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日本書紀の海へ 二

 「まず、僕にとって不思議で不可解なのは、大和王家とは関わりのないと言える、出雲王朝のスサノオの話で物語が始まることだね。古事記によるとイザナギの神が左の目を洗った時に天照大御神が生まれ、次に右目を洗ったときに月読命つきよみのみことが生まれ、次に鼻を洗った時にスサノオが生まれる。日本書紀の記事でも、これは同じなんだ。古事記ではイザナギ神は「私は子を生んで生んで、生みの終わりに三柱の尊い子を得た」と言ったあと、首飾りの玉をシャラシャラ鳴らしながら賜って、アマテラスに言う「あなたは高天原を治めなさい」と。次に月読命に「あなたは夜の国を治めなさい」と言い、次にスサノオに「あなたは海原を治めなさい」と言った。・・・海原はこの後の文章で国の事であると事が判るよ・・・。この条は日本書紀では会話体ではなく天照大神に天を治めさせ、月読命に天の夜を治めさせ、(次の蛭子は育ちが悪く、葦舟に乗せて風のままに放ち捨てる)次にスサノオを生んだ。スサノオはひどく勇ましが大変残忍だった。また常に泣いていた。それで国内の人民をたくさん殺した。また青山を枯れ山に変じた。・・・と、書くのだね。それで父母のイザナギ、イザナミの二柱の神はスサノオに言うのだ『お前は、はなはだ無道だ。だから天下に君臨させられない。お前は遠い根の国に適していること疑いない』と。そして追いやられた。・・・と、変化しているのだ。このあたりの条の表現は少し微妙だね、古事記を原本にして、書紀が作られたというのが、僕の立場なんだけど、そういう立場から見ると古事記ではスサノオは海原(国の事)を治めろと言われているのに書紀では、はっきりと天下を治めるに足らないと変えられているのだ。・・・スサノオの時の海原は、領土そのものらしいのだ。古事記の次の条の文章は、こう繋がっていいくから海原は国の意味であることがわかる。・・・それ故、それぞれはイザナギの命の言われるままに治める中、スサノオは命じられた国《。。》を治めずに、顔という顔をグシャグシャにして涙を流したものだから、青山は枯れ山のごとくなり、川海は水一滴もない有様となりました。こういう状態でしたので悪神は蠅のように群がり禍は世に満ちたのです。これを見てイザナギは『どうしてあなたは国を治めないで泣いてばかりいるのだね』と尋ねた。スサノオは言った。『私は母のおられる根の国に行きたい思い泣いているのです』と。これにイザナギの神はひどく怒り、『そうであるなら、お前は治める国から出て行け』と追い払われた。それからイザナギ神は近江の多賀に鎮座されることになった。・・・

 少し話の筋から外れるけど、古事記では海原は国なのだ。これは非常に重要な文章だよ。これは、文字通り古事記の時代、海原が国であったことを示すはっきりした証拠なのではないかな。少し突っ込んで言えば国とは韓国南岸から対馬・九州北岸・山陰鳥取、島根、福井あたりまでの海域のいずれかの区域であることを示してはいないかな。新羅には、日本から支配者がやって来たという伝説が残っていることを考え合わせると、出雲が海洋王国であったと推測出来るね。また、以前僕が調べた結果では日本海に新羅→出雲→新羅の環流があることが判明している。たとえ風がなくとも時速二キロぐらいの速度では移動出来るようだね。だから新羅と出雲の関連は推測できるね。


 さて、日本書紀は海原が国であることを抹消してスサノオがその地域を支配しているに関わらず支配している事を曖昧に記した後、スサノオを悪く書いてその地から追い出された形に書いている。古事記→日本書紀のこの記事の改変は、出雲王朝を正統でない王朝として、おとしめる意志が強くはたらいているように思えないかい?」

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