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国王の器量
「止めぬか!」
闘技場にしゃがれた声が響く
赤いマントに王冠で髭…いかにも王様っぽいのが…
「し、しかし国王!フィール殿がッ!」
近くの貴族が喚く
「よい…、タカヨシ、といったな…」
国王に呼ばれる貴義
「…へい」
しーーーーーん
(噛んでしまったああああああああああ)
独り内心、羞恥に叫ぶ
「わしはこのデュール王国、国王ガレーラじゃ…」
「お主は何が目的じゃ…」
ざわざわ…
唐突に、裏も表もない発言に驚く周囲
「えー、暇つぶし?」
特にこれといった目的もないので適当に答える
「ふざけるな!」「なんだあの態度は!」
そんな罵倒が飛んでくる
うっさいなー
「ほほう、暇つぶしとな…、なら王国騎士にでもならんか?」
爆弾発言
さらにうるさい周り
「いやーやめときますわ、周りがうるさそうですし」
歯に着せぬこちらも爆弾発言
「そうか…、ならワシが一筆書いてやるからギルドに登録はどうじゃ?」
「メリットは」
「国の後ろ盾、ランクも最初から高くしとくから優遇じゃぞ?」
貴義は考える
「わかった、一筆書いてくれ」
「あいわかった」にっこりと笑う国王