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出雲の国譲りの条の書紀の文章

「先生が、今、話している内容は古事記の記事ですよね」

「ああ、そうだよ、沙也香君。良く分かったね。」

「そうとう解るんです。まとまった筋の通った話は古事記で、なんか力が弱い、グチャグチャの話は日本書紀かな、なんて」

「アハハ。そうだ、そうだ、僕も思うよ。日本書紀の現代語訳などを読んでいると、なんかこれを訳している先生は頭が悪くて、意味不明の文を書いているのかなと思って、漢文の原典を調べてみると、やはりグチャグチャの文章だと言うことが解るんだ。だから、先生がたは、これでも相当苦労している訳なんだ。つまり、なんだか文章がグチャグチャであること、それが日本書紀の特徴の一つだね。・・・さて、夕日になって、少し寒くなってきたね。今日はここまでとするか・・・」

「あ、今日はここまでか。本当は僕、今日は日本書紀の文体から作者を特定しようとした著作を紹介しようと思ってたんですよ。やっと、それをまとめ終えたんですよ。それは、以前ちょっと話題に出した森博士達もりひろみつ教授の著作「日本書紀の謎を解く。述作者はだれか」という中公新書1999年発刊の本なんですが。・・・」

「そうだ、そんな事を話題にしたね。それは聞きたいね。でもそれは次回ということで、あと最後に今回は今まで述べた古事記の部分が書紀ではどのように書かれているかを押さえておきたいね。日本書紀のここの部分は、古事記と良く似ているが、なぜだか相当文章が乱れている感じがする。一言で言えば悪文という印象があるね。ちょっと引用してみようか・・・アマテラスオオミカミの子、アメノオシホミミはタカミムスビの娘のタクハタチヂヒメを妻として、ニニギノミコトを生まれた。天皇家の大祖先であるタカミムスビの命は、ニニギノミコトを特に可愛いがられて大事に育てられ、このニニギノミコトを葦原中国の君主にしたいと思われた。しかし葦原中国には蛍火のように輝く神や蠅のように騒がしい良くない神がいる。また草木もみな良く物をいう。そこでタカミムスビの命は多くの神々を集められてこう尋ねた。『私は葦原中国の良くない者を平定しようと思うが、それには誰を使わしたら良いだろう』皆が言うには『アマノホヒノミコトは大変優れた神です。試してみてはいかがでしょうか』ということなので、皆の言葉に従ってアマノホヒノミコトを行かせた。けれどもこの神は大国主に媚びて、三年たっても、事を実行しなかった。それでその子のタケミクマノウシを使わした。これもまた、父に遠慮して何の報告も寄こさなかった。そこでタカミムスビの命はふたたび諸神を集められて尋ねられた。・・・まあ・インパクトのない誰が敵だか解らないあやふやな文章で出雲の国譲りの条がはじまるのだ・・・さて、そろそろ帰るとしようか」

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