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転生したらハゲておっさんになりました。  作者: 蒼月毘人
1章 異世界生活編
7/10

06.職を探そう

 再び地上へと生還した俺たちは、報酬金を受け取ると

酒場で1杯飲もう、ということになった。


俺たちがそこまでダメージも無く、返ってきたので依頼主は目を丸くしていた。

多分、地下下水道の掃除なんてのは建て前で、本当に頼みたいことは

ネズミ退治なんじゃないかと今日思った。それほどに地下下水道内部には

人食いネズミがけっこうたくさんいたのだ。

何匹も倒していくうちに俺もショートソードの扱いにちょっとだけ慣れ、

すんなりとネズミを倒すことができるまでになっていた。


 そして、街の酒場にやってきた。


「それじゃ、地下下水道からの生還に乾杯!」

「おい、ダン。まるで迷宮から帰ってきたみたいじゃないかそれじゃ」

「まぁまぁ、この街じゃあの地下下水道は迷宮みたいなもんよ。

そういえば、エイジが拾って集めていたあのゴミみたいなやつは

なんかの役にたつのか?」

「おう。実はあれは不確定アイテムって言ってな。鑑定魔法にかけると

新の姿に変わるって代物なのさ。そんでそれを売れば、金儲けできるってわけ」

「不確定アイテムだって?そんなもんがあるんだな。まぁ俺は武器も持ってねえし、

その稼ぎ方ができるのはエイジだけだろうな」


 金儲けできるとか言ってみたけど、正直このやり方は効率が悪すぎる。

本来の報酬は10銅貨(1銀貨)しか貰えない上に、不確定アイテムも

必ず落とすわけじゃない。というか、昨日入手したような大き目の

不確定アイテムは今日は一切出なかったのだ。多分、昨日倒したやつは

ひときわ大きかったし、あそこの主レベルの魔物なんだろうな。


それに加えて、鑑定魔法の成功確率の低さだ。1回鑑定するのに

50銅貨(5銀貨)もかかる。しかも5回に1回くらいしか成功

しないのだから、下手したらマイナスになってしまう。


「なあ、ダン。この街でちゃんとした仕事をするにはどうしたらいいんだ?」

「そうだな、領主に頼んで仕事をもらうか、今誰かがやっている仕事を

引き継ぐ、とかだな。職人系の仕事は弟子になったりするらしいけどな」

「ふーん。なんでそれを知ってるのにあんたは働かないんだ?

あんな日雇いの仕事、きつくないのか?」

「きついさ。でもな、俺達みたいなはぐれ者には仕事は貰えないんだよ。

どうしたって肉体系の仕事しか余ってない。その日を生きていくのが

精一杯なんだよ、俺たちは」

「なるほどな。さて、今日は俺の代わりに掃除してくれてありがとうな。

明日も同じ時間に行く。良かったらダンもまた来てくれ」

「いや、礼を言うのは俺の方だ。ここ最近酒なんて飲めるほど稼げること

なんてなかった。エイジのおかげだ」


 俺たちは別れを済ませ、まだ夜も浅かったのでそのまま鑑定屋に

行くことにした。大き目の不確定アイテムは出なかったものの、

小さい不確定アイテムは結構手に入ったのだ。


鑑定屋に入ると、店主のおっさんは居眠りをしていた。


「おっさん!今日も鑑定を頼みたいんだけど!」

「うん!?ああ、昨日の客か。ずいぶんと恰好が違うじゃねえか」

「昨日鑑定してくれた鉄鉱石が高値で売れて、それで装備そろえたのさ」

「そりゃ良かったな。んで、今日は何を持ってきたんだ?」


 俺は袋から小さめの不確定アイテムをゴロゴロと中央の机の上に

並べていった。


「昨日みたいに大きくないから、これ、まとめて鑑定して欲しいんだけど

そういうこと可能?」

「よくもまあ、こんなにちっこいのを集めてきたもんだ。

まあこの机の上に乗る範囲でまとめて鑑定することはできるだろう」

「なるほど!じゃあ、はい、50銅貨。今日も頼むよ」

「2日連続で来たのはお前さんが初めてだ。今日のお代は30銅貨で良いぞ。

じゃあ、またそこで待っててくれ。どれどれ……」


『インスペクション!』


 ヘクソンが呪文を唱えると、昨日と同様の光景が目の前に広がった。

小さな不確定アイテム1つ1つに魔法陣が出現するわけではなく、

昨日よりも大きめの魔法陣が浮かび上がり、白い光の壁が出現した。


鑑定が終わると、机の上にはダークグレーの鉱石、小さめの鉄鉱石が

半分ほど、残っていた。半分は失敗し、消滅してしまったらしい。


「ふむ、俺にしては上出来だ。もう取っていいぞ」

「おお!半分も残るとは思わなかったぜ!ありがとう」


 俺は、袋に小さめの鉄鉱石をしまいながら、先ほど酒場でダンに聞いた話を

思い出していた。この鑑定屋って、職人系の仕事なのか?だとしたら

弟子入りとかできるのか?


「なあ、鑑定屋ってのは職人系の仕事なのか?」

「部類としては職人系に入るんだろうよ。こんなことするのは

よっぽどの物好きくらいのもんだがな。なんでそんなこと聞いたんだ?」

「いや、実は俺、仕事が無いんだ。もし良かったら、俺を弟子にして

欲しいんだけど、どうだ?」

「どうだ?じゃねえだろ、そこは、弟子にしてください。だろうが。

弟子になりたいって簡単に言うがな、一応鑑定魔法は魔法なんだぞ。

誰にでも簡単にできるわけじゃない。

魔法に対しての適正が無ければ、話にならねえ。

万が一、適性があったとしても呪文を唱えれば発動するわけじゃない。

それに見合った精神力が必要なんだよ」


 なるほどね。魔法は誰にでも使えるものじゃなく、限られた者しか

使用することができないわけだ。しかも精神力?これはゲームで言うところの

マジックポイント?のようなものなのだろうか。


「そうだな、じゃあ俺を弟子にしてください!

それと、適性があるかどうか調べてください!」

「もう敬語使わなくていい。お前が敬語で話すと寒気がする。

弟子は取らない主義なんだが……。

まあいい。俺もそろそろ引退して隠居するつもりだしな。

俺はヘクソンだ。お前さんの名前は?」

「弟子にしてくれるのか!?俺の名前はエイジだ」

「まずは、適性があるかどうか調べてからだ。お前この本が読めるか?」


 そう言うとヘクソンは手に持っていた古ぼけた本を俺に手渡してきた。

その本を開くと、不思議なことに、真っ白で何も書いてない。


「なんだこれ、なにも書いてない真っ白なページしかない……。

あ、何か浮かび上がってきた!」


しばらく凝視していると、真っ白だったページに文字が次々と

浮かび上がってきた。


「なんだって?文字が出てきたってことは、お前に適性があるってことだ。

よし、じゃあ次だ。読めるなら、魔法を発動させる

ことができるはずだ。さっき俺が唱えた呪文、覚えているか?」

「ああ。インスペクションだったっけ?」

「そうだ。ここに俺の不確定アイテムを置くから、唱えてみろ」

「よし。わかった」


 俺は、中央の机の前に立ち、ヘクソンが置いた不確定アイテムに

手をかざし、詠唱を始めてみた。


『インスペクション!!』


 すると、魔法がうまく発動したようでさきほどヘクソンが

鑑定魔法を発動させたときと同じような現象が起きた。

しかし、白い光の壁の輝きがさきほどよりも俺には強く感じられた。

そして、光の壁と魔法陣が消えるとそこには、茶色い色をした、

大き目の鉱石が転がっていた……。

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