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神狂いの器

作者: 楓

彼が生まれる前からそこは良い環境とは言えなかった。

そんな環境の中彼は生まれた。奇跡、と言うと大袈裟だろうが、それに近しいものはある。

けれど問題はすぐに起きた。

宗教通いで神様を信じて疑わない父の母(彼の祖母)が、まだ生まれて間もない赤ん坊だった彼を連れ去った。

何処に連れ去ったか、それは神様がいる教会だ。

まるで神に供物をささげるかのように、彼女は彼を捧げ、謎の呪文を唱える洗礼を行い、彼に名前を付けた。

彼が戻ってきたのは何日後だっただろう。

戻ってきた赤ん坊には名前がついていた。

本来母親である自分が付けるべきはずだった名前ではない、神様と言う人物が付けた名だ。

もちろん彼女は激怒した。だが、彼女には頼れる人物がいなかった。それに赤ん坊もいる。その家を出ていくことは、赤ん坊と一緒に死ぬようなものだった。

だから彼女はたとえ苦であっても、片耳を聞こえなくされても、その家から逃げなかった。

思えば、それが母親の愛というものなのだろうか、

彼女は夫の父(彼の祖父)に、まだ彼を身ごもっているときに腹をけられた、赤ん坊は、すこし生まれつきあざが出来たのと少し喉が悪いくらいで他は大丈夫だった。

しかしあれも、守ってくれたという事なのだろうか、

まあとりあえずはそういう事でだな、彼はそのままその宗教に入った。いや、入らざるを得なかった。

褒めてもらえたから、見てくれたから、望んでいたから。

母親は反対したが、父と祖母の1対2(祖父は病死)、勝てるはずもなかった。

せめてもの抵抗だろうか、彼が幼少期のころ、母親は彼を別の宗教に入らせた。

祖母たちが信仰している宗教が、「神様に祈れば幸せは来るかkら貴方も祈りなさい。仕事する暇があったら祈りなさい。大丈夫、祈れば良い仕事が来ます」と言ったような、威圧的な和。

母親に連れられ彼が入ったのは、「神様に祈りを捧げましょう。貴方にもきっと幸せは届きます。でも、無理に来なくてよいのですよ。貴方の体と心が何より大事ですから」という優しい洋。

彼は成長するにつれ、威圧的ではなく優しさを選ぶようになり、そちらに行く時間も増えた。

無理もない、あちらは持病だと言っても嘘だといった。

そう、例えば事故で足が動かなくなった車いすの人にこういうんだ。

「足が動かない?動くでしょ?動かないとしても、あちらに見える御山を上った先にある井戸の紙の水を飲めばたちまちに治ります」

枯れもそんな感じだった。その結果が、水中毒だか水依存症。

それが終わったのはそう、寒い日だ。

病気だといったんだ。あちらの宗教で病気は悪霊付きだとわかっていたが、言ったんだ。喉に病気があるんだと。

そしたらどうなったと思う。禊と滝行、自宅のふろ場の浴室で神の水に浸され溺れ死にかけた。

で、今でも続いているが彼はそこそこ重度な水恐怖症になっている。

手洗いはすべて除菌ティッシュ、風呂はシャワーのみ、水はほぼ飲まない。薬を飲むときは仕方なく。薄いお茶や湯も苦手だ。

思えば、それがあちらの宗教へのはっきりとした恐怖と疑心が芽生えた瞬間だろう、

けれど洋の宗教で過ごした楽しくまったりとした優しい時間はそれほど長く続かなかった。

祖母が乗り込んできて、無理やり辞めさせられたのだ。

そのあとは母親もまた別の宗教に入ったりで、実質同時期に3つの宗教に入って板挟み状態だった。

今?今はどうだろう。もう祈りの言葉は覚えてないが、進行するなら洋かな。まああれは言ってしまえばだれもが知るような宗教だからな。

祈りの言葉、それを覚えているのがあの威圧的なところだと思うと、嫌になる。

子供心に刷り込まれた宗教的祝詞と作法、役に立ったのは。足がしびれない正座の方法くらいだろうか。

そもそも、なぜこんな話をしたか。

やりたいことがあると言っても、彼が自宅治療があると言っても、きかずに最近祭事へ連れて行かれたからだ。

簡単に言ってしまえば、記憶障害で薄れていく記憶のまとめとグチと真実を記したかった。

どれが原因かなんてわからない、20数年弱の生活。

彼は、私は、家ではろくに泣く事も笑う事も喋る事も立つ事も食事もトイレも着替えも自由ではなかった。

感情を制御させられ、窓のない部屋に居続け身動きが取れない、そんな状況が・・通学や信仰で逃げられていた時間を除けば10年くらいだろうか?

父方のほうは彼を道具や家畜やペットとしか見ていない。母は守るために異常なほどに依存した。

従えたいのと守りたい、それらが強すぎた結果がこれだ。

警察とか病院とかはまあ、ややこしいので省く。が、そんな環境下で生きてきた。

もう言語も方向も記憶もあまりままならない。ブラインドタッチなら打てると最近知った。キーボードを見ながらだとどれを討てば「ぬ」となるのかがわからず混乱してしまった。見なければいいという事だ。

言っていることがバラバラだって?勘弁してくれ。何をうっているか忘れてしまう、わからなくなる。

どうせ記憶が消えるのなら、過去の悲しい記憶が消えてくれればいいのにな。

まあそんな感じでもう日にちや日付や数字もあまりわからないからな。わかっているさ、リハビリが必要だって。

だからむやみやたらに警察などにはいかない。まずはリハビリをしてからちゃんと外に出る。

ちゃんと計画は立ててある。障害を治し、自由に慣れ、あの環境で命令依存のようなことになってしまったのも直し、学校へ通いなおす。金の無駄だと言って高校はいかせてもらえなかったからな。

やりたいことはいろいろあるんだ、デザインや薬学や看護。どれかならば、デザインかな。

学んで、まともになる。三十路を過ぎるかもしれないが、それでいい。むしろ、三十路=小学生くらいなのかもな。

さて、どこまで話してどこまで話してないだろう。雑な文面を許しておくれ。

ただ、私は彼であり、彼は私である。まあ正確には彼女で彼女の人格辞退眠っているから彼女の代わりに表に出ている人格と言うややこしさだがまあいい、なんとなく彼と言う創作的に話したほうが楽なんだ。

私は思考、思考が元でで生まれた思考の感情分裂型人格。ユーヤと名前を貰った。

今更だが初めまして。これは、私の、私たちの生きた記録である。

ああ、宗教系の話をってことだったな。

そう、祭事にいったんだ、無理やりな。

宗祖様と呼ばれる人はこんな感じのやり取りをした。

「お母さんが心配しているのはあなたが神様にもっと祈りを捧げてないからです」

「・・・母はここが嫌いです。・・・私も」

「それはあなたの祈りが足りないからでしょ?」

「いや祈りとかその前に、病気なんです。喉が悪いんです。医者からもちゃんとこう言われて」

「病気なんて、神様に祈れば治ります。さあ、今日の祭事頑張りましょ。貴方は年子なのですから、貴方には頑張ってもらいますよ」

「・・・・・・」

とまあこんな感じで、やっぱ話通じねえなこいつって思って逃げたよ。

しかし車で連れてこられた故に、逃げ場なんてなく、6時間くらい外でぼーっとしていた、

治療を怠ったからか、ストレスからか、車のすごい揺れからかは知らんが、腹が痛くなっても教会の人間の言う事は「大丈夫?今日の式典出られる?」。

馬鹿馬鹿しくなってそのままボイコット。楽しそうな笑い声になんだかイラッと来たよ。

上着は教会の中、戻る気にもなれなかった。冬の寒さが彼の体に刺さった。

けれどそれよりも彼が気に食わなかったのは、「あなたの顔は本当に父親と似ているのね」という言葉。

あいつは彼にとって嫌いな人間だ。あいつは自分にとって得な事しかしない。

彼は悪霊付きだとされていた。頭のおかしい奴だと近所の人に言いふらしていた。

パソコンを買い与えたのは、『頭のおかしい奴にパソコンを買い与えた良い人間』としたいのだろう。

そもそも、誰のせいでこうなった。最近では許可なくテレビを見るという事も怖く、あまりテレビを見ていない。・・・とまあ、これは私情か。わかっている。これはブログではない。だが真実を伝えたい。たとえ嘘と思われようがなんだろうが、記しておきたい。まあ世の中証拠だから創作として、フィクションとしてくれるのがいいだろう。創作扱いすると怒る人格もいるがあまあそれは知らん。

とにもかくにも、彼はその一言でまた泣きたくなった。と言うか少し泣いた。目をはらさないように、声を押し殺し・・いや、押し殺さなくても楽しそうな笑い声が彼の声をかき消していた。

そして彼は考えたのだ、そうだ、整形しようと。

そう、新しい目標が増えたのだ。

ちなみに、だいぶ前に母親と彼女にはもう許可を取っている。母親は顔を変えすぎなければよいと、彼女はむしろ名前を変えたいと。

そりゃそうだ、教会の付けた名前の意味は、「新しい道は開けるが物事がうまくいかない子」と言う意味だった。宗祖様とやらは本当に考え屋のだろうか。

もし名前を変えるのならば、本名から一文字崩せばかっこよくなり、漢字的にも語呂が良くなっているのでそうしようときめてある。

彼にとってあの日は確かにつらい一日だった。しかしどんな目に合おうが目標のために生きると決め、その目標が増えた。

なるべくならば、もうそれを思い出さないようにしよう。そう、宗教系のことウィ言うには多分これが最後だ。

彼の作品の材料、としてなら何か出すかもしれないが。

未来へ生きよう。すきさえあれば泣ける。馬鹿にされてもいいから泣いてしまおう。

そしてまずは、リハビリ、就職、新生活、新・・・通学?勉学?そして、新しい顔と名前。

とはいっても本当に、あまり顔はいじくらない予定だが。少し目を大きくするか補足するか釣り上げるか迷い中らしい。あとはちょっと傷を治したり。

目をつむって考えるのは何時も悲しい過去やトラウマばかりだ。

だけどいつまでもそれじゃダメだ、無理な時は無理と諦める。病気だからできないなんてわからない人にはわからないからほおっておく、発作?で理解力が落ちて来たら無理に描かずに休む。

苦しい時に本来楽しむべきものを書いたってつまらないだろう。そういう事だ。

そう、まだ人生半分もいってない。

三十路からになってもいい。

生きて行こう。たとえ、何があっても。

お目汚し失礼

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