では、高天原勢力とは何?
「どうやら、何か強大な軍勢によって、栄華を誇っていた、出雲王国が簒奪されたことは確からしい。この勢力はどうも海の方からやって来たらしい。出雲が強大な勢力に敗れ去った年代は神武天皇の前の時代であることもうすうす知れる。」
「あれ、それは大和の軍勢ではないのですか?」と祐司は声をあげる。
「そうですよね。大和の勢力だと誰でも思いますよね」と沙也香。
「それが、なんか変なんだ。出雲の国の平定の為に神を使わしたのは高天原で大和国ではない。もし大和国であったなら、果たして海からくるであろうか。古事記は高天原が大和であるとは全然言及してはいないのだね。
アマテラスとスサノオは、スサノオに邪心があるかどうかウケイ(占い)をするのだが、こうした中でスサノオはアマテラスの左のミズラ(古代の髪の型)に巻いてあった五百個の繋いだ玉飾りを受け取り嚙んでふっと吹き出すのだ。そこに、のちに出雲国譲りの先達となる『アメノホシホミミ』が生まれるのだ。ここでアマテラスはアメノオシホミミはアマテラスの連玉から生まれたから彼女の子であると断言する。
地上の葦原中国(出雲王朝)は、大国主によってますます強大となり、その勢いは次第に遠方に伸びていった。
一方、高天原の方としては、スサノオとアマテラスのウケイの際生まれたアメノオシホミミに国を治めさせたいと考えていた。アメノオシホミミは高天原から地上に降り立とうとしたが、上から見ると、地上の国はひどく騒がしく乱れているように見えた。それでアメノオシホミミは、地上に降りることが出来ず、ふたたび高天原に戻って、それをアマテラスに報告した。アマテラスは八百万の神々と合議を開いて荒々しい国神を帰順させるために使いを出すことにした。
これによって敵情視察に出したアメノホヒノカミは大国主に媚びて三年立っても帰って来なかった。それで今度はアメワカヒコを使いに出すのだが、これも早速、大国主の娘を妻として八年経っても帰って来なかった。帰ってこない事情を調べさせるために、今度は雉のキギシナナキメを事情を聞かせに飛ばせた。アメワカヒコは雉を射殺してしまう。アメワカヒコはそのことで殺されてしまう。幾度も失敗を重ねてアマテラスは「いよいよ今度ばかりは失敗できない。どの神を使いにだすべきでしょうか」と言った。合議の末にタケミカヅチの神が最後の使いに出された。この神に天鳥船神も添えた。・・・ここからは有名なシーンだね・・・出雲の国の伊那佐の浜辺につくと、オオクニヌシを呼び出した。握って十ほども長さのある剣を引き抜くと白々と立ち騒ぐ波の頂きに、柄を下にして刺し立てた。そしてタケミカズチは剣の切っ先の上に足を組んで座った。その上で大国主の神に呼びかけた」