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毛野臣送還後の任那について 十八

「さて、それでは先を急ぐよ。

 

 また、百済王は日本府の卿と任那の旱岐かんきらに使者を遣わして言わせた。「任那の国を再建することは、天皇の威力を借りなくては、誰に良くできるだろうか?それゆえ、私は天皇のもとに詣でて将と兵士を乞うて、任那の国を助けたいと思う。将と兵の食糧は百済が調達する。将と兵の数は、まだはっきりさだまっていない。食糧を運ぶ所もまた、定まっていない。願うことは一所に集まって、ともに可否を論じて、その論の結論を天皇に奏上しようとすることである。しかし、しきりに呼びに言っても汝らは、なお来なかったので論議することはできなかった。」

 日本府の卿は答えて言った。「任那の旱岐が、招いても来なかったのは、私が遣わさなかったので、来ることができなかったのです。天皇の元に遣わした使いが帰ってきて天皇の言葉を言うには『朕は印奇臣いがのおみをもって新羅に遣わし、津守連つもりのむらじをもって百済に遣わす事にしている。汝は朕がちょく(命)をだすまで待て。新羅、百済には決して自ら行くな』との事でした。その後、印奇臣いがのおみが新羅にみことのりを伝えに行く途中をとらえて呼び、天皇の言葉を尋ねました。それによれば『日本府の臣と任那の執事を新羅に呼び、天皇の詔を伝えよ』という内容でした。百済に行き詔を聞けという内容ではなかったのです。その後に津守連が、百済に行くのに立ち寄って言った言葉は『今、自分が百済に遣わされるのは下韓あるしたりに駐留する百済の郡令・城主を撤退させるためだ。』という事でした。ですから百済に行き詔を聴けと言うことは聞いておりません。また任那も命を受けておりませんから、だから任那が来ないのも天皇の命を尊重した結果で任那の意志ではありません。」


 この時に任那の旱歧らは言った。「百済から招きの使いが来るので、参上しようとするのですが、日本府の卿がそれに賛成しません。それで行くことをしないのです。百済聖明王は任那を再建するために心のひだひだを示されました。任那がそれを見て喜ぶことはを言い表すのが難しいほどです。」


 

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