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21話

 あの後、ユキトさんに幹部達がまた来ないだろうかと聞いた。

 当分は活動しないらしいが、用心はしておけとのこと。

 ⋯⋯ユキトさんが戻ってから、王太子様の姿をあまり見かけなくなった。大変だなあ。

 アルの世話をしていた時、キトラさんが訪れてきた。


「こんにちはー」

「どうも〜」


 キトラさんって、一緒にいるとなんか安心するな。癒しキャラ的な。


「アドルさんは?また仕事ー?」

「いえ、昼食の準備をしに行ってくれてます」

「そうー?じゃあアルと遊ぼー」


 キトラさんは無邪気にアルと遊び始めた。

 遊びといっても、ただ追いかけっことかしているだけである。


「キトラさん⋯⋯。最近毎日来てますけど、本当に仕事ないんですか?忘れてましたけど、この国って魔物に襲われてるんですよね?放っておいて大丈夫なんですか?」

「えー?だってシグレが来た頃から襲ってこなくなったんだもん」

「そ、そうですか」

「前にも言ったけど、ボクは下っ端だよー?そういうことは、先輩達がやってるの」

「なるほど」


 僕がここに来てから魔物が襲ってこなくなった。僕が聖女であることが関係しているのかな。


「そうだ!明後日、街でお祭りがあるんだよー!一緒に行こ〜」

「祭り?どんなのですか?」

「商店街の辺りで、皆で集まってわいわいするんだよー!最後には、ハナビっていうのが見れるって!」

「花火?」


 花火大会⋯⋯か。例の昔ここに来た日本人の仕業か?それなら行きたいな。


「行きたいです!アドルさん達も誘いましょう!」

「うん!」


 ナイトとかリーナさんは⋯⋯忙しいかな?一応聞くけど。


 昼食の後聞いてきた。リーナさんは全然良いらしい。ナイトは途中参加だそう。アドルさんは勿論参加。

 橋良さんは⋯⋯渋々参加。

 団長組はさすがに駄目だろうし、ユキトさんも王太子様にべったりだから無理だろうな。

 ギルドの上級者組は家に篭ってるらしい。ニートか?

 大体こんな感じだ。来れない人がいるのは残念だけど、楽しみだな。


 ***


 翌日、ギルドにて。

 事件発生。冒険者同士が争いを始めてしまった。

 今ここには初心者しかいないようで、皆怯えて端っこに移動していた。

 これ止めた方がいいよね⋯⋯?

 近くにカルハさんの弟であるアオイさんを見つけて、声をかけた。


「あの、何があったんですか」

「それが⋯⋯今右にいる人が左にいる人の肩にぶつかってしまい、ブチ切れられて右にいる人も逆ギレして喧嘩になりました」


 なんなんだそのヤンキー特有の肩ぶつかり!

 ヤンキーに対する偏見だけど!


「止めに行きましょうか?」

「二人とも性格が荒い方なので⋯⋯難しいかと」

「⋯⋯誰か、止められそうな人は⋯⋯」


 すると、ギルドの扉が開いた。

 あれは⋯⋯橋良さん!?

 今来ちゃった!?中から声とか聞こえなかったのかな!?


「んん!?なんだこのメガネは!」

「メガネだからって調子に乗るなよ!」


 あの二人は眼鏡に恨みでもあるのだろうか。


「通行の邪魔です。どいてくださいませんか」


 お、おお⋯⋯!言った⋯⋯!!けど自分が通りたいがための言葉っ!


「偉そうにするな!メガネ!!」

「かち割るぞそのメガネ!」


 眼鏡が何をしたっていうんだ。


「とにかく皆さんの迷惑にもなっていますし、喧嘩をするなら他でどうぞ」


 すげえ!さすが生徒会長!


「んだとぉ!この野郎っ!」

「オラァ!!」


 二人が橋良さんに殴りかかった!

 危ない!と思ったけど橋良さんは普通に避けた。ですよね。


「俺に暴力を振るうならば容赦はしないが」

「「ひい!」」


 殺気を感じ取ったのか、二人が退散していった。なんだかんだであいつら息ぴったりだったな。

 橋良さんに向けて周りの人が拍手した。

 だが、何も無かったかのように橋良さんは依頼を見に行った。冷めてるな〜。そこがいいんだろうけど。


「橋良さん、あの空気の中でよく行けましたね」

「下校時にもよくあんな奴らがいたからな」

「まじですか」


 てことはその度に割って入ったんすか⋯⋯。

 さて、僕も依頼書を選ぼうっと。

 今日は時間もあるし、遠くの方に行こうかな。


『北の平原にドラゴンめっちゃいるから倒してくれ 報酬は600000G』


 ドラゴンだと⋯⋯?あのドラゴン?

 いやでも⋯⋯。僕が考えてる物とこの世界の物とでは違うことがよくあったからな⋯⋯。

 ちょっと聞いてみよう。


「カルハさん。ドラゴンってどんな奴なんですか?」

「え?ドラゴンですか?そうですね⋯⋯タカナシさんなら倒せるモンスターだと思いますけど」


 じゃあ、この世界のドラゴンは僕が考えてるドラゴンよりも弱いのか。


「⋯⋯は、ドラゴン?」


 背後から何か聞こえたが、僕はすぐに依頼を受けてギルドを出てしまった。


 ***


 北の平原は結構遠い。馬車に乗せてもらったけど、数時間はかかった。

 ⋯⋯⋯⋯え、アドルさん?城に置いてきましたよ?

 それにしてもすごい広い。木が一本も見えない。

 スライムがちょくちょくいるので少し狩ろう。

 だいぶ倒したけど、まだまだいるな⋯⋯。

 こいつらは無視して早くドラゴンを倒そう。

 けど見た目が分からないからやばいな。聞いておけば良かった。

 奥に歩いていくと、見たことない生物が眠っていた。

 これは⋯⋯言葉で表現しづらいな⋯⋯。

 なんというかこう、グロい。

 頭は龍。体は蜘蛛。しかも多分一つ目だ。大きさはグランドピアノと同じくらい。

 これがドラゴンかな⋯⋯?試しに倒してみよう。

 剣を一振りしたが、案の定倒せなかった。

 しかも目覚めた。すぐにまた斬りかかった。

 何度も斬りかかった。それはそれは何度も。

 こいつ硬すぎでしょ!

 ヤツは余裕の表情を浮かべている。多分。

 すると、突然唸り始めた。次第に唸り声は大きくなっていく。

 ガサガサ⋯⋯。

 ん?なんか向こうから音が⋯⋯。


「「「ヴァアアアアァアア!!!」」」

「うあああああ!!?」


 こいつと同じモンスターが大量にこっちに走ってきた!!体が蜘蛛だから余計気持ち悪い!!

 こいつ!仲間を呼んだな!

 くそ、事前に敵の情報を調べれば良かった!!

 斬っても駄目ってことは⋯⋯物理攻撃が効かないのか!?じゃあ魔法なら⋯⋯!


「浄化っ!浄化!浄化!!」


 確かこんなスキルあったぞ!結構前にも無意識に発動してたはずだ!どんなスキルかは詳しく知らんけど!

 僕のスキルが発動したのか、目の前に迫ってきていたモンスター達が光と共に消えた。

 依頼書を確認すると、『ドラゴン退治 24/50』と書いてあった。

 今倒したのは24体か。てことはあと26体?

 ⋯⋯あれ、そういえば僕が最初に見つけたドラゴン、攻撃してても反撃してこなかったな。

 あいつらの攻撃方法ってなんだ⋯⋯?

 そう思っていると、ドラゴンが30体くらい来た。やっぱり気持ち悪い。

 よし、さっきみたいに⋯⋯!


「浄化!」


 ⋯。

 ⋯⋯。

 ⋯⋯⋯⋯⋯。

 あれっ、発動しない。


『魔力が足りません』


 その言葉が脳内に流れ込んできた。

 え、『浄化』ってそんなに魔力消費するもんだったの!?スキルで魔力使うもんなの!?

 どうしよう⋯⋯自力で使えるの治癒魔法と『浄化』だけなのに!!

 あー、アドルさん連れてくれば良かったかな⋯⋯。自分勝手すぎたな。反省しなければ⋯⋯。

 殺されるのを覚悟して目を瞑ったが、いくら待っても攻撃されない。

 目をそっと開けてみると、ドラゴン達が凍っていた。

 氷が割れ切ったのと同時に、ドラゴンも消滅した。

 氷属性魔法?

 確か、それって──。


「ちゃんと調べもしないで突っ込んでいくとは本当に馬鹿だな」

「⋯⋯橋良さん!?」


 後ろには橋良さんが仁王立ちしていた。


「なんでここに⋯⋯」

「お前がドラゴンを倒しに行こうとしていたから止めようとしたんだが⋯⋯」

「ドラゴンって、危険なやつだったんですか?」

「⋯⋯魔法がある程度使えるのならばな。物理攻撃は奴らには効かない」

「⋯⋯助けに来てくれたんですか」

「違う。お前を止めなければナイトにどやされるだろ」

「でもまぁ⋯⋯ありがとうございました」


 橋良さんの話によると、ドラゴンというのは集団で活動しているらしい。攻撃をしてこなかったのは、魔力を溜めていたそうだ。

 城の騎士達が話しているのを偶然聞いていたらしい。


「というか橋良さん⋯⋯いつ魔法使えるようになったんですか⋯⋯?」

「とにかく力を込めたら奴らが凍った。あれが初めてだ」

「力を込めればいいんですね⋯⋯!?あ、でも魔力少ないのか⋯⋯体調も悪くなってきたかも。ああ、依頼達成できなかったな⋯⋯」


 悲しみながら依頼書を見ると、そこには達成と書かれていた。


「あれ?」

「受付人に頼んで同じ依頼を受けたから連動しているはずだ」

「本当ですか!!ありがとうございます!」

「お前⋯⋯いつも一緒にいる赤髪の男はどうした?」

「黙って出てきました」

「説教食らうぞ」

「⋯⋯覚悟します⋯⋯⋯⋯」


 ***


 橋良さんの言う通り、僕は一時間みっちりアドルさんに説教を食らった。

 自業自得なので素直に深く反省した。

 怒ったアドルさんすごい怖い。


 魔力は時間経過かポーションを飲めば回復するので、キトラさんが作ったというポーションを飲んだ。

 なんとも言えない味だ。

 が、回復した感じはする。


「キトラさんってポーション作るの上手いんですか?」

「兄さんには上手だねってよく言われたよ〜」

「意外な才能だなぁー」

「ねえ、明日のお祭り楽しみだね〜」

「はい!祭りもそうですけど、花火が見られるのはとても嬉しいです!」

「シグレもハナビ好きなのー?」

「綺麗なものは好きです!」

「ボクも〜」


 僕とキトラさんの会話を聞いていたのか、アルが尻尾を振りながら走り回った。

 アルも楽しみなんだな⋯⋯。

 よし!明日は思いっきり楽しむぞー!

今回のゲストはナイトくんです!

ナイト「よろしく〜(。•̀ᴗ-)و ̑̑✧」

作者「あ⋯⋯は、はい。では最初の質問です。紫暮ちゃんのことぶっちゃけ好きでしょ?」

ナイト「は、はあ!?そそそんなわけねぇし!!?(ㅇㅁㅇ;;)」

作者「次の質問です。紫暮ちゃんに今まで名前を知られなかったのって、都合よすぎませんか?」

ナイト「⋯⋯ご都合主義ってほんと素敵」

作者「それ以上言ったら出番少なくしますよ」

ナイト「ごめんな(´>ω∂`)」

作者「うぇっ⋯⋯最後の質問です。⋯⋯やっぱ女子の格好した紫暮ちゃん見たいっしょ?」

ナイト「なんでぼそっと言うんだよ!み、見たくねぇし!!?(; ・`д・´)」

作者「見ての通りですね。ありがとうございましたー」

ナイト「あ、ありがとうな〜⋯⋯ヽ(;▽;)ノ」

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