12話
今日はナイトも受ける試験日である。
城の中にある大部屋に、受験者が集まっている。
全員男...あ、1人だけ女子っぽい子がいるな。男なのかな。
「僕はいつも通り稽古してギルドで稼いでくるよ。頑張ってね」
「おー」
大部屋を出て、アドルさんに声をかけた。
「アドルさん、今日も仕事...ですか?」
「はい...ここ1週間はとても...。申し訳ございません...」
「...お疲れ様です」
アドルさん良い人すぎ。
予定を話し、アドルさんと別れた。
今度はキトラさんが話しかけてきた。
「アルのお世話してくるね〜」
「お願いします。僕の部屋は荒らさないでくださいね」
「はいはーい」
そのままキトラさんは壁を走る勢いで広い廊下を駆けていった。
少し歩くと、キースさんが大量の本を抱えて向こうから歩いてきた。
「...だ、大丈夫ですか?凄い量ですけど...。手伝いますよ」
「結構です、問題ありません。魔術書ですので、危険です」
「そ、そうですか」
キトラさんに異空間魔法で異動させるとかなかったのかな...。
訓練場に着くと、既に数人の騎士さん達が筋ト...稽古を始めていた。
「おはよーございます!」
「はよー」「おはよう」「はよっす!」「ちゃっす」「うぃっす」
皆反応してくれた。ありがとう...。
僕も稽古に参加し、その後手合わせをした。
何故か脚が筋肉痛だったのでキツかった。
数時間経ち、ギルドに行きます、と騎士さん達に伝えて城を出た。
さて、今日はどんな依頼を受けようか。
***
時は戻る。
「頑張ってね」
「おー」
俺は紫暮と軽く挨拶をした。
この部屋の中には受験者がざっと100人はいる。多分。
でも、アドルさんに鍛えられた俺なら...!2日だけだけど。
...ん?1人、女子みてーな奴がいるなぁ。
「なぁお前、騎士志望なら男...だよな?女か...?」
「私?私は男よ」
「.........」
はっきり、言ったな。
見た目は俺より少し若い。肩より少し長いくらいの薄紫色の髪に、濃い紫色の瞳。
顔はすげー美少女...いや美少年。
それに声も高く、女と言われても不思議ではないほど。
今の紫暮の逆バージョン的な...?
「...で、何よ。私に何か用?」
「ちょっと性別を確認しに。それだけ」
「そう」
「.......お前は」
「お前じゃない。私はリーナ・タロッツよ」
「...り、リーナはなんで騎士になろうと思ったんだ」
名前まで女みたいだな...。そして性格がものすごい女子。
リーナは俺の質問の内容をもう一度確認してきた。
同じ事をまた言うと、リーナは目を輝かせた。
「よく訊いてくれたわね。実は私、ある人に憧れて騎士になろうと思ったの」
「ある人?」
「ええ。少し前に、森の中で散歩をしていたんだけど...。どうやら近くで魔物退治をしていた人がいたみたいで、木に隠れてこっそり見てみたのよ。そうしたらもう、一目惚れ!もちろん、剣技もすごくて尊敬の気持ちも生まれたわ」
「へえ、それがある人、ね。どんな人?」
「話しかけてみたんだけどね、優しくって!シグレさんって言う人なんだけど」
oh......これは複雑な展開になってきたぞ〜。
まぁこれでも面白いからいいや。
「それで、貴方は?名前と、騎士になりたいと思った理由」
「...ナイト。ナイト...リジッド」
「ふうん、聞いたことない名前ね」
「平民だから...」
リジッド、は名を名乗る時に困ると思ったので一応考えた名前。ま、申請書の氏名の所でも必要だったけどな。
「続けて」
「あ、あぁ...。えぇと」
やばい、理由とか言えないぞ...!?
「皆さん、お静かに!騎士団長からご挨拶があるとのことです!」
「あら」
「お」
た、助かったー!
「どうもっす...じゃなくて、どうも、騎士団長のライア.........で、す。皆さんには期待を込めています.....。...あ、今チビって聞こえたっすよ!?誰っすか!?出てこいっす!!」
騎士団長、中一くらいに見えたんだが、違うか。
「あれで20歳らしいわよ」
「まじか」
リーナも実際には見たことがないようで、少々驚いているようだ。
「...こほん。それでは、頑張ってください...っす」
語尾と見た目が合ってないな〜。
騎士団長は赤面しながら部屋から小走りで出て行った。
「まずは、第1試験を開始します!攻撃力が一定の量を超えていれば合格となります!そちらにいる試験官はステータス表示装置を持っているので、並んでください」
「ナイト、だっけ。ちゃんと超えてる?」
「一定の量ってやつだろ?超えてるよ」
「ふーん」
リーナ...、年上には敬語使おうな。年齢知らんけど。
やっと俺の番になった。
「それでは、この装置に手をかざしてください」
「はい」
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ナイト・リジッド 職業:騎士 Lv21
攻撃力:64000 体力:312800 魔力:6470
防御力:6200
・水属性魔法Lv54
・斬撃魔法Lv22
《スキル》
・回転斬り
《称号》
・男子高校生
・守護者
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お、前に見た時より上がってる。
「良し、合格」
元の場所に行き、壁にもたれた。
少しするとリーナも戻ってきた。
「...第2試験で、結構落ちるそうだけど...。今は騎士不足だし、簡単にしてるかも」
「そうか」
第2試験の話をするということは合格か。
.....全員、ステータスの確認が終わった。
不合格者は3名。残念!
「第2試験を開始します!魔力で創った剣士を倒すことができれば合格です!時間がかかりますので、自分の番までは自由に過ごしていてください!」
試験官が言い終わると同時に、目の前に紙が飛んできた。
番号が書かれている。
俺は...うわ、最後!?
最後ってなんか嫌いなんだよなあ。
「リーナは何番目だ?」
「私は3番目。...ナイトは最後なのね...」
「ああ...」
折角だし、リーナの試合を見てから動くか...。
試合は別の場所で行うので、全員移動した。
「頑張れー」
「...ええ」
「次!3番のリーナ・タロッツ!」
「はい!」
リーナの前に、顔を紙で隠している剣士が現れた。つよそー。
「...始めっ!!」
リーナは瞬時に動いた。
...速い。
相手は防ぐのでいっぱいの様子だ。
「はぁっ!」
シュウゥ...。
リーナが思い切り剣を振ると、相手は消えた。
「合格!」
汗を拭きながら戻ってきたリーナに「すげぇなー」と声をかけると、「当然よ」と返された。
「...ナイトは結構待たされると思うけど、どうするの?」
「とりあえず城を見て回ってみる。リーナも来るか?」
「私はもう少し見てから行くわ」
「おう」
城内に戻るが、何があるかわからないのでそこら辺をふらふら歩いた。
迷子になったらどうしよう。
順番が近づくとこの紙が光るらしいからそれは大丈夫だけど...。
シグレいねーかな〜...。
「お!君は騎士志望の子か?いやー、今日はいい天気だな!!」
「...?」
突然、いかにも貴族、というか王子というような見た目の人に話しかけられた。
「ど、どちら様でしょうか」
「ああ、王太子様ー!仕事まだ終わってませんよー!!」
後ろから数人走ってきた。
...え、王太子様!?
「王太子様って...」
「俺のことだが?」
「...............」
こんな近くに王族がいる...だと...。
驚きで硬直してしまった。
「どうした?...あぁ、仕事はちゃんと片付ける!...じゃあ頑張れよな〜」
「...はい」
うん、まぁ...この国の王子様は良い人柄だということはわかった。
数十分後。紙が光った。
もうそろそろか...。
来たルートを戻り、試合が行われている場所に着いた。
「今95番目」
リーナが俺を見つけて教えてくれた。
あれ、結構仲良くなってたパターン?
...それはともかく、試合頑張らねーと。
そう思い、買ったばかりの剣に手を当てた。
数分。
96番目の人が即勝利したのですぐに出番はやってきた。
「最後!97番のナイト・リジッド!」
「...はい!」
息を整え、1歩踏み出した。
どうも、学年末テストが嫌すぎて現実を見れない柊です⸜(●˙꒳˙●)⸝




