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詩人田沼の探求の終わり 八

「この時に安羅は新しく高殿を建てて、大和国の遣いを最初に導いて昇った。安羅王はその後について昇った。安羅国の重臣で昇った者は一人か二人である。百済の遣いの将軍らは殿の下にいた。数月に二度三度高殿の上で合議した。この時に将軍らはいつも庭に置かれたままであることを恨んだ。

 四月七日、任那(安羅)の王、阿利斯等ありしとは来朝して大伴の金村に言った。

『海の表の隣の国、応神天皇の韓地の宮家を置かれた時から、元の国王にその地をお任せになるのは、まことに理のあることでした。今、新羅が始めから賜った封地の境界を違えて、しばしば越えてやって来て犯します。天皇に奏上して、私の国を救い給えと乞います。』と。大伴金村は乞いのままを奏上した。

 この月に、使いを遣わして、阿利斯等を国に送った。あわせて任那にいる近江毛野臣に詔した。『新羅と任那の申すところを尋ね聞いて、お互いに疑うことをやめさせて和解させよ』と。

 ここに、毛野臣は熊川(一本によれば久斯牟羅くしむらに宿って、新羅・百済の二つの国の王を招請した。

 新羅の王、佐利遅さりぢ久遅布礼くぢふれを遣わし、百済は恩卒おんそち(百済官位十六階の三位)弥騰利みどりを遣わして毛野のもとに集まった。二人の王は自らは来なかった。毛野の臣はこれに大変怒り、二国の使いに言った。「小さい者が大きな者につかえるは天道だ。何の理由があって二つの国の王が、自ら来て天皇のみことのりを聞かずに、軽々しく使いを遣わせるのであるか。今、もし汝の王が自ら来て詔を聞こうとしても、私は伝送しないだろう。そして必ず追い返すだろう。」と。二人の使いは、怖じ気づいて、おのおの帰国して王を呼んだ。

 このことによって、新羅は改めて、その上臣(新羅では大臣をこう呼ぶ)伊叱夫礼智干岐いしぶれちかんきを遣わすとともに、兵士三千を率いてやって来て、詔を聴きましょうと言う。

 毛野臣は宿営を遙かに巡り囲んでいる、新羅の兵数千を見て熊川(百済)から任那の己叱己利城こしこりのさしに移った。

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