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出雲の国譲り 古事記と書紀の記事の違い 二

「しかし、まあ、話しを進める前に、しっかり古事記と書記の内容の違いを捕らえておきたいな。ひまにまかせて、この大学ノートに古事記と書紀の記事を左右に分類してみたんだが、はっきり解ったことが、いくらかあるんだ。・・・スサノオはイザナギ・イイザナミの三人の子の一人だが与えられた仕事が古事記では海原を治める役で、書紀では天下を治める役なんだが、何故か、髭をぼうぼうにして泣いてばかりいる。それで、両書ともにスサノオ追放となる。スサノオは追放される前に、姉のアマテラスに別れの挨拶に行く。これを警戒したアマテラスは武装して待ちかまえる。このような状態の中で、アマテラスとスサノオは神の本意を占うための「うけい」という儀式を行うのだ。アマテラスは弟の長い剣を貰って、三つに折って、洗い清めたあと、口に入れ、噛みに嚙んだ。その口から漏れた息が神々になる。これは宗像むなかた神社の三柱の神となった。それは筑紫の宗像の君の祭っている社であるという。今度はスサノオが姉の、左と右のみずら(耳の所で束ねた髪型)に巻いた玉飾り左五百個、右五百個をもらい、洗い清めて、これを口に入れて噛みに嚙んだ。ふっと吹き出す息が霧となって、ここに神が多数生まれた。これは、出雲の国造・武蔵の国造・上総国造・下総国造・夷隅国造・対馬県直(あがたのあたえ)(国造と同格)・遠江国造の祖先が生まれた・・・」


 田沼はここで言葉を切った。そして、祐司を見つめると、「まあ、ここからも国造・連・県主などが神々の血筋としてでてくるのだけど、古事記はその氏の名は記さないで官名のみを記すのだね。、書紀の、この条にあたるところでは、これほど多くの神々は誕生しないがスサノオが五百の玉飾りを嚙んで、吹き出す神ごとに、出雲土師連の祖である・山城直やましろあたいの祖である、といちいち氏族名を書き記すのだ。これは考えるに書紀には大和王朝の親族に諸族を組み入れようという意図があるように見えるね。それと異なって古事記にはそのような意図は見えないと言うことだ。そして、そのあと『一書曰く』と書いて他書の文を三書分ひいてくるのだ。でも僕が独断で言うならば、ひいてくる書は、どちらかというといつも当たり障りのないものであるように思う。何故そう思うかというと、以前も話したが、国生みの条で多数引く一書が、ことごとく古事記と異なって、(古事記では近畿は最後に生まれてくる国であるが)最初に生まれてくる様に、原文が都合の良いように改変されているように見えるからなんだ」



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