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毛野臣送還後の任那について 十一

「いま、汝は我に従って天皇のお言葉を受けて任那を再建すべきである。どうしてできないと憂うることがあろうか。本土を長く保ち、旧民を治めようと思うならば、この合議こそはまたとない良い機会だから慎重にあたりなさい。」

 聖明王は、また任那の日本府の者にも伝言を寄こした。「天皇は言われた。『任那がもし滅ぶなら、汝らのよりどころもなくなってしまう。任那がもし復興するならば汝等の助けとなるであろう。今こそは任那を興して旧日のごとくあらしめて、汝らの助けとし、人々に安寧を与えよ』と。つつしんでお言葉を受け取り、胸に織り込み、至誠の気持で願わくば任那を興し立てよ。天皇に仕えること昔日のごとくあらしめて、まず明日を計って、その後に安楽を得よ。今、日本府が、命じられた通り、任那を救い助ければ、天皇は必ず褒められ汝等に賜い物をするであろう。日本府の卿らは長らく任那に留まって、新羅との国境の状況に接している。それゆえ新羅の旧来からの手口は知られるところとなった。つまり任那を侵害することによって日本の力を削ぐというのは、長らくの事で今年だけの事ではない。しかるに、新羅が兵を動かさないのは、近くは百済を恐れ、遠くは天皇を恐れてのことだ。日本の朝廷に取り入り、任那に優しく接する。新羅がかくも任那を感激させるのは、いまだ任那を占領していないので、新羅が従属の形を、偽って取るからなのだ。願わくば今、新羅の隙を見て、武具を備えないで居る時をとらえて兵を挙げて失地を回復せよ。天皇が勅命をもって南加羅ありひしのから・㖨己吞とくことんを立てよと言われてから単に数十年のみではない。それであるのに新羅がもっぱら命を聴かぬ事は卿らの知る所である。いまさら新羅が天皇の命を聞いて任那を立てるために尽力するわけがない。この先恐らく、卿らはやすやすと新羅の甘言に乗って任那の国を亡ぼし、天皇の名を辱めるであろう。卿らよ謹んで新羅にだまされてはならない。」

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