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書紀作成の順序について

「これも、森先生の受け売りなんですが・・・、森先生は書中で、巻1~巻13・巻22,巻23をβ《ベーター》群、巻14~巻19、巻24~27をα《アルファ》群と名付けていますが、最初の方がβ群の名付け方はおかしいと思いませんか、普通α、βが順番ですから、巻1群をα群とするべきですよね。これは森先生によれば、巻1群の方が新しく、巻14群が先に編纂されているから、そう名付けたというのです。その根拠としてはですね・・・α群の冒頭である、巻14「雄略記」の即位前紀には、先帝、安康天皇の崩御の様子が克明に描かれています。一方で、巻13の「安康紀」の記載はきわめて簡単なんです。それはこうなんです。・・・安康天皇三年の秋八月の甲申のついたち、天皇、眉輪王の為にしいせられたまう。この事はつぶさに雄略天皇紀に記載する・・・と、あるのですね。このことを考察して、もし巻の順番通り編纂されたのなら、安康天皇の殺害の詳しい経緯は安康天皇紀に載せたはずというのです。ところが、そうでないのは、雄略記が先に作成されたからなのだというのです」

「なるほどね、すでに14巻に、13巻に書くべき事が詳しく書かれているのいるのだったら、記事が重複しないようにするためには、14巻の記載を13巻に移すといっためんどくさい作業が必要になるね。だから、安康天皇の詳しい出来事は、雄略紀に書きますとすれば簡単に事はすむものな。めんどくさがりの僕のような人が、ご先祖さまにもいたというところだね。ハハハ」

「本当ですねー」

「あ、沙也香君、変なところで同感しないでくれないかな。それじゃ僕の立つ瀬がないじゃないの」

「ほほ、ごめんなさい。・・・先生、わたしふっと今思いついたんですけど、巻1~巻13はひょっとすると古事記を改編したものじゃないかなということなんですけど・・・と、いうのも、雄略紀のころになると、古事記はほとんど系図だけになってしまいますよね、これなんか変に整合すると思いません?それにここまでは和臭の文書ですから、ちょっと、太安麻呂の姿も見えてくるような紀がするんですけど」

田沼はその言葉にこっくりとうなずいた。


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