いろんな視点
~ガノウス帝国、シエラ~
あの日、たしかにタカヨシさんが死んだ。
英雄、ジークハルトによって…。
あれから事情を聴きたいとお城へ連れて行かれ、どこで出会い、その日何をしていたのかを聞かれた。
全て正直に答えて、泣いた。
何故、怖がったのか…。
呼吸しかできなくなった男を見てびっくりしてしまったのは事実。
そこからジークハルトがやってきて、タカヨシさんを斬ってしまった。
そこからはよく思い出せない。
城の一室で泣くばかりであった。
~元英雄、ジークハルト~
何故だ、何故そんな眼をする。
英雄だぞ…、向かってきた敵を屠り、凱旋し…。
それが何故っ…。
今では元英雄なんて言われる始末…。元はと言えばあの男…、殺した男のせいだ。
いや、あのシエラといったか…クククッ、あいつにもッ、生きてるあいつに罪を償わせよう…。
【号外 元英雄ジークハルト、女性を拉致し、国外へ逃亡】
「次はエルフの国でも言ってみようかァ!なぁ…シエラ…」
~デュール王国~
「王様!大変です!」
騒ぐ密偵。
「なんじゃなんじゃぁ、わしもう疲れたじゃー」
最近、政務放棄気味の王。
「タカヨシ殿が、し、死にましたあああ!!」
「ブッー!!」
もうゆるちて…。
~闇ギルド~
「な、なに…?あの豚が死んだ?」
部下の報告に目が点になる。
あの力を持ちながら死んだだと?にわかに信じられん…。
しかし、死体も本人と確認が取れている…か。
「奴の、奴のアイテムを探してこい…」
部下に命令し、今後を考えるクリストフであった。
~エルフの村~
「あの時の奴隷商が死んだらしいわよ、今、風の精霊が教えてくれたわ。ありがと!」
エルフのマールが精霊にお礼をする。
「そうか…、しかしあの同族のエルフは大丈夫かのう…」
リーネを心配するのはあの時に対応していた中の男性エルフ。
「その娘のことも他の精霊に探すようお願いしたわ…。そういえば土の精霊がランダで良い石を見つけたって騒いでたわね…」
「ランダってあれだろ?偏屈なドワーフがいる…」
「まあ彼らはそう悪い奴らじゃないわ、ちょっとこだわりが強いのよ」
マールは腰の短剣を触りながら言う。
「さっ、巡回いくわよ!」
彼らは日常に戻っていった。
~デュールギルド~
「ギルドマスター!大変べし!」
噛む噛む看板娘。
「はいはい、どうしたの?んー?にゃっ!?」
渡された紙を見て驚愕。
「死んじゃったのかー…いや、あれが簡単に死ぬはずがない!」
恋する乙女チックなギルドマスター
実は、ちょっとデブ専。
「とりあえず各ギルドに、それっぽいのがいたら確認しとくよう連絡しといて!」「はいぎるますー!!」
平和なのはデュールゆえ。