詠唱破棄
ブォオンッ!キキィッー!
黒いバイクは停車する。
「お、なんだあれ…、デカイな」
貴義は荒野を走ってる最中、発見する。
バサッ、バサッ…
バサッ、バサッ…。
岩場に停まり周囲を見渡している。緑色の巨体、鱗、長い尻尾…。
ドラゴンですねぇ…。
ギロリ…。 眼が明らかこっちむいてるうううううう!!
バサッ!
GOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!
ですよねえええええええええ!!こええええええ!
「な、なにか良い物!良い物!こ、これでや!!」
噛んだ。
「カード!発動!!メテオッ!!」
【ロカ・ティラール・エピタキンシス】
頭になんか文字が浮かぶ。言わないよ、詠唱破棄大好き!
向かってくるドラゴンに手をかざして発動した。
「おっ?ろ、ろ…」
突如、ドラゴンの60cm無いくらい上に巨大な岩が現れた、それは20m程のドラゴンをすっぽり隠すくらいの大きさ。
メキョッ、メキメキッ!
ドラゴンが悲鳴も出さずに岩の下敷きになっていった。
ちょうど岩が地面とキスしたあたりで岩が消えていく。なんでもありだ。
荒野の真ん中に30mのクレーターが完成し、その中央には無残なドラゴンの死体があった。
「わーお…、これ迂闊に使えないな…、使ったら確実に俺VS全種族だな」
しかも使用後はカードに戻るらしい。フリーだね。
これは封印と、さ、進もう!
~20キロくらい先のランダ砦~
ここは荒野で生活するドワーフが多い集落。
「今日も良い天気ダナ!採掘するダナ!」
ここの資源が地下、山の鉱山。ドワーフは鉱物の採取、加工で日々、生活をしている!
ただ、ここのランダ砦は荒野の中にある集落であり、常に外敵に晒されているため、要塞のような造りにもなっている。
カンカンカンッ!カンカンカンッ!
「緊急事態ダナ!!エメラルド・ドラゴンが出たダナ!みんな気をつけるダナ!」
このように、緊急の際は鐘を鳴らして気づかせる。
そして
「うーっし、弓ダナ、矢ダナ!」「こっちも準備完了ダナ!」
「子供たちは奥に逃したダナ!」「ロックゴーレムを外に配置ダナ!」
熟練ドワーフは強いという。
そして彼らは見る。
「なんなんなっ!?ダダナ!?アレは…」
突如、視認できる位置にいるエメラルド・ドラゴンの上に現れた岩。
ゴゴゴゴゴッ…
地鳴りが響く。そしてエメラルド・ドラゴンが岩に押しつぶされていく光景。
異常が目の前に映しだされる。
更に異常は続く。
「い、岩が消えたダナ!どういうことダナ!」
「分からないダナ!でも警戒続けるダナ!」「ゴーレム増やしとくダナ!」
岩が消えた。
鉱物に詳しいドワーフ達は遠目で見ても、その質量、質感で『ただの岩』であることは理解していた。
ただ消えた、これが混乱を生む。
さあ、貴義が来るまであと少し。
ブロロロロロロッ!
「ここっの荒野は森と違って路面安定してんああああああひゃっほおおおおおおおおおおお!!」