表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/33

15話

 港に到着。人影はない。

 僕と不良さん以外の人はスキルで隠れている。

 この...電話みたいなやつは、魔道具らしい。スマホを小さくして、電話機能のみにした感じ。魔道具ってこんなんなの...?


「入口に誰かいる」

「...?外には誰も...」

「敵察知スキルだ。中にいんだよ」


 そ、そうか...、隠密スキルがあるならそれもあるか。


「どうしましょう」

「...そこにいとけ」


 不良さんは倉庫の横にある空間を指さした。

 何か策があるんだろう、と思いその場所にしゃがみこむ。


「あー、めんどくせー...」


 不良さんは空を睨みつけながら入口に足音をたてずに近づいた。すごい、忍者みたい!

 数秒後、小さな悲鳴が2つ聞こえた。


 そっと入口の方を覗き込むと、不良さんが顔を出して「来い」と口パクで言った。

 僕も出来るだけ足音をたてずに入口へ歩き、入る。

 足元には、2人が倒れ込んでいた。

 息はしているようだし、殺されては、いない。傷跡も見えないし殴ったりしたのかな...?

 ちらっと横を見ると、不良さんが倒れている2人を寂しそうに見つめていた。

 すぐに先程のだるそうな目に戻ると、奥へ歩き始めたので慌ててついて行った。

 ここで1度外の人に報告。入口には2人いたこと、その付近には誰もいないこと。

 そしてまた奥に進む。


「...チッ...。5人か...」


 すぐ横にいる僕にしか聞こえないくらいの小声で不良さんが言った。...ご、5人?

 首を傾げる僕に呆れた様子の不良さんは少し奥のドアを指さす。

 ああ、あの中か。

 不良さんが一気にドアに近づいた。そして耳を近づかせた。

 すると、顔は動かさずにに人差し指をクイクイと僕に見えるように動かした。

 僕は足音の消し方なんてわからないので物凄いゆっくりと歩いた。

 やっと不良さんの隣に着いたと思うと、すごい睨まれた。すみませんノロマで。

 今度は壁を指さす。

 耳を澄ますと...。


「助...てよ!」

「...るせ...!黙っ...ろ!」

「ひっく...うぇ...ん」


 ...子供の泣き声!それと、男の声。

 不良さんはドアをゆっくり開け、中に入った。

 僕も行くと、ドアとは反対の方を向いている男3人と、こっち側を向いた椅子に縛り付けられている子供がいた。周りには大量の箱が積まれている。まぁ倉庫だし当然だけど。

 子供の1人が僕達に気づいた。もう1人は泣きじゃくっていて前も見えていないだろう。

 気づいた方の子供に、しーっ!とジェスチャーで伝える。子供はそれを察したようで、次に大声でまた助けを求めた。

 多分気を引いてくれている。

 男達のすぐ後ろに来た僕と不良さんは、撃退の準備に入る。

 不良さんが連続で2人倒したのと同時に、僕も腰から剣を鞘ごと抜き取り、頭に強くぶつけた。少し間を置いて男達は倒れた。


 縄を解きながら子供達に話しかける。


「君たち、大丈夫?」

「う、うん。でも妹がすごい泣いてて...」

「...妹ちゃん、もう平気だよ、助けに来たから」

「うわぁぁああん!」


 う、うん...。そりゃ、誘拐されたらこれくらい泣くよね。まだ小さいんだししょうがない。

 縄が解けたので、全力で泣き止ませる。


「ほら、大丈夫だよー!お兄ちゃんもついてるから!」

「そろそろ泣き止んでよ、また誰か来るかもしれないよ」


 お兄ちゃんも参戦した。不良さんはドアの辺りで誰か来ないか見張っている。


「うぇ...もう、そとにでられるの?」

「うん、そうだよ。ここを出たら左に曲がって、真っ直ぐ進んでね。そしたら、外に出られるよ。外には僕の仲間がいるから、ちゃんと言うことを聞くんだよ」

「...う、うん」

「君も、よろしくね。捕まっている子達はまだいる?」

「...多分。ここにいる時、廊下から叫び声が聞こえたから...」

「そっか...ありがとう。できるだけ音はたてないで行ってね」

「「うん」」


 僕はすぐに魔道具を取り出し、報告をした。


「あの、敵は」

「近くにはいねーよ」

「は、はい。えっと、子供を迎えたら作戦進めるそうです」

「...とっとと行くぞ」


 ...怖い。

 さらに奥に進むと、地下へ続く階段と、2階へ上がる階段があった。


「...大体、地下...ですよね?」

「チッ」

「ごめんなさい...!?」

「スキルが上手く使えねー...。スキル封じ野郎がいんのか...」

「...なんですか?それ」

「お前、知らねーのか?奴に近づくと何故かスキルが使えなくなる。世間からは『スキル封じ人』って呼ばれてんだよ。闇組織の幹部候補らしい」

「まじですか...」


 この国比較的平和そうなのに闇組織なんてあったの...?

 スキル封じ人、か。じゃあ僕の『浄化』と『自然治癒』も使えないな。

 浄化は結構便利だったんだけど...。


「敵察知ができない以上、下手に動けねぇな...クソっ」

「そっか、スキルが使えないなら後から入る人達も...」


 ...待って。あの部屋からここまでは結構かかった。

 あの人達は『子供を迎えたら作戦を進める』と言っていた。

 ──そろそろだ。


 ドガアァァアアアン!!


 ...まずい!


「...お前は上に行け!」

「...りょ、了解です!」


 ああもう、爆弾でも設置したんですかアドルさん!もしくは一つ結びの人ぉ!!

 隠れる必要も無いので一気に階段をかけ上る。敵は全然いない。

 やっぱり地下に...?階段の先の大きな扉を開ける。


「着いた!って広っ!」


 2階はとても広かった。それに、倉庫のくせに物が全く無かった。

 当然人もいなかった。


「なら、また下りないと...」

「どうしたンだい?」

「っ!?」


 さっきまでは、何も無かったのに。

 隠密スキル?でも、スキル封じ人がいるなら...。


「こんばンは。いい夜だねェ。月が綺麗だ」

「貴方は...」


 振り返りながらそう聞くと、そこには誰もいなかった。


「...?」

「子供を助けに来たのか?優しいねェ」

「え!?」


 相手は僕の後ろにいた。

 肩に手を回してくる。...動けない。


「...君、この世界の人じゃないよね」

「.....」

「それに、男でもない」

「.......」


 相手の姿は見えない。それに体も動かない。

 察せるのは、僕と身長が同じくらいなのと、何かを羽織っていることくらいだ。


「喋れるようにはしてるンだけど。図星かなァ?」

「誰なんですか?」

「オイラは...『スキル封じ人』って呼ばれてるよ」

「...」


 スキル封じ人...!

 ...とにかく今は、この動けない体をどうにかしたい。動け...!!


「ふふ、オイラの顔見たい?見たいンでしょ?」

「まあ、そうですけど」

「なら特別に教えてあげるよ。はい」


 ...近っ!

 ええと...右目に黒い眼帯、濃い緑色の髪と同色の瞳...童顔...多分マントを羽織ってる。

 マントはあるけど、依頼書に書いてた情報とは当てはまらないな...。


「オイラね、色ンなものを封じることが出来るんだよ」

「...じゃあ、体が動かないのも...」

「そう。オイラより“弱い”奴なら、体の動き・スキル・その他諸々、ね」


 こいつ、弱いってところ強調して言った...。

 てか、それなら『スキル封じ人』じゃなくてただの『封じ人』じゃないか...。


「限度はあれど封印スキルは役に立つし、暗殺術も身についたし。あと1ヶ月で幹部になれる」

「1ヶ月?」

「幹部になるにはいくら強くても20歳超えてないとダメなンだよ。あと1ヶ月でオイラは誕生日迎えるから」

「...それで、子供達は地下ですか?」

「そうだよ。幹部が1人見張ってるけど、お仲間さン達は無事かなァ〜?」

「...!離してください!助けに──」


 途中で声が出なくなった。封じたか。


「どうやら皆地下に行っちゃったみたいだねェ」

「.....」


 僕は目の前にいる封じ人を睨みつけた。


「おー怖い怖い。...さて、取引したいンだけど、いいかな」


 ...取引?

今週部活(美術部)が休止になって喜んでいる柊ですv(。・ω・。)ドモ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ