亜人
もぐもぐ…、もぐもぐもぐ。
「へっへっへっ、貴様が最後だぁ…」
馬鹿一名様
「あーれー、おやめくださーい(裏声)」
パクッ!
「うまい!!がんもどき?岩だけにがんもどきなの!?」
ランダ砦の料亭に来て、独り芝居をする危険人物、貴義。周囲から白い眼で見られても動じない。
ヒソヒソ…、
「なあ、あいつ独り言言いながら食ってるダナ…」「外の世界の人間はわからんダナ…」「でも町長が問題ないって言ってたダナ…」
ドワーフがびくびくしながら食事をしている。
そこへ…。
「オイ!おめえがエメラルド・ドラゴンやらリザードマンをぼこぼこにした坊主かッ!!」
ずんぐりむっくり、お髭が立派なうるさいドワーフ?
「もぐもぐ、ふぁい、そうですー」
がんもどきもどきを飲み込んで答える貴義。
「ガッハッハッ!!すんげえな!俺はグノール!このランダ砦の町長…ダナ!」
豪快に笑うデカいドワーフ。
「おお!俺の名前はタカヨシ、適当にふらついてる不審者だ!」
「………フッ、ヌゥワーハッハッ!!おもしれえなお前!こんな辺鄙なとこになにしに来たんだ?」
爆笑しながら椅子を持ってきて座る。
「いやー、暇つぶしで適当に旅してたら見つけて立ち寄った、ってとこです」
本音。
「なるほどなるほどー、あ、ところでよ、あの鉱物はどっから手に入れたんだ?」
町長の探り。
「あれは、まあ、気にしないでくれ。わし使わんしいらないしもうないし」
適当にはぐらかす。
「そうか…、貰えるもんは貰っとくぜぇ。この後はどうすんだ?」
「あー、腹も膨れたし旅に戻るかなー」
そう言って立ち上がる。
「ならこれ、持ってけ」
グノールが何かを投げた。
「ほいキャッチ」
メダル、手のひらサイズで金ぴかりん、中央に赤い宝石が埋め込まれている。
「そいつがあれば亜人の国に入れるぜ」
ワァオ貴重品!
「ありがたく頂戴いたします」
頭を下げた。
「……」
ん?なんで沈黙?
「お、おう!それじゃあ気を付けてな!」
「あいさー」
貴義はラング砦から出て行った。
~町長、グノール~
変なやつだったな…。
突然ラング砦に来て、略奪でもするかと思えば、伝説の鉱物を出してくる、飯を美味そうに食べる。
どんな相手でも自分のペースで話す…。しかしある程度の礼儀は知っている…。
敵であれば容赦なく殺す、か。
報告を受けた時はどんな怪物が来たかと思ったらガキで、まあ体型はそんなによくなかった。
話している内にこいつはすげえ事をすると思い、勝手に【亜人連合友好証】を渡していた…。
今は人間と仲が険悪すぎる、そしていずれは大きな戦になる。
その前に手を打てれば…。
「次は~、エルフの国、エルフの国でぇ~ございます」
鼻声の貴義、モノマネで行く。