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つかの間の日常
その日の朝はいつも通りだった。神山海斗の朝は早い。
両親が他界しているので妹と二人で両親の残した保険で慎ましやかに暮らしている。
なので家事は分担してやっており朝はいつも海斗が朝食とお弁当を作っている。
「まだ起きないのか。美希が起きないと朝食が食べられないのに。」
そう呟いているとタンッタンッと歩いてくる音がした。
「お兄ちゃんおはよう。ごはん食べよう。」
そう言って椅子に座ったのが妹の神山美希。
「おはよう。早く食べないと遅くなっちゃうよ。」
「まじで、やばい。やばい。早食べ、早食べ。もぐ、まぐ」
「早食べって……まあいいや僕先に行くね。」
そう言って身支度を済ませている僕は学校に向かった。