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5話

 僕はどうしたらいいでしょう。

 問題が1つ発生してしまったのだ。

 そう、風呂だ。

 昨日はあのまま寝ちゃったから入らなかったが、今日からはちゃんと入らないといけない。

 女であることを隠している以上、女湯にはいけない。

 男湯に行っても、すぐにバレるだろう。


「どうしましたか?小鳥遊様」

「いえ、なんでも」


 そうだった、今はギルドから王城に戻っている最中だった。

 ...そうだ!銭湯とかないのかな?

 丁度国案内用の看板地図が近くにあったので、早速探してみる。


「...何処かに行きたいのですか...?」

「まぁそうですね...」


 銭湯...、銭湯...。

 ...お?この、『和の湯』っていう所は銭湯じゃないか?


「アドルさん、和の湯ってなんですか?」

「そこは確か、昔来た召喚者が建てた、セントウと言ったものだと」

「おお...!」


 悪道の森の名前を付けた人と同じ人なのかな。

 それにしても昔来た召喚者ありがとうございます!


「銭湯って、僕の世界にもあるので行ってみたいです」

「そうなんですか?勿論、行きましょう。すぐそこですね」


 あ、本当だ。ちょっとだけ看板が奥の方に見えた。

 ...って、このまま2人で行ったらアドルさんと風呂入ることになるじゃないか!

 それだと意味がない!


「すみません、1人で行ってもいいですか?」

「な、何故ですか?」

「お風呂まで護衛する必要もないですし、アドルさんも僕に無理やり付き合うことないですよ」

「ですが」

「お願いします...!」


 顔の前で合掌しながら頼む。

 アドルさんはため息をつきながら、了承してくれた。


「では、私はそこの喫茶店で紅茶を飲んでいますので、どうぞごゆっくりなさってください」


 え、また紅茶飲むの?


 ***


「いらっしゃい」


 銭湯に入ると、僕は泣きそうになってしまった。

 ...日本の銭湯と、あまりにも似ていた。


「料金は200Gだよ」

「は、はい」


 おばちゃんに先程貰ったけど報酬の内の200Gを手渡した。


「丁度だね。温まってきな」

「はい!」


 笑顔のまま女湯の方に向かうと、案の定おばちゃんに止められた。


「あんた、男だろ!?何してんだい!?」

「や、やっぱり駄目か...。あの、僕は訳あって男装しているんです。これはウィッグですし、胸もサラシを巻いているんです」

「確かに顔は女の子っぽいけどねぇ。念の為、確認させてもらうよ。ちょっとこっち来な」

「...?」


 おばちゃんにぐいぐいと腕を引っ張られて奥ののれんをくぐり、スタッフルーム的な所に来た。

 誰もいない。


「さ、女だって言うんならウィッグ取りな!」


 僕は無言でウィッグを取った。

 ずっとしていたため、髪はぐちゃぐちゃだった。


「ふむ...。じゃあ、入ってきな」

「.....??」


 信じてもらえたのかな?

 まあいいか、許しはもらったし早く入っちゃおう。


「...あの子が、あいつの言ってた子...」


 おばちゃんがまだ何か言っているが、僕にはよく聞こえなかった。


 ***


 ふう、さっぱりした!

 途中女の人に叫ばれたけど、証明したらちゃんとわかってくれたよ。よかったよかった。

 さて、アドルさんと合流せねば...。

 喫茶店で紅茶飲んでるんだよね...?

 まさかずっと紅茶飲んでるわけないよね...?

 おばちゃんに一言挨拶してから銭湯を出ると、アドルさんが隣のベンチに座っていた。


「...なに、してるんですか?」

「.....た、小鳥遊様!」


 ...猫だ。

 アドルさんの膝の上で、猫が丸くなっている。

 アドルさんは猫をそっとベンチの上に乗せると、こっちに戻ってきた。


「猫...かわいい...」


 思わず声に出ていた。

 僕も猫は好きだけど、好きなのに...猫アレルギーであった。


「あ、じゃあ城に行きましょう」

「はい」


 我に返り、真顔に戻った。

 ...とにかく、風呂の問題は解決したので良しとしよう!


 ***


 城の中に入ると、ローブを着た人達がドタバタしていた。


「...え、皆何してるんだろう...」

「恐らく、聖女召喚の準備をしているのかと思われます」


 .......あ。

 そ、そうか。前の召喚では聖女ではない僕が──いやまぁ実際聖女だけど──来たから、またやらないといけないのか。

 ...うん、普通にまずいな。

 聖女(僕)はもういるんだけど、もしかして誰か召喚されちゃうの...?

 でも、昨日は誰かが「一週間後にまたやんないと」的なことを言っていたはず。

 聖女召喚ってそんなに大規模なものなのか。


「どうやら、今から行われるみたいですね」

「え!?でも、一週間後じゃないんですか?」

「『今度は魔導師団長もいらっしゃるし多分大丈夫!』と、今走って行った方が」

「えー...」


 そんなもん...?

 ていうか、これで聖女でもない人が来ちゃったら本当にやばい!

 巻き込んでしまうことになる!

 ...あれ?聖女召喚、でしょ?

 もしかしたら、僕がまた召喚されるんじゃ...。

 もしそうなら確実に疑われる。

 ああ、勇者召喚でもしてくれないか...。


「え!?本当ですか!?」


 突然、奥の扉から声が聞こえた。

 そして、僕のすぐ後ろからも聞こえた。


「よっ」

「えっ.....お、王太子様っ!?」


 神出鬼没すぎて怖い!


「いやー、王城にいた占い師によると、聖女はもうこの国にいるらしいんだ。だから捜索は後にして、勇者召喚を行うことにしたんだ。あいつら、魔法陣書き換えるのに必死だろうなぁ」


 王太子様は笑ってそう言った。

 ま、まじか...!占い師さんグッジョブ!!

 じゃあ、これから勇者さんが召喚されるのか...。

 今日は新しい出会いが物凄いあるなぁ...。

 はー、勇者さん、外国人だったらどうしよ。友達とかだったらどうしよ。

 そんな事を考えていると、アドルさんにまた心配された。


 ***


 結論から言うと、勇者召喚は失敗に終わった。

 何故なら、召喚されたのは──。


「ワンッ!!」


 ──犬だったからである。

 僕とアドルさんと王太子様は召喚部屋(仮)の扉の前にいたが...っていうか王太子様なんでいるんですか。

 ...ええと、その召喚された犬が城内を駆け回り、僕達は必死に追いかけているところ。

 犬嫌いの人は何故か皆1つの部屋に固まって震えていた。何があったんだ。


「つ、かまえた!」

「ワンッ!!!」


 小型犬のためすばしっこいが、なんとか回り込んで捕まえることができた。

 ...ん?首輪に、何か書いてある。


『アルティメットブリザードッグ』


 ...アルティメットブリザードッグ、君も大変だな。




絵を描くのも趣味な自分は紫暮達を想像で描いたけど全員服が殆ど一緒になってしまった柊です。(*・ω・)ノ ドーモ☆

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