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13話

 ──いよいよ、俺の番。

 数メートル離れた所に剣士が現れた。


「それでは...。始めっ!」


 ここは冷静に動こうか...。

 剣を持つ手に力を込め、構えをとる。

 すると、相手が動いた。斬りつけられる。

 ...が、アドルさんの指導のおかげで全て受けることができた。


「あ、あぁ...あ」


 相手が、呻き声を上げた。

 こいつ、喋れるのか?なんか怖いんだが。

 そこで、試験官の顔色が変わった。


「まずい、暴走する!」

「...!」


 それを聞いた俺は、すぐさま相手から距離を置いた。

 相手は辛そうに頭を抱えている。

 体の周りには黒いモヤが発生していた。

 暴走...。魔法で創られてるらしいが、そんなこともあるのか。


「あぁああああ!」

「っ!っぶね!」


 突然、斬りかかってきた。寸前で避けた。

 試験官達は相手を止めようとこっちに来たが、あまりにも暴れるので戸惑っていた。

 一部の人は魔導師団長を呼びに走って行った。

 なんとか相手の剣は取れたものの、次は拳を使ってくるので他の受験者も止めに入った。

 ...どうやらこの魔法は協力者の宮廷魔導師の人達が使ったものらしく、暴走する確率はゼロに等しかったようだ。

 しかし、流石に連続でこれを使うとなるとその確率も上がっていく。

 じゃあ、俺は運悪く.....。

 てか、魔法で創ったんなら魔法で消せるもんじゃないのか?知らないけど。


「あああ!」


 相手に纏っていたモヤが広がった。

 取り囲んでいた者達の視界が奪われる。

 その隙に、相手は剣を拾い、俺に襲いかかってきた。


「うおっ、なんなんだよ...!」

「ぁああ」


 活きのいいゾンビに見えてきた。

 なんとか、こいつを倒すか。

 確か、俺のスキルに『回転斬り』とかいうのがあったはずだ。それを使おう。

 相手は力を増した。強いな...。

 スキルの発動の仕方知らねぇけど...。

 喰らえ!


「はぁぁああっ!!」

「ぅぁあああああ」


 回転斬りってこんなん?

 一回転したら回転斬りになる?

 とりあえずは倒せたけど...。


「あぁ」


 と思ったら、復活してきた。

 まじでゾンビかよ。


「そこまで。皆、お疲れ様でした」


 と思ったら、消えた。

 横から声が聞こえた。


「魔導師団長!」


 あ、この人が?へぇ、ここって若い人多いんだなぁ...。


「話は聞きました。今回の事は全て私の責任です」


 と言い、魔導師団長さんは俺に頭を下げてきた。


「いっ!?えっっと、暴走は仕方ないですし、怪我人もいませんから大丈夫ですよ!...きっと」

「...有難うございます」


 魔導師団長さんは、やはり納得がいかないからと謝罪した。そして部屋を出た。

 しっかし、あの人強そうだったけどな。

 暴走したのって、もしかしたら誰かが仕組んだことなんじゃ。

 いや、考えすぎか。


「...倒したには倒したので、合格とします」


 急にそう告げられ、びくっとした。

 周りからぱちぱち、と拍手された。

 若干照れたが、俺の顔は真顔だったのでそれもすぐに止んだ。


「おめでと。次は面接だね」

「あ、リーナ。そうだな、面接は初めてじゃないけど、不安だなぁ」

「初めてじゃないの?じゃあ他の試験にも行ったとか?」

「...こっちの話」

「そう」


 高校の面接。

 とか言ってもわかんないよね。うん。


 そうして面接についての説明がされて、順番に行われる事になった。

 順番はさっきと逆になるので、俺が最初になる。やべ〜。

 というか面接の仕方忘れたんだが。

 ノック何回だっけ、ドアどう閉めるんだっけ。

 こういうのは苦手なんだよなー!


「97番、ナイト・リジッド。お入りください」

「...は、はい」


 あぁ、そうだ。この世界の面接と日本の面接のやり方が違うのは当たり前だ!

 合わせる感じでいいか。

 ドアを開け、「失礼します」と言ってぎこちない動きで閉めた。

 面接官は5人居た。

 この面接に5人も必要?と心の中で突っ込んだが、多分ここでは普通なのだろう。冷静に、冷静に。


「...どうぞ、おかけになってください」

「はい...」


 そっ...と座った。あ、このソファーいいですね。

 ん...ソファー...?え、面接ってソファーに座りながら受けるの?やばくね?


「それでは、何故騎士になろうと思ったのか、お聞かせください」

「...はい。私はある人を守りたいと思い、騎士になろうとしました。しかし、稽古をしているうちに剣を振ることが好きになりました。そのため騎士になりたいという気持ちは強まりました」


 一応考えてはいたけど、俺にしてはくさいセリフである。


「...では、この国についてどう思われますか?」

「...私は遠い国からやってきたのですが、この国の方達はとても明るく、優しい心を持っていて感心しました。笑顔で溢れた、芯の強い国だと私は感じました」

「ありがとうございます。いやぁ、貴方の面接の受け方は素晴らしい!合格ですよ」

「ほ、本当ですか...?あ、ありがとうございました!」


 すぐに合格かどうか伝えられるのか。

 というか俺の受け方って日本じゃ全然ダメだと思うけど、ここじゃ良い方なのか。


「部屋は用意されていますが、どうされますか?」

「...そこに居させてもらいます」

「わかりました。騎士の証は数日後に送ります。移動の準備が完了しましたら、自由に訓練に参加してもらって構いません」

「はい」

「このカードがあなたの部屋の鍵となります。あぁそうそう、部屋は2人で一部屋となります。ランダムに決まりますがご了承ください」

「はい」


 カードを渡された。ホテルとかで使われてるカードキーみたいなのと同じだ。

 退出していいそうなので一礼して部屋から出た。

 あー、緊張した。

 俺が俺じゃないみたいだったぜー。

 さて、部屋の場所を把握しておこう。


 ***


「ありがとうございます」


 カルハさんにお礼を言い、ギルドを出た。

 日も暮れる頃だし、城に戻ろう。


 そろそろ騎士の試験も終わったかな?

 ...受かってるかな、ナイト。

 部屋に向かう途中、ナイトとばったり会った。


「ナイト、受かった!?」

「お、おう」


 食い気味に訊いたので、ナイトは1歩後ずさりした。


「明日から部屋に住むことにしたんだ。だから下見に行く的な」

「そっか。じゃあ橋良さんとも会えるね」

「おー、そうだったな。知り合いが2人も居て安心だよ」


 じゃあな、と手をひらひらさせながらナイトは廊下を歩いてった。

 ナイト、嬉しそうな顔してたね。

 僕も嬉しいよ。


「ワン!」

「...あ、アル!?ちょっと、勝手に出てきちゃダメでしょ、どうやってあそこから出てきたの!?」

「ワン...」

「さ、戻ろう。ご飯の時間だし」

「ワンッ!」

「ふふ、元気だね。...明日から、また賑やかになりそうだ」


 静かな廊下に、アルの鳴き声が響き渡った。

雪が凄いです...。めっちゃつるつるします...。

風邪も流行ってますので、皆さんもお気をつけください!(とか言って自分が風邪ひくパターン)

柊でした(*`・ω・´)

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