」

「ふふん。お母さんとふたりで暮らしてる時にいっぱい練習したんだから」


 あまりの美味しさに無言でがつがつ食べるわたしを、未春ちゃんはうれしそうに見つめる。

 デザートのうさちゃんまで食べ終えたので、ふたりでごちそうさまをした。


「で、未春ちゃん」

「なに?千秋」

「これからどうするつもりなの?」

「うーん...大家さんに相談しようかな。家賃はもう払えないけど、とりあえずあの部屋に私の物が少し残ってるから」

「それから?」

「それから...」


 未春ちゃんは落としどころを決めかねている。こういうときぐらいはお姉さんとしてわたしがリードしよう。


「ねえ、未春ちゃん」

「だめ!」

「え」

「未春が頼む側なんだから、未春が言うの。言わせて」

「...うん、わかった」


 未春ちゃんは深呼吸する。開けた窓から吹き込む初夏の風が彼女の銀白の髪を舞い上げる。

 片目の彼女はわたしをまっすぐ見据えて微笑む。


「未春と、家族になってくれませんか?」


 その日、わたしの退屈を、未春ちゃんが蹴飛ばした。


プロローグ終了です。あとは千秋と未春がなんやかんやでイチャコラする予定

以下、設定兼人物紹介


◎笹森 千秋 - ささもり ちあき

主人公。春から大学生になった。18歳。大学から少し離れたアパートの203号室に住んでいる。昔から人付き合いが苦手で、特に男性に対しては積極的に避けている。親友の依玖とは小学校からの付き合い。紆余曲折の末、未春と一緒に住むことになる。

誕生日 - 10月5日

身長 - 165cm

体重 - ×

3サイズ - ふつう・ふつう・人並み

性格 - 少し天然。

好き - 麺類。うどんもそばもラーメンも大好き。女の子(わたしをいじめないので)

苦手 - 男性。

未春について - わたしの家に舞い降りた女神様?


◎未春 - みはる

もう一人の主人公。小学6年生の11歳。幼いころに父親が他界し、しばらく母親と暮らす。母親が再婚した相手が極度のDV男で、母親は失踪し未春も体と心に傷を負うが、持ち前の精神力でなんとか日々を生き抜いていた。ついに再婚相手も失踪し途方に暮れていたところで千秋と出会い、共に暮らすことを決めた。

誕生日 - 11月8日

身長 - 147cm

体重 - ×

3サイズ - ひかえめ・ほそい・ほそい

性格 - 我慢強い。きっちりさん。

好き - ハンバーグ。料理。お花の世話。お母さん。

嫌い - あいつ。

千秋について - ダメダメ大学生?でも千秋といると楽しいかも


○皆守 依玖 - みなもり いく

千秋の親友。友達を作りたがらない千秋に付き合い、気づけば大学まで一緒になっていた。千秋と同じアパートの102号室に住む。天体研究のサークルに所属。路地裏の喫茶店でバイトをしている。

誕生日 - 9月23日

身長 - 172㎝

体重 - ×

3サイズ - モデル体型。胸もそれなりに大きい。

性格 - 楽観的。お世話焼き。

好き - 星。千秋の世話。

苦手 - 特になし。

千秋について - 目を離せないってゆーか、危なっかしいんだよね、あの子。

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