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転生したらハゲておっさんになりました。  作者: 蒼月毘人
1章 異世界生活編
10/10

終.異世界は厳しいところ

 街の門をくぐり抜けて、剣士のおっさんが言っていた北の地下神殿を

目指す俺。周辺は街道が割と整備されていて、他の街を目指すのであれば

道沿いを進んでいけば迷うことはなさそうだった。

 途中までは街道沿いに進んでいけば良かったので、魔物とも遭遇せず

何の問題も無かった。


 しかし、目的地までは街道が続いていないため途中からは草原を歩いている。

そして、出会ってしまった。人食いネズミ以外の初めての魔物に。

その魔物を相手に人食いネズミ以上の苦戦を強いられるとは俺は思いもしなかった。


そいつは、ぷよぷよと軟体性の赤い体をくねらせ、そこにいた。

ゲームなどで最初に出会う確率ナンバーワンといっても過言ではないだろう。

そう、スライムだ。スライム=雑魚敵という認識は全国共通だと思ってた。


もちろん俺もその認識でいたので、人食いネズミより弱いだろうと思い込んで、

先に攻撃を仕掛けたのだ。だいぶショートソードの扱いにも慣れていたので

思いっきり踏み込んでスライムに切りかかった。

俺の繰り出した斬撃は見事にスライムを切り裂き、

そしてスライムを真っ二つにした。


 そして人食いネズミの時のように黒い霧と共に消えてい……かなかった。

そう、消えないんです。目も口もないけれど、間違いなく2つに増殖した。

多分、俺が攻撃をしかけなければ、こいつは俺のことを

見逃してくれたかもしれない。

しかし、今は俺に敵意を向けている。

2つに分かれたスライムは俺に向かって同時に突っ込んできた。


 盾を持っていない俺は、腕を体の前で交差し防御の姿勢をとる。

あんなにブヨブヨしてるんだから、体当たりなんて痛くないだろう

となめていた俺がバカだった。


 スライムは俺に当たる直前にぶつかる部分を硬化させたらしく、

とてつもない衝撃が身体に走る。そして思いっきり吹っ飛ばされたのだ。

その時の衝撃はまるでトラックにひかれたかのうようだった。

人食いネズミの体当たりの比ではない。


 おい……なんだよこれ。スライムに殺される。

最初に出会ったスライムに殺されてゲームオーバーなんて

どんなクソゲーだよ。


 などと一瞬考えながら、一旦体制を立て直すために立ち上がって

スライムから距離を取る。

少しは人食いネズミとの戦闘で打たれ強くなっていたらしく

幸い骨折など重傷は負っていないようだった。


「まったく、こんなに強いスライムなんて聞いたこともないぜ。

切っても倒せないなら、どうやって倒せって言うんだよ。」


 もう一度切り付けてみるか?いや、これ以上増えられたらきつい。

どうする……どうする……。


 俺は来た道の方へ方向転換すると、一目散に走り始めた。


「こういうときは、逃げるが勝ちっていうんだ!」


 さすがに全力疾走した人間には付いてこれまい。

そんなに早く動けるスライムがいるなら見てみたいもんだ。


 2体のスライムは逃げ出したエイジを物凄いスピードで追いかけていた。

そして、追いつき再び体当たりを繰り出す。


またしても派手に吹っ飛ばされる俺。

2体いるうちのもう1体がなぜか先回りしており、さらに俺を遠くに吹っ飛ばす。


ずーっと吹っ飛ばされているので薬草を使う暇もない。

そうして、街道の方まで飛ばされ続けて戻ってきていた。

街道に俺が落下すると、なぜかスライム2体は追撃をやめ、

草原へと帰っていった。


 身体中が痛い。多分骨も何か所か折れてる。薬草を取ろうにも

腕が動かない。


「……こんなの……理不尽すぎる……だろ……」


そう呟くと俺は、街道で大の字に倒れ意識を失ってしまった。


--------------------------------------------------------


(……私の声が聞こえますか……英司さん……)


誰かが俺に声をかけるのが聞こえる。

体を動かそうにも、身体中が痛くて動けない。


「池城さーん。聞こえてますかー?聞こえていたら

私の手を握り返してくださいね」


池城……?それは俺の苗字だけど、なんでこの世界の人が

俺の苗字を知ってるんだ?とりあえず手を握ってみるか。


俺は謎の人物に握られていた手を握り返した。

つもりだったが、実際には指がピクっと動く感覚がしたのみだった。


「今、少しだけど動いたわ!先生を呼んで!」


周りがバタバタしている。


ゆっくりだが、少しずつ目を開けていくと、そこには白い天井

が広がっていた。そして、背中には柔らかなベッドの感覚。

鼻をツンと突くような薬臭さ……。

ここは、病院のベッドの上だった。


え!?どういうこと? 俺って死んだんじゃなかったの?


少しずつ体の感覚も戻ってきたので頭を動かし、横を見ると

見覚えのある人物がそこには立っていた。斉藤部長だった。


「池城!意識が戻ったんだな!丁度見舞いに来たところだったんだが、

まさか今日意識が戻るとは思わなかったよ」


「さいと……う…ぶ……ちょ」


「無理に喋らなくていい。なにせお前は1ヶ月以上も植物状態だったんだぞ」


植物状態……!?つまり、俺は死んだわけじゃなくて、一か月以上

も寝たきりだったのか。もしかして!


俺は一か月以上そこに無かった存在を確かめる。


あった。髪の毛がある。スキンヘッドじゃない。


手の色も普通だった。


良かった……。ハゲておっさんになったのは夢だったんだ。

でも、あんなにリアルな夢を見ることがあるのか?

それに一か月って言ったら、あの変な異世界で過ごした日付とほとんど

一緒じゃないか。


「会社のことは心配しなくて良いぞ。長期療養扱いにしてあるし、

お前はクビにはなってない。もう少しゆっくり休んで、完全に治ったら

また戻ってきてくれ。うちの部署にはお前が必要だしな」



その後、長期のリハビリを経て、俺は社会に復帰することができた。

3億円の宝くじにはしっかり当選していたし、無事に当選金の受け取り

をすることもできた。


以前の俺だったら、豪華な生活を夢見て、タワーマンションに引っ越したり

していただろう。しかし、あの不思議な世界に行ってから、

現実での生活がとても退屈に感じるようになってしまった。


お金に困ることはないし、仕事も順調に進んでいる。

でも、何かが心にずっと引っかかっている。


あの世界で『エイジ』として暮らしたはなんだったのだろう。

アニメや小説の中だけだと思っていた"異世界"が実はパラレルワールド

のように現実と並行した世界として存在していたら?


もしかしたらあそこは、死後の世界だったのかもしれない。

仮死状態だったから、そこで生活をしていたのかもしれない。


魔法の存在する世界なんてこの世には存在しない。

しかし、俺にとってはあの世界で過ごした一か月は生涯忘れられないだろう。


それほどまでに生きることに一生懸命だったのだから。

20部以上の物語まで読んでいただいた読者の方々。ありがとうございました。

私の拙い文章、さぞ読みづらかったと思います。異世界物の小説を書きたい!

という衝動にかられ、書き始めたこの本作でしたが、矛盾点が多く、修正しようにも

今まで出した登場人物を全て消さなければなりませんでした。

主人公がハゲたおっさんというのはインパクト重視で作った設定であります。

しかしながら、書いていくうちに、「あれ?これってハゲたおっさんである必要性って無いんじゃ?」

という疑問がどうしても頭から離れなくなり、そのうちに登場人物同士の会話しか思い浮かばなく

なってしまいました。なんとかして書き続けようと思ったのですが、どうしても情景描写ができず

ただただ、多い登場人物の会話が長々と続く、駄作でしかありません。

このまま書いていてもエタると思ったわけです。

そこで、とりあえず本作は1人の男性の異世界体験記にしよう、ここで一区切りにしようと

思いました。今作での経験を活かし、次回は今まで以上に設定を練りこんでから、執筆に

挑もうと思います。私自身、経験が浅すぎました。

ありがとうございました。


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