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4話

 武器は手に入ったので、僕はアドルさんと共にギルドに向かうことになりました!

 馬車を用意されたけど、自分の足で行きますと断った。

 漫画とかだと、ギルドっていったら賑やかでおじさん達がわいわいしてるっていう所だよね!

 ...え、違う?それはただの酒場?

 .....まあ、行きましょうか。


 ***


 着いた!

 ここがギルドかぁ...。

 見た目は全然綺麗だし、中から声も全然聞こえない。思ったより静かなのかな?

 中に入ると、人は沢山いた。

 ...が、小さな話し声しか聞こえない。

 ここは図書館ではないですよね?

 視線でアドルさんに訴えるが、首を横にゆっくりと振られただけだった。

 う、うん、こんな所もあるよね。


「あら、もしかしてここは初めてですか?」


 話しかけてきたのは、おっとりとした表情のお姉さんだ。

 ギルドの職員...だろうか?


「はい」

「じゃあ、手続きしないといけませんね。そちらの方もですか?」

「いえ、この人は付き添いです...。あれ、アドルさんもギルド初めてなんですか?」

「騎士団長の時に顔を出していたくらいですので」

「そ、そうなんですね...」


 僕はお姉さんに連れられ、奥の個室に入った。アドルさんは優雅に紅茶を頼んでいた。

 ここ喫茶店みたいな所も混ざってるの...?

 それはさておき、こっちだ。


「では、貴方様のギルドカードを発行致しますので、このカードに魔力を込めながら名前を言ってください」

「...魔力って、どうやって込めるんですか?」

「なんか...こう、はぁぁあああっ!っていう感じで」


 すみません、よくわかりません。


「とにかく、力を思いっきり込めるだけでも、少しは魔力が出ると思います」

「そういうもんなんですね...」


 テーブルの上に置かれたカードにそっと手を添える。

 そして、思いっきり力を込める!!


「...小鳥遊紫暮!」


 カードが光り始めた。成功したんだ。

 カードには、『タカナシ・シグレ』と刻まれていた。


「あっ!ごめんなさい、希望の役職名を聞くのを忘れてました!」

「えっ...。け、剣士ですけど...」


 するとまた、カードが光った!

 名前の下に、『見習い剣士』と刻まれた。


「始めは、全員『見習い〇〇』から始まるんです。そこから、依頼をこなしていって、『上級〇〇』になるんです!その上があるかはわかりませんが、上級剣士になれるように、頑張ってください!」

「ありがとうございます!」

「依頼ボードはロビーの壁にありますので、どうぞ見ていってください。受ける時は、受付の者に渡して、ギルドの印を付けてもらったらその依頼を受けたことになります」

「早速受けてもいいですかね?」

「勿論です!手続きは完了しましたので、戻りましょう...って、きゃあ!」


 コケた。何もないところでコケた。

 ...ドジっ子の天然だ、このお姉さん。

 体を起こすのを助けて、ロビーに戻った。

 アドルさんは窓の外を眺めながらまだ優雅に紅茶を啜っていた。

 あの人、紅茶好きなんだな...。

 ...ええと、依頼ボードは...あ、あそこだ。

 数人、依頼を選んでいるようだ。


「私は受付にいますので、決まったらぜひ私に声をかけてください」

「あ、はい」


 お姉さんは受付に向かって走って行った。

 あ、また転んだ。

 通りかかった人が助けてるし、依頼選ぼう...。

 最初は簡単なのから始めたいから...。

 なんかこう、スライムみたいなのとか居ないのかな?


「なあなあ兄ちゃん。お前、カルハさんと仲いいじゃねぇか」

「...はい??」


 突然、依頼を選んでいたはずの少し年上の男性に話しかけられた。誰ですかあなた。


「手続きをする際に説明してくれた人ですし、仲良いとかは...」

「でも、依頼を受ける時はぜひ私に、って言ってたじゃねぇか」

「知りませんよ...」


 この人、あのお姉さんのこと好きなのかな...。カルハさんって言ってたけど。


「まあ、兄ちゃんにその気がないのならいい」

「.......」


 依頼選びに戻ってった。

 なんなんだ。


「小鳥遊様、気づきませんでした...申し訳ありません...」

「紅茶は美味しかったですか」

「はい、美味しかっ──じゃなくて、本当に...」

「冗談です。手続きは終わったので、依頼を選んでいたところです」


 そうだ、魔物の強さの基準を聞かなければ。


「アドルさん、僕でも倒せそうな魔物っていますか?」

「小鳥遊様でも倒せそうな魔物、ですか...。ええと、アリですかね」


 .....アリ?アリってあの、ちっちゃくてうじゃうじゃしてる、あのアリ?

 素手でも倒せるよ?やったことないけど...。


「見た目は気持ち悪いですが、案外軽く倒せるので良いかと」

「それじゃ、その討伐の依頼探してみま...って、すぐ前にあったな...」


悪道(あくどう)の森でアリの討伐 5体 報酬:2500G』


 悪道の森って何...?


「悪道の森ですか、昔に来た召喚者が付けた名前だそうですが...」


 日本人じゃないですか!!

 悪道って...。悪道って...!

 絶対道が悪い森だ...!


「いや、これにします。悪道だろうが乗り切ってみせますよ...」

「小鳥遊様、流石です」


 何が流石なのかはわからないけど、受付に...あのお姉さんの所に行こう。


「あら、タカナシくん。依頼が決まったんですか?」

「はい、これでお願いします」

「えっと、ギルドの印は...あれっ?どこ!?あ、胸ポケットだ...」


 大丈夫かなこの人は。


「すみません、.....はい!これでいいです。気をつけて行ってらっしゃいませ!」

「行ってきます」


 ギルドの印が付けられた依頼状をしっかり持ち、笑顔でそう返した。


 ***


 悪道の森って、西の森のすぐ近くなんだなぁ。一緒にすればいいのに。

 ...と、僕は国案内用の地図を見ながらそう考えていた。

 時計塔を見ると、2時半ちょっきりだった。

 時間的には大丈夫だろう。


「アドルさん、僕若干方向音痴なので案内だけお願いします」

「わかりました。近道で行きましょう」


 近道あるんだ。アドルさん凄いな。

 アドルさんについていくと、道には人が段々といなくなっていった。

 なんだろう、この不良と不良が大喧嘩しそうな場所は。


「ここを抜けると、森の入口に着きます」


 確かに、奥に森のようなものが一瞬見えた。

 本当、よく知ってるなぁ...。


 ***


「え、きもちわるっ」


 森に入ってすぐ、アリはいた。

 いたけど、今僕が言ったようにすごく見た目が気持ち悪い。

 アドルさんそういえば言ってたな...。

 このアリ、僕の世界にいたアリの巨大化したものだ。さらに足が増えているので、一層キモイ。

 全長1.5mくらいだから僕が隣に寝たら同じくらいの長さになるよ!!


「小鳥遊様、FIGHTです」


 発音いいなオイ。帰国子女かよ。

 はあ、これを切るのか...。

 不安しかないなぁ...汁がブシャーッ!って僕に飛んでこないかなぁ...。

 ええい、もうやけくそだ!!


「うわああああ!!」

「くぁwせdrftgyふじこlp」


 意味不明な鳴き声が聞こえた。

 どうやら直撃したみたいだ。

 お...、汁は出てない。


「アアアアアア」

「うわっ」


 消えた。倒したのかな。


「まずは1体ですね。残り4体、FIGHTです!」


 毎回言うんですかそれ?


「って、アドルさん、後ろ!」

「はい?」


 アドルさんにアリが飛びかかってきていたのだが、アドルさんはそれを振り返りもせずに剣だけ後ろに突き刺しアリを倒した。

 .....流石です。


「ああ、こっちにも...!って、4体!?」

「「「「アアアアアア」」」」


 鳴き声が完全におっさんが喚いている声である。

 1歩前に足を踏み出すと、何故かバランスを崩した。


「...え?」


 そこには何も無いのに、確かに僕はバランスを崩した。

 まさか、悪道の森って...。

 そのまま、倒れてしまった。

 やばい、来る!


「消えろっ!!!」


 一心不乱にそう叫ぶと、目の前が光った。

 目を瞑り、光がおさまったので開ける。

 そこには、何もいなかった。

 アリは?


「小鳥遊様、ご無事ですか!」

「.....はい...」


 倒したの、か?

 依頼状を見ると、最初はなかったはずの印が付けられていた。

 多分、倒したんだ。


「...『ステータス表示』」


 ────────────────

 小鳥遊 紫暮/タカナシ シグレ 職業:聖女 Lv21

 攻撃力:58100 体力:223000 魔力:6120

 防御力:5240

 ・聖属性魔法Lv99

 ・回復魔法Lv85

 ・支援魔法Lv56

 《スキル》

 ・治癒

 ・状態異常無効化

 ・浄化

 《称号》

 ・女子高校生

 ・神の愛し子

 ・聖なる光

 ・召喚者

─────────────────


 ...スキル、浄化。

 きっと、僕の周りを浄化したのだ。

 だから、アリが消えて...。


「小鳥遊様、今のは...?」

「ぼ、僕にも何が何だか...!スキルが発動したんだと思います」


 まあ言ってることは正しくはありますよ。


「何はともあれ、依頼達成です!ギルドに戻りましょう」

「...はい」


 アドルさんはまだ納得出来ていない様子だが、なんとかなる。たぶん。


 ***


「では、報酬の2500Gをお渡しします」


 さっきのお姉さんに報酬を貰い、ギルドを出るところで──。


「なぁ兄ちゃん。俺、カルハさんに告白しようと思うんだが、どうしたらいい?」


 何故僕に訊く?

 お互い名前も知らないのに、さっき初めて会ったのに、なんで僕に??

 依頼ボードの前にいた人です、この人。

 ほら、アドルさんが「は?」って顔で言ってますよ。


「...ラブレターでも渡したらどうですか。あなたはいざ告白するとなると焦って何も言えなくなりそうなので」

「な、成程、ラブレターか!ありがとう!」


 ...成功するかはお姉さん次第だけど。

 この人は外見はイケメンだし、チャンスはあると思うよ。フラれてもきっと彼女できるよ。きっと。

 僕の前でちょっと迷って、去って行った。


 ──で、結局誰?あの人。



柊です!

また少しブクマ追加してくださった方が増えていて自分は大喜びしています(笑)

次話もお楽しみにヽ(*´∀`)ノ

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