14話
今日から、新人騎士さん達が城に住むことになった。
悪い人が紛れ込んでなきゃいいけど。
いつも通り、訓練に参加しようと移動していた時、声をかけられた。
「シグレ、さん...?」
「...あれ?貴方は...」
先日、森で会った女の子だ。
名前は...リーナさん、だったっけ。
「なんで城に?もしかして城の人だったんですか?」
「いえ。騎士になったので!シグレさんこそ、なんでここにいるんです?」
「...き、騎士?女の子がなるもの?」
「私は、男ですよ」
「へ?」
なん、だと。こんな可愛い顔なのに、男?
いや騎士団長さんも可愛い顔だったけど!
「すみません、女の方だと勘違いしてました...。合格、おめでとうございます」
「大丈夫ですよ。毎回言われますし、言われて当然の見た目ですし」
胸を張ってリーナさんがドヤ顔した。
僕の秘密(性別の方)は言っていいかな?
...ううん、まだ会ったばかりだしやめておこう。
「これから訓練に行くんだけど、一緒に受ける?」
「勿論です!」
「...訂正。最初のうちは筋トレかな」
「.....は、はぁ」
困惑しながらも、ついてきてくれた。
途中で荷物を運んでいるナイトに会ったが、リーナさんに「うわあ...」とだけ言ってすたすた部屋に戻って行った。なんかあったのか。
訓練場に着くと、リーナさんは目を輝かせた。
「うわ、広い!訓練楽しそう!」
その声に驚いた筋トレ中の騎士さん達は一斉にこちらを見た。
「ああ、新人か。シグレくんの友達?」
「まぁ...そんな感じですかね」
「リーナ・タロッツと申します。どうぞよろしくお願い致します」
リーナさんは姿勢を正し、一礼した。おお、綺麗。ドレスを着ていたら完全に完璧令嬢って感じ。あ、この人男性だった。
「そういや、新人に女みたいな奴が1人いるって言ってたな。お前のことかー。よろしくな」
「うぃーっす」「よろしくー」「しゃしゃーっす」
「はい。それで、私は何をすれば...」
「ほい、これメニューな。初めのうちはこれこなせ。細身のシグレくんでも突破出来たんだから、リーナくんにもできるさ!」
「りょ、了解しました」
「じゃ、僕は手合わせの方行ってきます。リーナさん、頑張って!」
「...!は、はいっ!」
リーナさんは顔を赤らめて、貰った紙を握り潰してぶりっ子ポーズをとった。
...はは、頑張って...(泣)。
訓練も終え、ギルドに向かう。
リーナさんは軽々と鬼畜筋トレメニューをこなしていたようだ。すごい。
ふと、家の壁に貼られてあるポスターに目がいった。
『子供の誘拐事件が多発しています。小さい子は遅くまで出歩かせぬよう!』
...誘拐事件、か。やっぱりここでもこんなことあるんだな。
「なにしてるんですか」
「え、ギルドに──」
僕は固まった。
城を出る前、わ忘れていたことがある。
「ほ、う、こ、く、はどうされました?」
「ごめんなさい、アドルさん...」
そう、アドルさんが後ろから怖い笑顔を作りながら歩いてきたのだ。怖い。とにかく怖い。笑顔だけど怖い。
「はあ...。頼みますよ、もう」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
怖いのでめちゃくちゃ謝っておいた。
「そんな謝るほどじゃないですよ。気をつけてくださいね。今日は休みなのでちゃんと護衛できます」
「えぇ...」
「え?」
「なんでもないですごめんなさい」
この人の笑顔、恐怖しか感じないのだが。
「それで、何見てるんですか?...あぁ、最近よく起こってる事件ですね」
「魔物が迫ってきてる以外は平和そうな国なのに...?」
「なのに、です。どの国にだって悪者はいますよ。誘拐事件では...魔力が高かったり、見た目のいい子供を何かで釣って連れ去り、売る...というのがほとんどです」
「酷い...。なんとかして、今捕らわれてる子だけでも助けてあげられないでしょうか」
「それは無理に近いです。場所も特定できませんし」
「そういう魔法はないんですか?千里眼とか。魔法かはわかりませんが」
「ないです。残念ながら」
僕もこの世界に誘拐された...が、お金目的で誘拐するのとはまた違う。
助けてあげたいけど...情報が少なすぎる。
.......。
ギルドに着くと、中はいつもよりざわついていた。
「どうかしたんですか?」
「タカナシさん!タカナシさんもどうか協力してください!」
「え、え?」
僕を見つけたカルハさんが、突然声を上げた。
他の人達も僕の方を見る。
「おい...最近ギルドで活躍してるっていう黒髪のガキじゃねぇか。...ん?そっちの赤髪は...。は?元騎士団長じゃ...!?」
「ま、まじか!容姿が変わってて気づかなかった...!」
「...アドルさん、どんな格好してたんですか」
「昔は長髪でした」
「そうですか」
アドルさんの長髪姿想像出来ねぇ。
ようやく冒険者達も落ち着いたようで、静かになった。
「...で、なんなんですか」
「は、はい!最近噂になっている子供の誘拐事件についての依頼書が貼られていたのです...!」
「...見せてくれますか」
「はい」
『子供が誘拐されている事件について。
場所:スギナ港付近の青色の壁の倉庫。
事件の首謀者と思われる人物:黒いマントを羽織っている。背が高い。変わった形の剣を左腰に差している。
情報はこれくらいだ。非力な私では解決することが出来ない。どうか、子供達を救ってくれ。』
「...!」
「恐らく、依頼人は戦闘には慣れていない情報屋か何かだったのでしょう。...今は、ギルドの腕が立つ者を集めて子供達を救出しようと話していたところです」
戦闘には慣れていない情報屋...?隠密スキルでも持ってるのか?
「...んで、僕も参加しろと」
「そういうことになります。どうか、お願いします」
「僕はいいですよ。アドルさんは?」
「無論。協力させていただきます」
...というか、腕が立つ...ね。僕まだ見習いだったよね。まあいいか。
救出作戦に参加する人は、全員で7人。
多すぎても色々不利な時があるし、特にギルドで名を上げている者7人になった。
「てか、なんでギルドに依頼?こーいうのは別の所に出すもんじゃねーの」
参加者の1人がだるそうに発言した。
うん、僕も同じ意見だ。
この世界の警察と同じような機関があるのなら、そこに提出すべき情報だ。
「軍事機関に見せると、面倒なことになりますので。我々で犯人を撃退した後、確保しに来るよう連絡はしました」
この世界の警察、軍なの...。壮大...。
僕はそういうことは詳しくないけど、本当に僕達でやっていいものなのか。
それとも、ここでは普通のことなのだろうか。
「はーい、ギルドで昼食を済ませたら作戦考えますよ。今夜に決行なので」
参加者のまた1人が手を叩いて言った。
...わかりやすいように言うと参加者の特徴は、だるそうな人、眼鏡の人、一つ結びの人、頬にタトゥーを彫っている人、でっかい銃を背にぶら下げている人。あとは僕とアドルさんです。ちなみに皆(僕以外)男性で、年齢層低めです。
いや、僕は誰に向かって言ってるんだ。
昼食を済ませたので、端に置いてある大きなテーブルを輪になるように囲み、作戦会議を開始した。
眼鏡の人が仕切っている。頭良さそ。
「まずは──...」
会議は数時間行われていた。長かった。
要点をまとめると、こう。
・僕とだるそうな人で倉庫の中に潜入。電話みたいなやつで外にいる5人に中の情報を伝える。
・次にアドルさんと一つ結びの人が入口付近で騒ぎを起こす。その隙にあとの3人がタトゥーの人の隠密スキルを使い潜入。
・僕とだるそうな人は子供を救出。状況によっては、戦闘。
・その場合は、あとの3人が遠距離から2人を援護。そうじゃない場合は、子供を安全な場所へ誘導。
とりあえずはこれがプランAってところかな。
こんな上手く行くとは思わないけど。
油断大敵、慎重に動こう。
「そろそろ移動しよう。港までは少し時間がかかる」
「はい」
にしても、このだるそうな人大丈夫なのかな。短剣所持してるけど、強いのかな...。
「んだよ。ガン飛ばしてんじゃねーよ」
「そんなつもりは...すみません」
「ちっ」
...これからは(心の中で)不良さんと呼ぼうか。
この人と一緒に先に潜入するのに、こんなんで本当に平気なのか?喧嘩弱い方だよ僕。
ここに来てから戦闘力は上がったけどさ。
でもまぁ、子供達のために頑張ろう。
今週テストがあります。助けてください。
ピンチな柊です(´-ω-`)<ドウモ




