3話
「ギルドに行くのでしたら、武器を入手しなければなりません」
「...あ、すっかり忘れました...。武器庫にある剣を貰うことはできま...せんよね...」
お金なんて無いし...、王太子様に頼むか?
でも、さっきは偶然会ったけど忙しいだろうし...。
「私が買いましょうか?」
「はいっ!!?いやいやいや!悪いですよ!!」
「なんで扉の前で話してんだ、お前ら?」
突然話に割って入ってきたのは...。
「「王太子様!?」」
「次の仕事まで時間ができたから様子見に来たぜ!」
今日で3回会いましたけど!?
「んで、なんの話ししてたんだ?」
「えっと、剣が欲しいんですけど、どうするかという話を...」
「それなら、武器庫から好きなの1つ持ってっていいぞ?」
「え!?でも、使ってる人いるんじゃ...?」
「いや、あそこにあんのは予備みたいなもんだからな。心配はない」
「そ、そうなんですか...」
王太子様が仰ってるんだし、いい...よな...?
「じゃ、また何かあったらその都度言ってくれ。じゃあなー」
「はい!」
あれだなあ、王太子様みたいな性格の人って友達に1人は欲しいよなぁ...。
***
武器庫には、何も無かった。
「.....」
アドルさんは絶句していた。
まさか、盗まれた?
でも、王城の武器庫だよね...?
そんな簡単に盗まれるのか?
「確認をとってきますので、ここでお待ちください」
「わかりました」
...もしも本当に盗まれたのなら、まだ城に犯人がいるのかもしれない。
ただ待ってるのもあれだし、武器庫を調べてみよう。
中に入る。
何も置かれていない棚だけが、沢山あるだけだった。
何か、手がかりはないものか...。
というか、これだけ棚があるなら、武器も沢山あったということだ。
それなら、犯人は複数人いると考えて...。
いや、ここは魔法が使える世界だし、何かの魔法で運んだのかもしれない。
ああもう、難しい!
「どーしたの?」
「犯人がわからなくて...」
「へえ、なんの?」
「武器がないから盗まれたのかと──って、うわぁっ!!?」
僕の右には、どうやら謎の人物がいたらしい。
一房だけ伸ばした白い髪に、白い瞳。そして白い肌。
「だ、誰!?」
「ボクはねぇ、ただの盗人さ!」
「ぬ、盗人って...。じゃあ、武器を盗んだのは...!」
「そ!ボクだよ!」
犯人見つけたー!!
「盗んだ武器はどこだ!」
「魔法で異空間に飛ばしてるよ~」
「そんな魔法あるのか...」
「うん、この魔法はどうやらボクしか使えないみたいだよ~」
「なんで盗んだの...?」
「なんとなく!」
ふざけてるのか。
「おい!誰かいるぞ!」
「あれは...ん!?タカナシ君と...誰だ!?」
扉の外から声が聞こえた。振り返ると、訓練場にいた騎士さん数人がいた。
「こ、この人が武器を盗みましたー!」
「なんだって!?」
「捕まえろー!!」
「あっははははははは!!!」
盗人が笑いながら逃げ回っている。
「た、小鳥遊様、ご無事ですか?」
「アドルさん!...僕は武器庫を調べてたんですけど、いきなりあの人...あ、逃げてる人が話しかけてきて...盗んだのはあの人です」
「ん...?あ、アイツ...!!」
え、アイツ?
「おい!キトラ、何やってんだ!」
「あれー?アドル~?」
ええ、知り合い!?
キトラと呼ばれた人は、アドルさんの前で止まった。
追いかけていた騎士さん達も何事かと立ち止まる。
「アドル、久しぶりだね~」
「はぁ...お前、イタズラが過ぎるぞ...」
「...イタズラ!?」
急な展開についていけないのですが...!?
「...こいつはキトラで、私の従弟です。宮廷魔導師なのですが、イタズラ好きで...」
「ごめんねぇ~、退屈だったからさー」
「お前な...。武器庫の武器全部盗むのはないだろ!」
アドルさんが怒鳴ってるのは初めて見る。
だがキトラ...さんは動じていない様子だ。
というか、なんでさっき自分のこと盗人って言ったんだろう...。
「まずは武器を戻せ」
「は~い」
ぷくぅと頬を膨らませながら、キトラさんは両手を上に挙げた。
そして、「ばーん!」と叫んだのと同時に、武器が一瞬で棚に現れた!
「戻したよー。でさぁ、この人は誰なの?」
キトラさんは僕を指さしてきた。
「僕は小鳥遊紫暮です」
「シグレ?よろしくね~☆」
「え、あ、はあ...」
「キトラ、また何かやらかしたそうだな...」
また誰か来た!
「兄さんー?」
兄さん!?
あ、確かにキトラさんに似ている人だ。
「ああ、貴方はタカナシさんですね。話は聞いています。オレはキース・トレジア。弟が迷惑をかけました」
「ぼ、僕は気にしてないんですけど、アドルさんが...」
アドルさん、顔怖いです!!
「アドルも、お疲れさん」
「キースさんは、キトラをもっと叱るべきですよ...」
***
...ようやく、話が終わったようだ。
その間、僕と騎士さん達でじゃんけん大会を3回ほど開いたぞ。
「すみません、長話になってしまいました」
「オレ達はこれで。タカナシさん、また」
「じゃあねー、シグレ!」
「は、はい...」
キトラさんがすごい手を振ってくるので、僕も軽く返しておいた。
「はー、俺たち入ったばっかだからあの人が宮廷魔導師だとはわからなかったなぁ...」
「あとで罰とか受けないかな...」
「キトラさん...だっけか?ああいう性格の人なら大丈夫だろ」
騎士さん達がそんな会話を交わしている途中に、僕とアドルさんは武器庫にまた入った。
「うわぁ、なんかすごい」
剣が置いてあるスペースを見ると、まるで捨てられてあるかのようにごちゃごちゃに置かれていた。
これ、元からこんなに散らかっていたのか...。
まぁ、ほとんど同じような剣だし、1本だけ貰えればいいから適当に取っちゃおう。
そうすると、何故か取ろうとしていた剣とは違う剣を取っていた。
「あれ?この剣凄い強そうなんですけど、置いてあったんですか?」
「武器庫の武器は把握していませんので...。王太子様は好きなのを持っていっていいと仰っていたことですし、良いと思われますが...」
「...それなら、貰おう...」
鞘、でいいのかな?それは装飾がなんか豪華だし、剣も抜いて見てみると切れ味凄い良さそうだし。
まあ、大丈夫か!
さ、ギルドに行こう!
本日2度目の投稿になります(*・ω・)ノ
意味不明な所とかあるかもしれませんが、それはもう、なんか...ごめんなさい←
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