事件、発生
「ドォーーン・・・・バキバキバキ」
凄い音がした。
ショウは立ち止まって、考えごとをする様な顔で音のした方を見ている。
「またややこしいことを、、、」
ぼそっとつぶやいた。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ
門の向こう側から人が走ってきた。
その若い男は私達のところにきて、肩で息をしながら話し始めた。
「大変です! 今、留置所で、妖モノと思われるものが暴れています。
手を貸してください!」
「他のこの辺りの呪術師は?」
「金剛祭の準備で出払っています!
どうかご協力を!」
「、、、分かった。 案内しろ。」
すると、ショウはわたしをいきなり抱え上げた。
「わぁ、ちょっと、なにするんですか⁉︎」
ショウは無言でそのまま走り出した。
風のように速く走り、揺れる度に手錠をされているので、落ちそうになる。
私がさっきまでいた建物の裏にまわってからようやく下ろしてもらった。
「キーーーーー」
虫の様な気持ちの悪い大きな音がして、振り返った。
さっきの警備の人達と同じ服を着た人が、何人かは怪我をして倒れ、何人かは例の棒で ‘‘その生き物
’’ に応戦していた。
異様な姿だった。
パッと見は蜘蛛のようだ。
だけど、その人の背丈の4倍はある身体とまるで蟹の様な太く、ゴツゴツした10本の脚が違うといっている。
「おい、あんた、」
ショウが案内をした男に話しかけた。
不意に、頭をポンッポンッとたたかれた。
大きくて温かい手だった。
「悪いけどこの子見といてや。」
そう言うと、ショウは化け物の方を見た。
鋭い、刺すような目つきだ。
「カチャ、シャーーー」
ショウは刀を抜き、歩き出した。
「よう見とき、これが俺の仕事や。」