27話
「はいぃいい!?」
そう叫んで慌てふためいているのはナイト。
まあ、そうなるかな?
「無事に帰ってこられるとは思えないんだけどね」
冷静に両腕を組んでこちらを見つめる黒葉さん。
「あ、危ないっすよ!危険っす!!」
同じ意味の言葉を並べる団長さん。
「だが、なぁ⋯⋯簡単に『良い』と言うのも⋯⋯」
顎に指を当てて悩んでいる陛下。
「お願いします」
「⋯⋯」
真っ直ぐな瞳で陛下の目を見つめた。
数秒後、
「⋯⋯わかった。しかし条件がある。護衛を数人連れていきなさい」
と、条件付きで了承してくださった。
「ちょちょちょ待て待て待て待て!!護衛数人ったって、行くのは魔王城だろ!?ぜってー足りねぇって!!」
僕に向けて言っているのか陛下に向けて言っているのか分からない事を言うナイトには何となくデコピンを喰らわせた。
「なんでデコピン!?」という言葉は無視した。デコピンされた事に対しては怒ってないのか。
「ありがとうございます、陛下。護衛は僕が決めていいんでしょうか」
「⋯⋯ユキト、居るか」
「はっ」
「「「「うわっ」」」」
ユキトさんは陛下の前⋯⋯つまり僕のすぐ横に跪いた状態で一瞬で現れた。
ユキトさんて、陛下の側近的なものもやってるのかな⋯⋯?
「お前はついてやれ。あとは任せる」
「承知致しました」
陛下はそう言うと廊下の奥に歩いていった。その後ろに護衛人らしき人物がいつの間にかついていた。
団長はそれを見て反対方向に移動してった。
黒葉さんは「頑張ってね」と嘘くさい笑顔で言い残して部屋に戻った。
ナイトは僕と話したそうに見えたが、暗いオーラをまといながら仕事に戻った。
「はぁ⋯⋯ダーシャにいた時に聞いてたけど、本当に聖女だったとは」
「あ、やっぱりダーシャにはバレてましたか」
「んで、他の護衛は誰にするわけ?」
「えっ、⋯⋯急に護衛を頼む訳にも⋯⋯」
「それもそうなんだけどさ⋯⋯俺の知り合い呼ぶ?」
僕の返事を聞く前に、ユキトさんは通話用の魔具を取り出して通話を始めた。
「あぁ⋯⋯もしもし?ちょっと護衛頼みたいんだけど⋯⋯いや、俺じゃなくて俺の⋯⋯知り合い?⋯⋯そうそう、⋯⋯お前の友達にもいたよな?そいつにも頼めないか?⋯⋯え、一緒にいる?⋯⋯ああ、⋯⋯サンキュ、じゃあな」
「⋯⋯」
「2人ゲット☆」
「⋯⋯わ、わぁい」
自慢げにピースをしたユキトさんに困惑した僕はとりあえず喜んだ。
「安心しろって、二人とも俺の同僚だし結構手練だから」
なんのっすか⋯⋯。
「もうちょっとしたら来るってよ」
「おうふ⋯⋯なんていう方ですか?」
「⋯⋯あー⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯マイケルとダニエル」
嘘やん⋯⋯。
「そんな事より今日は早めに寝とけよ。明日に備えて」
「あ、はい」
「そういや⋯⋯お前が女で、聖女ってことは他の奴らに言っていいのか?」
「それは、⋯⋯僕が自分で言います」
「⋯⋯わかった。あと⋯⋯アドルもいねぇ事だし、今夜だけ部屋の前についててやるよ」
「あ、ありがとうございます」
仕事もあるだろうに申し訳ないな⋯⋯と思いつつも、ユキトさんと共に部屋まで来た。
「⋯⋯シグレ、さん?」
「あ、リーナさん⋯⋯あ」
ウィッグ外してたんだった。
「え、あれ?女装?それとも性別を偽ってた⋯⋯?」
「えと、後者です⋯⋯ごめんなさい⋯⋯」
「⋯⋯いいえ、気にすることないですっ!シグレさんはシグレさんだもの!どんなシグレさんでも私は愛す!!」
男前⋯⋯。
僕がそう思うのと同時にユキトさんも隣で「うわ、男前」と呟いた。
「あ、ありがとう⋯⋯?」
「では、私はこれで!」
「う、うん」
若干戸惑いを残しながらも、部屋の扉に手をかける──が、誰かの声に止められた。
「お前⋯⋯」
「は、橋良さん⋯⋯」
ど、どうしよう。リーナさんは受け入れてくれたけど、橋良さんは⋯⋯?
「お前⋯⋯女装趣味でもあったのか⋯⋯?」
⋯⋯は い ?
「まさか⋯⋯そのような趣味を持っている者が本当に居たとは⋯⋯」
何を言ってるんだこの人は。
「えーと、僕本当は聖女なんです、騙してごめんなさい」
「は?」
「これが証拠です」
ポケットから、聖女が触れると光る石を取り出した。
無論、その石は僕の手の中にあるため光っている。
「ああ、そうか」
あれれ?すんなり⋯⋯?
「とりあえず、一発殴らせろ」
「えっ」
「俺がどれだけ聖女捜索に手伝わされたか⋯⋯大変だったんだぞ⋯⋯過酷だったぞ⋯⋯」
何をされたんだ橋良さんは!?
聖女捜索って、山で行方不明になった人を探すような感じのやつ!?
「殴るのはいいですけど、肩とかでお願いします」
「そこ?」
「解った」
「わかったの?」
「行くぞ」
「どんとこいです!」
「えっ、ちょ」
「うっ⋯⋯うわああああめっっっちゃ手加減してくれた優しぃいいい!!」
「ふん⋯⋯女性には優しくしろというのが父の教えだったのでな」
「お前の父さんフェミニスト⋯⋯?」
ユキトさんがツッコミで忙しいので、そろそろ切り替えよう。
「では、俺は戻る」
「はい」
「俺はここに居るから、何かあったら呼んでねー」
「わかりました。おやすみなさい」
「おやすみ」
寝巻きに着替え、ベッドに潜るとすぐに眠りについた。
***
痛い⋯⋯ここはどこ?牢?
床が冷たい。目の前に置かれている食事はとても食べられそうにない。
目の前には、高そうな服を着た知らない顔の男性。
顔を動かすだけでも、体中が痛む。
男性は牢に入ってくると、自分を殴った。蹴った。偶に斬った。焼いた。
信じられないような痛みだった。
すると自分は男性の剣を奪い──。
『ユ ル サ ナ イ』
***
「!!」
ゆ、夢か。あまりにリアルだった。
窓の外を見ると、日が昇り始めていた。
夜明けか⋯⋯。朝とは言っても詳しい時間は言ってなかったし、そろそろ準備しよう。
「起きたのか?」
「⋯⋯あ、はい。今着替えるんで、ちょっと待ってください」
「わかった」
扉越しにユキトさんの声が聞こえてきたので返事をした。
動きやすい服に着替え、剣をベルトに差した。
ウィッグは外すことにした。
「オッケーです、おはようございます」
「はよう」
「⋯⋯全然眠そうじゃないですね。いつ寝てるんですか?」
「昼に仮眠とってるから。一階で例の⋯⋯マイケルとダニエルが待ってるから行くぞ」
「はい」
え、ガチでその名前?
***
「ようマイケルとダニエル」
「「誰だそれ」」
「お前らの名前覚えづらいんだよ!!」
「だからぁ!オレの名前はゼルシェンストローグタイト・フィッツナイツドだっつの!!」
「僕はコーダストハルアーチェ・カルトズジェルドだ!!」
「わかんねえよ!!!」
長ぇんだよ!!とキレるユキトさんは置いておこう。
「あの、小鳥遊紫暮です。突然護衛なんか頼んじゃってすみません」
「頼んだの俺だけどな」
「お!女の子じゃん!僕可愛い子だーいすき!!」
「お、オレ女苦手なんだけど⋯⋯」
コーダスト⋯⋯なんとかの人は僕の両手を握り嬉しそうに笑った。
ゼルシェン⋯⋯なんとかの人はユキトの後ろでプルプルと震えている。
どちらもユキトさんと歳が近く見え、黒髪黒目の地味めなイケメンだ。
だからこの世界顔面偏差値高すぎ。
「よし、説明するぞ」
あ、してなかったんだ。
「えー、まずこいつは聖女です」
「「は?」」
「こいつを狙って変な面つけた男が城に来ます」
「「は?」」
「こいつの意思で、そいつと魔王城に魔王に会いに行きます」
「「は?」」
「陛下の命令で護衛を数人連れてけとのことなので俺らがついていきます。はい終了」
「「は?」」
わかるよその気持ち。そうなるよね。
「ということなので⋯⋯よろしくお願いします。えーと、コーダスト⋯⋯コー⋯⋯コーさんとゼルさん!」
「「⋯⋯あ、はい」」
4人で城門をくぐると、あの男が立ちすくんでいた。
「おや⋯⋯貴方がたからおいでになるとは」
「⋯⋯僕は魔王さんに会いに行くことを決めました。この人達は護衛として連れて行きたいんですけど⋯⋯」
「それはそれは、嬉しいです。ええ、構いませんよ。では参りましょうか」
男の頭に角が2つ生えた。背中には翼も生えた。そうだ、この男悪魔だった。
「魔王城へ」
──パチン⋯⋯。
男は指を鳴らした。
⋯⋯瞬間、暗い森の中にいた。
目の前には、魔王城らしき城がある。
「どうぞ、こちらへ」
大丈夫、ユキトさんと⋯⋯コーさんとゼルさんがいるんだから。
覚悟を決めて、一歩踏み出した。
今回のゲストはユキトくんです!
ユキト「はは、なんで俺まで?」
作者「最初の質問です」
ユキト「聞けやおい」
作者「なんでそんなに演技上手いんですか?」
ユキト「⋯⋯え?」
作者「いやだってダーシャに居た時、いかにも悪役オーラ出してて⋯⋯」
ユキト「⋯⋯この世界の人間は皆演技上手いよ」
作者「そういう設定にしたっけ」
ユキト「シッ」
作者「次。なんで盗賊の格好してんの?」
ユキト「(なんで急にタメ口になったの?)⋯⋯いや、普通にキャラ付k⋯⋯⋯⋯カッコイイじゃん?」
作者「いやまぁ単純に俺が盗賊好きなd」
ユキト「シッ」
作者「最期」
ユキト「漢字違う!死なねーよ俺!」
作者「最後。なんでコロコロ口調変わるの?」
ユキト「そういうもんじゃねーの?」
作者「いやまぁ単に俺が口調変わりやs」
ユキト「メタい話やめんか!!」




